表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/131

4-24「封じられた回路」

王都オベールロワイヤルの地下は、広い。


水路、倉庫、古い避難通路。

そして――


クレージュたちは新しい何者かと出会う。

王都オベールロワイヤルの地下は、広い。


水路、倉庫、古い避難通路。

そして――忘れられた構造物。


「この先は、戦争期の封鎖区画だ」


魔導院長が灯りの魔石を掲げる。


クレージュ、フレイ、フランソワーズ、アーニャ。

少数精鋭での調査だ。


灰色の残滓は、地下へと向かっていた。


石壁に刻まれた紋様が現れる。


薄く、だが確かに。


「……これ」


クレージュの声が低くなる。


六属性の流れに似ている。


だが、歪んでいる。


魔導院長が壁を撫でる。


「大陸戦争期の術式刻印だ」


「封印指定第一級」


フランソワーズが眉をひそめる。


「なぜ王都地下に」


「戦時中は、王都が最前線だった」


院長は続ける。


「当時、六属性を“人工的に再現する理論”が研究された」


空気が凍る。


「再現……?」


クレージュがゆっくりと振り向く。


「六彩の前身だ」


院長は断言する。


「だが完成せず、暴走事故が多発」


「結果、理論は封印された」


石床に淡い灰色の痕跡が走っている。


「倉庫街と同じ流れだ」


アーニャがしゃがみ込む。


「匂いが繋がってるにゃ」


クレージュは目を閉じる。


風を使う。


微細な魔力の流れが、壁の奥へ続いている。


「……まだ生きてる」


「封印は解かれていない」


「でも」


壁の奥から、わずかな脈動。


「再接続されてる」


フレイが低く呟く。


「誰かが掘り起こしたな」


魔導院長の顔が険しくなる。


「封印解除は王家許可が必要だ」


「つまり内部犯ではない」


「もっと古い系譜の知識だ」


クレージュの胸が重くなる。


(六彩の再現……)


敵は、模倣している。


だが完成していない。


だから“集めている”。


その時。


壁の刻印が、淡く光る。


灰色。


一瞬だけ。


全員が武器を構える。


だが爆発はない。


脈動が止まる。


「共鳴した」


クレージュが息を吐く。


「俺に反応してる」


沈黙。


魔導院長が静かに言う。


「六彩は“完成形”だ」


「この回路は“未完成の模倣”」


フランソワーズがクレージュを見る。


「つまり、あなたは鍵」


重い言葉。


クレージュは拳を握る。


「違います」


全員が見る。


「俺は鍵じゃない」


「封印側です」


静かな宣言。


フレイがわずかに笑う。


「言うようになったな」


だが事実は変わらない。


灰色術式は、

六彩理論を元に再構築されている。


つまり。


敵は――

六彩の“構造”を知っている。


それは偶然ではない。


魔導院長が低く言う。


「この封印、単独犯では扱えん」


「組織だ」


アーニャが耳を動かす。


「上、誰か来る」


足音。


重い鎧の音ではない。


軽い。


そして規則的。


地下通路の奥から、黒衣の影が現れる。


顔は覆面。


だが刻印は見える。


灰色の紋章。


「……やはり嗅ぎつけたか」


低い声。


クレージュの目が細くなる。


「実行犯か」


「実験観測者だ」


男は言う。


「六彩は完成形」


「だが模倣は可能だ」


空気が震える。

灰色は事故ではない。

研究だ。

組織だ。

そして…

六彩は、

奪われる対象になりつつある。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ