6-3「王都襲撃」
――ドォォォン!!
王都の南区画で、爆発が起きた。
石畳が砕け、建物の壁が崩れ落ちる。
悲鳴が広がり、人々が一斉に逃げ惑った。
「な、何だ……!?」
「魔物か!?」
「違う……あれは――!」
煙の中から現れたのは、灰色の巨体。
灰色兵器。
だが、これまでとは違う。
より大きく、より歪んでいる。
胸部の魔石は不安定に脈動し、周囲の魔力を無理やり引き剥がしていた。
「ギィィィ……!!」
異様な音を発しながら、一歩踏み出す。
そのたびに地面が沈む。
王都の中で。
人がいる場所で。
容赦なく。
――同時刻、王城。
「南区画で爆発! 灰色兵器を確認!」
伝令が叫び込む。
会議室の空気が一瞬で変わった。
フランソワーズが即座に動く。
「出るぞ!」
クレージュはすでに扉へ向かっていた。
「行きます」
リシェルが言う。
「私も――」
「ダメです」
クレージュが振り返る。
「ここにいてください」
「でも!」
「守る対象が外にいる」
短い言葉。
だが、それで十分だった。
リシェルは言葉を失う。
クレージュは続ける。
「だから、行きます」
そのまま駆け出す。
フレイが後を追う。
「いい判断だ」
エイドも静かに続く。
アルシェリアも言う。
「共鳴が必要」
フランソワーズが最後に言う。
「王女は私が守る」
扉が閉まる。
その音が、やけに重く響いた。
――南区画。
灰色兵器が腕を振り下ろす。
ドンッ!!
建物が崩壊する。
瓦礫が飛び散る。
「逃げろぉぉ!!」
人々が叫びながら走る。
だが間に合わない。
一人の子供が転んだ。
「……あ」
立ち上がれない。
迫る影。
次の瞬間。
風が走った。
「間に合った」
クレージュがそこにいた。
子供を抱え、一瞬で距離を離す。
「大丈夫か」
「う、うん……」
震える声。
クレージュは軽く頭を撫でる。
「もう大丈夫だ」
その言葉に、少しだけ安心が戻る。
だが。
灰色兵器は止まらない。
標的を変える。
今度はクレージュ。
「……来るか」
クレージュは剣を構えた。
フレイが横に並ぶ。
「派手にやるぞ」
アーニャが屋根の上に現れる。
「任せるにゃ!」
フランソワーズが到着する。
「市民を優先しろ!」
「了解!」
アルシェリアが前に出る。
「来るよ」
灰色兵器が踏み込む。
拳が振り下ろされる。
クレージュは真正面から踏み込んだ。
「……遅い」
一瞬で懐へ。
剣を振るう。
ガキンッ!!
装甲が軋む。
だが、硬い。
フレイが叫ぶ。
「右だ!」
フランソワーズが連撃。
関節部にヒビ。
アーニャが背後へ。
「削るにゃ!」
だが。
灰色兵器の魔力が膨張する。
「……まずい」
アルシェリアが言う。
「暴走する」
クレージュが理解する。
(巻き込まれる)
市民がいる。
逃げきれていない。
「ここで止める」
踏み込む。
アルシェリアも同時に動く。
距離が近づく。
空気が変わる。
共鳴。
灰色の流れが揺らぐ。
「今!」
クレージュが一点に集中。
全力で突き込む。
バチッ!!
魔石が歪む。
フレイが重ねる。
フランソワーズが斬る。
アーニャが削る。
そして――
ドォォン!!!
灰色兵器が崩壊した。
爆発。
だが制御された範囲内。
クレージュが風で衝撃を散らす。
瓦礫が舞い、やがて静まる。
沈黙。
そして――
歓声。
「助かった……!」
「騎士様……!」
「すごい……!」
クレージュは息を整えた。
だが、その目はまだ緩まない。
エイドが言う。
「終わりではない」
クレージュが空を見る。
黒い煙。
別の方向にも上がっている。
「……複数か」
フランソワーズが低く言う。
「同時襲撃」
アルシェリアが呟く。
「……本気だ」
クレージュは剣を握り直した。
王都は、戦場になった。
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