6-22「溢れ出すもの」
触れた瞬間。
核が、応えた。
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ドクンッ
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鼓動。
それは生き物のようだった。
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「――ッ!!」
クレージュの身体に、全てが流れ込む。
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光でもない。
灰色でもない。
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“その奥”。
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存在の根源。
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「……がっ……!」
膝が砕けそうになる。
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だが。
手は離さない。
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(離したら……終わる)
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その瞬間。
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核が、開く。
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バキィッ
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何かが“割れる”音。
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境界が、軋む。
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「まずい!!」
エイドの声が叫ぶ。
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「干渉が強すぎる!」
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「核が暴走する!」
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リシェルが叫ぶ。
「クレージュ!!離れて!!」
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だが。
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クレージュは動かない。
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(まだだ……)
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(ここで終わるな)
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アルシェリアが言う。
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「制御不能」
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「このままでは――」
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言い切る前に。
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ズドォォォォン!!!!
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爆発。
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境界層そのものが揺れる。
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空間が裂ける。
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外側――
王都にも、影響が出る。
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王城の上空。
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「なっ……!?」
フランソワーズが空を見上げる。
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歪みが、広がっている。
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「門が……!」
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フレイが舌打ちする。
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「逆に開きやがったか……!」
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騎士たちがざわめく。
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「隊長!これ以上は――」
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フランソワーズが叫ぶ。
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「踏みとどまれ!!」
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「中の三人がやっている!!」
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その言葉だけで。
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全員が持ちこたえる。
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信じている。
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中の三人を。
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境界層。
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クレージュの意識が揺れる。
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(……重い)
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(全部が……)
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流れが暴走している。
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光も。
灰色も。
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そして。
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“それ以外”も。
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エイドの声が響く。
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「限界だ!」
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「今すぐ切れ!!」
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クレージュが叫ぶ。
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「まだだ!!」
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リシェルが涙を滲ませる。
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「死にますよ!!」
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アルシェリアが静かに言う。
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「それでもやるなら」
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一瞬の間。
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「支える」
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リシェルも頷く。
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「私も」
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三人の意思が、重なる。
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ドクンッ
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今度は違う。
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暴走ではない。
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“意志”で繋ぐ。
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クレージュの目が変わる。
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(……掴め)
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核の中心。
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暴れている流れ。
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それを。
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“掴む”。
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「――止まれ」
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言葉。
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意味はない。
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だが。
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伝わる。
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核が、震える。
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「……応答、異常」
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使徒の声が揺れる。
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初めて。
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明確に。
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“狂う”。
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クレージュが叫ぶ。
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「閉じろォォォ!!」
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全ての力を叩き込む。
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リシェルの光が一点に集まる。
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アルシェリアの灰色が固定する。
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三つの力。
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いや。
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“それ以上”。
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重なる。
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バチィィィィィィン!!!!!!
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爆発。
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光が弾ける。
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灰色が崩れる。
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そして――
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核が、収束する。
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ドクン……
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一度。
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静かに脈打つ。
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そして。
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止まる。
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完全停止。
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静寂。
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境界層が、安定する。
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歪みが、消えていく。
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王都。
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空が戻る。
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ヒビが消える。
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門の気配が消失する。
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フランソワーズが剣を下ろす。
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「……終わったのか」
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フレイが息を吐く。
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「……やりやがったな」
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境界層。
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クレージュが、その場に崩れ落ちる。
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「……はぁ……っ……」
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リシェルも倒れ込む。
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アルシェリアも目を閉じる。
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エイドの声。
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「……成功だ」
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一瞬の間。
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「門核、完全停止」
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クレージュが空を見る。
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もう何もない。
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ただの“空間”。
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(……終わった)
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だが。
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その奥で。
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微かに。
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“何か”が動いた気がした。
お読みいただきありがとうございます。
次回もお楽しみに。




