表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
130/135

6-23「帰還と代償」

落ちる。



感覚が戻ってくる。



重力。


空気。


音。



「――ッ!」



クレージュの身体が、王城の石床に叩きつけられた。



「がはっ……!」



息が詰まる。


肺が焼けるように痛い。



視界が滲む。



「クレージュ!」



リシェルの声。


すぐ近く。



「……無事、ですか……」



振り向く。


リシェルも倒れている。


だが、生きている。



アルシェリアも、静かに目を開く。



「帰還……確認」



その一言で。


全てが繋がる。



(……戻ってきた)



王都。


現実。



その瞬間。



「よくやった!!」



フランソワーズが駆け寄る。



「生きているか!」



フレイも続く。



「死にかけてんな、お前ら」



だが。


その声は、少しだけ震えていた。



クレージュは笑う。



「……ギリだな」



本当に。


ギリギリだった。



エイドの声が静かに響く。



「門核は停止」



「接続も完全遮断」



一瞬の間。



「……勝利だ」



その言葉で。



王都に、遅れて歓声が広がる。



騎士たち。


市民。



誰もが理解しているわけではない。



だが。



“終わった”ことは分かる。




その後。



クレージュたちは医療区画へ運ばれた。



簡易ベッドに横たわる。



身体が、動かない。



まるで。


中身を全部使い切ったような感覚。



「……これは」


クレージュが呟く。



「ひどいな」



エイドが答える。



「当然だ」



「お前は“核”に直接触れた」



一瞬の間。



「普通なら死んでいる」



さらっと言うな。



クレージュは苦笑する。



「だろうな……」



リシェルが心配そうに見る。



「大丈夫ですか?」



クレージュは少しだけ腕を動かす。



重い。



「……しばらく無理だな」



アルシェリアが言う。



「魔力枯渇」



「それ以上に――」



言葉を止める。



クレージュが聞く。



「それ以上に?」



アルシェリアは静かに言う。



「……“混ざった”」



その言葉。



空気が変わる。



クレージュの目が細くなる。



「何が」



エイドが答える。



「核の情報だ」



一瞬の間。



「お前の中に、残っている」



クレージュの鼓動が早くなる。



ドクンッ



胸の奥。



“何か”がある。



(……これか)



はっきりと感じる。



自分のものじゃない。



“別の何か”。



リシェルが息を呑む。



「危険じゃ……」



エイドは即答する。



「危険だ」



はっきりと。



「だが」



一瞬、間。



「使える可能性もある」



クレージュが苦笑する。



「両極端だな」



フレイが横から言う。



「いつも通りだろ」



確かに。




その時。



扉が開く。



王が入ってくる。



全員が静まる。



王はクレージュを見る。



「報告は受けた」



短く。



「よくやった」



それだけ。



だが。



十分すぎる言葉だった。



クレージュは軽く頭を下げる。



「……なんとか」



王は続ける。



「門は閉じた」



「だが」



一瞬、間。



「終わっていない」



全員が理解している。



それでも。



王の口から言われると、重い。



「敵は“こちらを認識した”」



クレージュの目が細くなる。



(……やっぱりか)



王は続ける。



「次は」



ゆっくりと。



「より確実に来る」



完全な宣告。




その頃。



“どこか”。



暗い空間。



グラディオが立っていた。



その前に。



“あの気配”。



《報告》



グラディオは静かに言う。



「門核、停止」



《……予想外だ》



一瞬の沈黙。



だが。



《だが問題ない》



その声は、揺るがない。



《観測は完了した》



グラディオの目が細くなる。



「……次は?」



短く問う。



《段階を上げる》



その一言。



空間が、わずかに震える。



《“完全接続”の準備に入る》



クレージュたちが止めたはずのもの。



それが――


次は“完全”になる。



グラディオが小さく笑う。



「面白い」



そして。



「ならば――」



一瞬の間。



「こちらも本気でいくか」



その目は。



完全に“戦う者”のものだった。

お読みいただきありがとうございます。

次回もお楽しみに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ