4-26「灰色の波」
王都を襲う灰色の影。
クレージュたちはそれに立ち向かう!
王都オベールロワイヤル、中央市場。
昼の賑わいは最高潮だった。
商人の声。
子どもたちの笑い声。
香辛料の匂い。
すべてが、いつもの王都。
その瞬間――
地面が震えた。
小さく。
だが確かに。
「……今の何?」
人々が顔を上げる。
市場の石畳に、細い線が走った。
灰色。
蜘蛛の巣のように広がる。
「魔法陣……?」
魔導士が息を呑む。
次の瞬間。
ズンッ
空気が重く沈む。
「ぐっ……!」
人々が膝をつく。
魔力が引かれる。
吸われる。
だが奪われるのではない。
流れている。
「灰色術式!」
魔導士が叫ぶ。
だが遅い。
市場の中央で、空間が歪んだ。
空気がねじれる。
光が曲がる。
「逃げろ!」
衛兵が叫ぶ。
人々が混乱する。
だが逃げきれない。
灰色は地面を這うように広がる。
その時。
屋根の上から風が落ちた。
クレージュ。
「全員離れてください!」
風属性。
広域拡散。
人の流れを作る。
パニックが少し収まる。
フレイとアーニャも到着する。
「派手だな」
フレイが低く言う。
市場中央。
灰色の柱が立ち始めていた。
回路が完成しかけている。
クレージュは目を閉じる。
(地下回路と同じ)
だが規模が違う。
桁が一つ上。
「……これ」
アーニャが耳を伏せる。
「止められる?」
クレージュは答えない。
六彩を全開にすれば止められる。
だが――
共鳴する。
地下の回路。
灰色の柱。
自分の魔力。
(核化する)
エイドの言葉が蘇る。
お前は核になり得る
クレージュは歯を食いしばる。
「抑えます」
三属性。
風で流れを散らす。
水で魔力を分散。
土で回路を断つ。
灰色の広がりが一瞬止まる。
だが――
バキッ
地面の刻印が再形成される。
「再構築!?」
魔導士が叫ぶ。
術式が自己補完している。
地下の回路と繋がっている。
フレイが舌打ちする。
「単独じゃ無理だ」
クレージュも理解する。
この術式は
一人で止める設計ではない。
灰色の柱がさらに太くなる。
空気が歪む。
市民が次々と倒れる。
その時。
王城の方角から光が走った。
白い魔力。
「王女殿下!」
衛兵が叫ぶ。
リシェルの光魔法が結界を張る。
灰色の拡散が止まる。
だが押し返せない。
均衡。
ギリギリの拮抗。
クレージュが息を吐く。
「……これ」
「まだ上がある」
フレイが頷く。
「呼ぶしかないな」
クレージュも理解している。
これはもう
王都事件ではない。
管理案件。
その瞬間。
市場の屋根の上に、
黒い外套の男が立った。
エイド。
静かに、状況を見下ろしている。
「……やっと出たか」
彼の目が細くなる。
灰色術式。
未完成だが、危険。
そして――
六彩がいる。
エイドはゆっくり歩き出す。
「これは」
低く呟く。
「管理対象だ」
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