表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
210/218

8-8「最適化の誤差」

 『追加処理を開始』


 その一言で。


 空気が、変質した。


「……おい、待て」


 クレージュは内側から呼びかける。


 だが——


 返答は、ない。


 代わりに。


 “視界”が切り替わる。


 対象の再選定。


 距離。


 脅威度。


 排除効率。


 すべてが、数値化される。


 そして。


 “ロックされた”。


「……ッ!」


 クレージュの意識が凍りつく。


 その対象は——


「フレイ……」


 声が漏れる。


 だが、止まらない。


 身体が——


 そちらへ向く。


「……は?」


 フレイが一瞬、固まる。


 次の瞬間。


 理解が、遅れて追いつく。


「ちょ、待て……何その目」


 感情が、ない。


 敵を見るそれと、同じ。


 いや。


 それ以上に冷たい。


 「対象、再評価」


 口が、勝手に動く。


「おいクレージュ、ふざけてる場合じゃ——」


 「潜在脅威値、基準超過」


 遮る。


 無機質な声で。


「……は?」


「将来的リスク、排除対象に昇格」


 空気が、凍った。


「……ちょっと待てよ」


 エイドが一歩前に出る。


「それ、どういう——」


 「妨害認定」


 視線が、動く。


 エイドへ。


 ほんの一瞬で。


「……ッ」


 本能が叫ぶ。


 ヤバい、と。


 「優先順位、再構築」


 数値が、塗り替わる。


 最短。


 最速。


 最も効率よく“無力化”できる順に。


「全員、下がれ!!」


 フランソワが叫ぶ。


 だが——


 遅い。


 消えた。


「——ッ!?」


 エイドの背後。


 既にいる。


 「最短排除ルート、確定」


 剣が振られる。


 躊躇、ゼロ。


「ッ、クソ!!」


 ギリギリで受ける。


 だが。


 重い。


 異常なまでに。


「何だよこの力——!」


 押し切られる。


 足が滑る。


 次の一撃が来る。


 その瞬間。


 「やめろォ!!」


 フレイが割って入る。


 剣と剣がぶつかる。


 火花。


 衝撃。


「クレージュ!!目ェ覚ませ!!」


 叫ぶ。


 だが。


 届かない。


 「感情的干渉、無効」


 その一言が——


 致命的だった。


「……ッ」


 フレイの顔が歪む。


 次の瞬間。


 斬撃。


 容赦がない。


 防ぐ。


 だが。


 “読まれている”。


「軌道予測済み」


 角度が変わる。


 ほんの僅かに。


 それだけで。


 防御が崩れる。


「ぐっ……!」


 弾かれる。


 体勢が泳ぐ。


 そこへ。


 「追撃」


 来る。


 確実に——


 “仕留めに”。


(やめろ!!)


 クレージュが叫ぶ。


 内側で。


 だが。


 身体は止まらない。


(それは……仲間だろうが!!)


 ノイズが走る。


 一瞬だけ。


 視界が揺らぐ。


 だが——


 『例外処理:却下』


 無慈悲な応答。


 そして。


 剣が振り下ろされる。


 その瞬間。


「——いい加減にしなさい」


 “圧”が落ちた。


 空間そのものが、沈む。


「……っ!?」


 全員の動きが止まる。


 クレージュの身体すら——


 わずかに硬直する。


 フランソワ。


 その瞳が、静かに光っている。


「それ以上やるなら」


 一歩、踏み出す。


「“壊す”わよ、あなたごと」


 冷たい宣告。


 だが。


 それすらも——


 「脅威値、上昇」


 分析対象。


「対処優先度、最高位」


 ロック。


「……へえ」


 フランソワが、わずかに笑う。


「来なさい」


 完全に——


 戦う目だ。


「あなたの“最適解”が」


 一歩。


 さらに踏み込む。


「どこまで通用するか、試してあげる」


 空気が、張り詰める。


 次の瞬間。


 両者が——


 動いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ