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4-25「模倣の灰色」

地下封鎖区画。


壁面の刻印が淡く揺れる。


黒衣の男は一歩前に出た。


「六彩は完成形」


「我らは未完成」


「だが差は埋まる」


次の瞬間。


床の刻印が走る。


灰色の線が蜘蛛の巣のように広がった。


「下がれ!」


フレイが叫ぶ。


だが灰色は爆発しない。


吸わない。


――歪ませる。


空間が、わずかに曲がる。


クレージュの体が一瞬重くなる。


「……魔力干渉型」


魔導院長が呻く。


灰色術式・試作型。


六属性の流れを“乱す”術。


「六彩を封じるつもりか」


男は静かに答える。


「検証だ」


クレージュは息を整える。


(乱されている)


火の流れが歪む。


水の循環が崩れる。


六彩を一気に使えば、

回路が暴走する可能性。


(ここで全開は罠)


「クレージュ!」


フランソワーズが前に出る。


「近接で崩す!」


「了解!」


二人が同時に踏み込む。


男は手をかざす。


灰色の波が走る。


フランソワーズの剣がわずかに軌道を逸らされる。


「……空間補正」


「不完全だ!」


クレージュは風を使う。


最小出力。


乱れた流れを整える。


六彩を“押す”のではない。


“均す”。


灰色と拮抗する。


男の目がわずかに細まる。


「制御しているか」


フレイが横から斬り込む。


だが灰色が剣速を鈍らせる。


「面倒な術だな!」


地下が震える。


刻印がさらに光る。


(回路と接続してる)


クレージュは瞬時に判断する。


「壁の刻印を断ちます!」


「できるか!」


「一点だけなら!」


土属性を極小で集中。


壁の一部を崩す。


灰色の流れが一瞬途切れる。


その隙。


「今だ!」


フランソワーズが踏み込む。


剣閃。


黒衣の肩口が裂ける。


血は出ない。


代わりに灰色が漏れる。


「……なるほど」


男は後退する。


「完成形はやはり別格」


クレージュが踏み出す。


「目的は何だ!」


「六彩の構造解析」


「そして」


男の視線が鋭くなる。


「触媒適性確認」


その瞬間。


灰色がクレージュへ収束。


共鳴。


地下の刻印が一斉に光る。


(核化)


エイドの言葉が脳裏をよぎる。


お前は核になり得る


体の奥が熱くなる。


六属性が一瞬暴れかける。


(抑える)


深く息を吸う。


風で流れを散らす。


水で過剰を逃がす。


光で干渉を断つ。


六彩は使わない。


三属性のみ。


灰色の収束が止まる。


男が低く笑う。


「安定している」


「適性は極めて高い」


「……撤退だ」


床の刻印が閃光を放つ。


煙。


次の瞬間、男の姿は消えていた。


静寂。


灰色は消え、地下は崩れた石と刻印の残骸だけが残る。


フランソワーズが振り向く。


「大丈夫?」


「……はい」


だが胸は重い。


敵は確認した。


六彩は使える。


しかも安定している。


魔導院長が低く言う。


「これは研究段階ではない」


「実戦検証だ」


フレイが舌打ちする。


「本気で来るぞ」


クレージュはゆっくり拳を握る。


灰色は事故ではない。


模倣だ。


研究だ。


そして狙いは明確。


六彩を触媒にすること。

お読みいただきありがとうございます。

次回もお楽しみに!

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