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薔薇の下
美の神アプロディーテーが愛の神エロースに贈った薔薇は、アプロディーテーの不貞行為が広まらぬようにと、エロースより沈黙の神ハルポクラテースへと贈られた。
以降、ラテン語のsub rosa、及びそこから派生した英語慣用句under the roseが意味するように、薔薇の花は秘密を表すものとなった。
曰く、sint vera vel ficta, taceantur sub rosa dicta.
――真実であれ、偽りであれ、薔薇の下で言われた物事は、それによって人の口を閉ざす。
これは薔薇の下に人知れず咲いて散った梔子の話。
既に誰も知り得ない、答えかもしれない話。




