14話 残念な看病
あれから数時間が経過した。
そこからすぐに体調が良くなることは起きず、ずっと看病されていた。
前にも話した通りエルナは面倒見がいい。
その場に放置というのはまずありえない。
1時間経つ事に必ず容態を聞いてくる。
そこまで必要か?ってぐらい聞いてくる。
それに体調が良くなるまでは一緒のベットで寝るらしい。
ちなみに勝手に出ていくか見張るためだそうだ。
なんというか苦しい言い訳にしか聞こえてこない。
まぁ、そんなことはいいとして幾分か気分はマシになった。
貧血は治ってないけど。
「なぁ」
「ん?どうしたの?」
「エルナはさ、吸血鬼だろ。吸血鬼って何人いるんだ?」
「………わかんない。そもそもこの世界には種族の世界がある」
「種族の世界?」
「そんなにないけど……。今あるのは神界、魔界、吸血鬼界、他にもあるけど今ここにいる世界も種族が混合しているから混合界って呼ばれてる」
「そんなにあるのか…。吸血鬼って別に少ないわけじゃないんだな」
「そう聞いてる。私は吸血鬼界には行ったことないけど。昔、家族からそう聞いた」
「そうか、ちなみに今の俺って吸血鬼なのか?」
「わかんない。けど、見た感じ吸血鬼の力は感じられない。多分、何かをきっかけに力が目覚めるかもしれない」
「きっかけ……か。まぁ、別に吸血鬼にならなくても困ることないしな」
それにしても、種族の世界があるのか…。予想してたのと全然違う。
吸血鬼はもっと数が少ないと思っていたけどそんなことないんだな。
クラっと頭がフラフラするがユウマはゆっくりと上半身だけを起こす。
その時エルナに体を支えられる。
「どうしたの?」
「いや、暇だしちょっとな」
「なにか聞きたいの?」
「いつになったらその素顔が見れるのかなって。そう思っただけ」
「………ユウマには悪いことしたけど。ごめんまだ見せられない」
「そうか。まぁ別にそこまで気にしてないけど」
「うん……。そういえばユウマのステータスはどんな感じなの?」
「ステータス?あぁ最近見てないな」
ステータスを開く。
────────────────────
ユウマ・ナルセ
戦闘力4300
────────────────────
「戦闘力が4300まで上がってる」
「1ヶ月でそこまで上がるんだ」
「俺も驚いてる」
「私まだ10000くらいなのに」
「それでも結構高いと思うが……」
「足りない。全然足りない」
「………足りない………か。となるともっと戦闘力を上げないとな」
そんなことを2人で話しているうちに時間はあっという間に過ぎていく。
時々吐きそうができるだけ我慢する。
そんな中エルナが部屋から出ていく。
時刻を見ると午後の18時だった。
そういえば、俺は今日は何も食べていなかった。
昼の時間の時も貧血で倒れたから仕方ないと言えば仕方ないけど………。
なんというか今日はほんとに災難だった。
頭はまだクラクラする。
体調もそこまで良くはない。
常に気持ち悪い。
酔ってる感覚。
しばらくしてエルナが戻ってきた。
寝ているので上しか見れないがなんとエルナが体を起こしてくれた。
「助かる」
「大丈夫。それより体調の方はどう?」
「ダメだな。数時間しか経ってないけど良くなる見込みは今のところないな」
「そう、とりあえずご飯。下で食べれそうなものだけ一応持ってきたけど……。食べる?」
「食べる。お腹減った」
エルナは近くの床頭台に食事を置いてくれた。蓋がしてあり見ると魚料理があった。
白身魚のようなもの。
スプーンを取ろうと左腕を伸ばすが届かず、エルナがスプーンを取り魚をユウマの口元まで持っていく。
「はい、口開けて」
「え?………あ、あぁ。あっんむ……」
……………………美味い
………………………………美味いんだよ
………………………………………美味いんだけど…
なんというか嬉しいけど……。
複雑な気分だった。
銀仮面を外して素顔をさらけ出してくれたらどれほど良かっただろうか………。
というかよくその格好でずっと居られるものだ。
俺だったら絶対無理。
咀嚼しながらエルナはどんどんスプーンを口に運んでいく。
まぁ、いいかな。
これでも
そこからまた時間がある程度経ち、俺は風呂に入る。
料理は一応完食しエルナは木の食器を返しに行った。
当然体貧血なので体がだるい。
「……んぁぁぁぁぁっ。ふぅ、今日は収穫したものが多かったな」
湯船に入りながら一日を振り返る。
武器を買い、難民の状況を把握出来てた。
何より1番の収穫はエルナのことだ。
料理を食べている時にある程度聞いたのだ。
吸血鬼の力そしてスキル。
もし、今後の旅で吸血鬼の力が適応されるのだとしたら……。
スキルについても内容を理解した。
弱点も見つけた。
利用するには十分な戦力だ。
今の俺はあいつにとって、無知な男にしか見えないはずだ。
………それでいい。
目的は未だに把握出来ないがそれは時間が解決してくれる。
「……目の前のことに集中しよう。1ヶ月鍛えて、大陸を目指す」
東の大陸に着いたら別れるかもしれないが……。
いや、後で考えよう。
「にしても、きつ」
頭がぼーっとする。
そろそろ………出ないと。
ゆっくりと体を起こし、風呂から出て体を拭く。
服を着て隠しナイフを装着する。
そのままベットに入り目を瞑る。
昼頃に散々寝たので眠気はやって来ない。
ガチャッと扉が開く。
エルナが帰ってきた。
手には水の入った桶を持っておりそれを床頭台に置いた。
そこでエルナはあることに気づく。
「剣……買ったの?」
「ん?……あぁ今日買った。一応剣を習っていたから使うには丁度いいと思った」
「ふぅん。…剣って何を習っていたの?」
「剣奏流っていう剣術」
「それって使える?」
「どうかな………。実践で使ったことないから。どれほど通用するか分からない」
「けど戦闘の役割は分担できる」
「確かに……。俺が前衛でお前が後衛」
「うん。私はそもそも支援能力の特化型みたいなものだから」
「それもそうだな。今後の為に連携とかスキルとか話すのもいいだろ」
話すことに夢中になっていたが眠気に襲われるユウマ。
それを悟ったのかエルナは静かに見守る。
「やべぇ、眠くなっ………………」
「おやすみユウマ」
やがて、ユウマの意識は落ちた。
ユウマを少し見た後エルナはモソモソとユウマが寝ているベットに入った。
しかも、しっかり寝ていることを確認した上で奥の方にお邪魔していた。
とはいっても、他意はない。
ベッドに入ってもトキめくことはなく、
自分のベットに寝ようとしているだけだ。
ただ単に自分のベットで寝ようとしてただけだ。
そして数分もしないうちにエルナも深い眠りに落ちた。
読んでくださりありがとうございました。
よろしければコメント、評価、☆☆☆☆☆→★★★★★お願いします。




