表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
78/130

4-22「灰色の記憶」

第四章は、ここで完全に転換します。

政治でも管理でもない。

クレージュはどう対応していくのか。

夜は深く、静かだった。


だがクレージュの胸はざわついている。


エイドの言葉が、頭から離れない。


灰色の村は、管理側の過失だったとしたら。


(過失……?)


事故ではない。


暴走でもない。


だが“意図的”でもない可能性。


その間にあるもの。


翌朝。


クレージュは魔導院を訪れた。


正式な任務ではない。


個人的な確認だ。


「灰色の村の記録を見せてください」


受付の魔導士が戸惑う。


「それは……機密に近い」


「協力任務の一環です」


嘘ではない。


灰色と同系統の異変が起きた。


関連性はある。


やがて、魔導院長が姿を現す。


「……理由は」


「流れが似ていました」


クレージュは率直に言う。


「奪うのではなく、集める」


「回路を作る魔法」


魔導院長の表情がわずかに変わる。


「……地下で見たのか」


「はい」


沈黙の後、院長は言った。


「来なさい」


地下資料室。


埃を被った巻物と記録水晶。


魔力測定ログが、淡く光る。


「これが灰色の村当日の魔力推移だ」


クレージュは目を閉じ、感じる。


異常な吸引。


だが中心は一点ではない。


複数。


(……回路だ)


「単発暴走じゃない」


「流れが作られてる」


魔導院長が低く言う。


「当時は六彩暴走と判断した」


「だが、証拠はなかった」


「管理側の観測遅延があった」


クレージュの胸が締まる。


(遅れた……?)


「回路形成に気づけなかった」


「結果として、

暴走と誤認した」


「つまり」


クレージュの声が低くなる。


「六彩が原因じゃなかった可能性がある」


魔導院長は、はっきり言わない。


だが否定もしない。


「もう一つある」


院長は、別の記録水晶を取り出す。


「倉庫街の異変」


二つの波形を並べる。


灰色の村。

倉庫街。


酷似している。


違うのは規模だけ。


「……誰かが」


クレージュの喉が乾く。


「“流れ”を研究している」


沈黙。


魔導院長は、静かに言った。


「六彩の魔力量は、巨大だ」


「それは吸引の“核”として理想的だ」


クレージュの背筋が冷える。


(俺を核にするつもりだった……?)


灰色の村は失敗。


倉庫街は小規模実験。


流れは、完成していない。


だが確実に“設計されている”。


その時、背後で声がした。


「やはりそこまで辿り着くか」


振り向く。


エイドが立っている。


「管理者」


魔導院長が警戒する。


「敵ではない」


エイドは淡々と言う。


「少なくとも、

今は」


クレージュは一歩前に出る。


「知ってるんですか」


「灰色の村の真相を」


エイドは少しだけ視線を落とす。


「完全ではない」


「だが」


「流れを“外から”歪める技術がある」


「王国内部ではない」


「もっと古い系譜だ」


空気が凍る。


「……古い?」


「六彩以前の理論」


「大陸戦争期に失われたはずの術式」


魔導院長の顔色が変わる。


「それは……禁忌だ」


エイドはクレージュを見る。


「お前を管理するより、

先に潰すべきものがある」


「灰色は事故ではない」


「実験だ」


クレージュの拳が、無意識に握られる。


(灰色の村は……実験)


怒りが湧く。


だが暴れない。


(保つ)


エイドは静かに言う。


「お前は核になり得る」


「だから狙われる」


「枠の中にいる方が、まだ安全だ」


沈黙。


クレージュはゆっくり顔を上げる。


「……なら」


「探します」


「灰色を作った流れを」


エイドはわずかに口元を緩める。


「それが次の試験だ」

“灰色の村の真相”。

六彩は狙われる存在か。

それとも、阻止する鍵か。


均衡は、再び揺れ始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ