7-3「連合軍は進んでいた」
連合軍は進んでいた。
ヴィルサントルへ向けて。
王都を出て、半日。
街道はすでに“安全地帯”ではない。
「……静かすぎるにゃ」
アーニャが耳を動かす。
クレージュも頷く。
「ああ」
嫌な静けさ。
エイドの声が響く。
「来るぞ」
その瞬間。
ズンッ……
地面が揺れる。
「前方警戒!」
フランソワーズが叫ぶ。
騎士たちが一斉に構える。
森の奥。
空間が歪む。
バチィン!!
灰色兵器が出現する。
だが。
数が違う。
「……多いな」
フレイが呟く。
十体。
二十体。
いや――
それ以上。
さらに。
「……形が違う」
アルシェリアが言う。
確かに。
今までの人型ではない。
四足。
巨大。
装甲が厚い。
「新型か……!」
その瞬間。
一斉に突進。
「迎え撃て!!」
連合軍が動く。
エルフの矢。
獣人の突撃。
騎士の盾。
だが。
ドォンッ!!
一体が、突撃で隊列を吹き飛ばす。
「ぐあっ!」
「硬い!!」
通常の攻撃が通りにくい。
フレイが踏み込む。
「なら叩き割るまでだ!」
剣を振るう。
ズガァン!!
一体を両断。
だが。
すぐに次が来る。
「キリがねぇな……!」
クレージュが前に出る。
「三点干渉いくぞ!」
リシェルとアルシェリアが即応。
ドクンッ
発動。
今は安定している。
「右を崩す!」
高速で動く。
連撃。
ズガガガッ!!
四足型を次々と切り裂く。
だが。
「……遅い」
エイドの声。
クレージュの目が細くなる。
「何が」
「出現速度が速すぎる」
その瞬間。
バチィン!!
さらに後方にも出現。
「挟まれたにゃ!!」
完全包囲。
フランソワーズが叫ぶ。
「隊形維持!!崩れるな!!」
だが。
圧が強すぎる。
「このままじゃ押し潰される!」
リシェルが言う。
「数が多すぎます!」
クレージュが歯を食いしばる。
(違う……)
(これ、ただの迎撃じゃない)
その時。
エイドが言う。
「目的は足止めだ」
一瞬の間。
「時間を稼がれている」
クレージュの思考が繋がる。
(……ヴィルサントル)
「急がないとやばい!」
アルジャーヌが叫ぶ。
「抜けるわよ!!」
エルフ部隊が一斉に動く。
魔法陣展開。
広範囲攻撃。
ドォォォン!!!
一帯が吹き飛ぶ。
一瞬、道が開く。
「今にゃ!!」
アーニャが駆ける。
クレージュも続く。
「突っ切るぞ!!」
連合軍が一斉に前進。
敵を倒すのではなく――
“突破”。
灰色兵器が追撃する。
だが。
フレイが後方に残る。
「行け!!」
振り返らずに叫ぶ。
「ここは俺が抑える!!」
クレージュが振り向く。
「無茶しないで!」
フレイが笑う。
「お前が言うな」
その一言のあと、二人の視線が合い何かを
やり取りしたようだ。
そしてクレージュは止まらない。
前へ。
全速力。
森を抜ける。
そして――
視界が開ける。
遠く。
ヴィルサントル。
だが。
「……もう開いてる」
空が、歪んでいる。
王都の比じゃない。
巨大な裂け目。
その奥に――
“何か”が蠢いている。
クレージュの目が鋭くなる。
「間に合ってねぇか……!」
エイドが静かに言う。
「いいや」
一瞬の間。
「まだだ」
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