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15話 それは突然に

あれから3日ほど経過した。

体調もだいぶ良くなり1人で動けるようにはなってきた。

その間はエルナが看病をしてくれたが…………。


何故かいつも朝になると隣で寝ている。

しかも、あいつが奥で俺が手前の方に移動している。


あれ?なんでだろう?まぁ、大方寝ている間に忍び込んでいるのだろう。


隣で寝ているエルナを見てひとつ思い立ったことがある。

寝てるんだったら仮面外せるんじゃね?と。

信用してないのによく俺の隣でそんな無防備に寝られるなぁとかそんなことを思ってしまう。


仮面を外そうと手を伸ばすが、タイミングを見計らうかのようにエルナはむくりと起きて俺を睨むような視線を向ける。


バレた…………。


その日は罰として倒れるほど血を吸われた。




ということもあったが俺は元気にやっている。

今は丁度魔力操作の練習をしている。

ちなみにエルナはどこかに出掛けている。


聞こうとしたが睨まれたのでそれ以上の追求はしなかった。



「今日はこんなもんかとりあえず。大分、魔法も使えるようになってきた」


魔力でプラズマをパチパチと纏わせる。

雷の魔法は放電させるだけが取り柄じゃない。

その性質を変えることも可能だ。


まぁ、そんなことはいいとして。


あと1ヶ月。

この期間で生き残れるくらい強くならないとな。

蒼月を抜き、しっかりと持つ。

懐かしい。

昔、ばあちゃんに真剣の持ち方が違うと言われてよく竹刀で叩かれていた。


「まずはおさらいと行こう」


剣奏流の型を作る。

が剣奏流に型はない。

というより、構えないのが型。

剣を振るう時、腕をしなやかに柔らかく、鞭のように。


鋭く


瞬間、まっすぐ前に突き出した剣は風を起こし、周りが揺れた。

敵の間合いに入り、一瞬で攻撃をする。

剣奏流の基本剣術だ。

これに加えて技を繰り出していく。


「小さいころからやってたからかな?2年振ってなくても出せる。………けど、やっぱ思った通りキレはなくなってるな。……もっと早く、動かして、しならせないと」


ただ、これをずっと練習するのも結構辛い。

最後に振ったのはもう2年も前になる。

昔出来た剣術もそう簡単に出せそうじゃない。


それともう1つある覚悟が必要だ。


それは人を殺す覚悟。

正直に言って人を殺せるかと言われたら殺せるかどうか分からない。

今までずっと、俺は日本という国で過ごしてした。

殺しとか戦争とか、関係がないとは言いきれないがそれでもほとんど無縁のまま生活してきたのだ。


だが、生憎と剣術を習わされた時に、ばぁちゃんからこんな話をされた。


『お前は人を殺せるか?』


なぜそんなことを意図して聞いてきたのか全く分からない。

今でも理解ができない。

…………けど、そんな状況が近づいてる。

殺し合いがくれば俺きっと………。


「まぁ、それは後で考えよう。今は練習だ」


そこから、数時間くらい練習していった。




今は昼、俺は昼食を取るため1度街に戻った。

そういえばエルナはどうしているのだろうか?


…………………?


今俺、なんでエルナのことを考えてたんだ?

意味がわからん。

そんなの気にすることないのにな。


止まっていた足を再び歩かせ、いつも通ってる店に行く。

俺が毎日通っている店は魚の料理店。

いつも新鮮な魚が入ってくるので普通に上手い。

異世界の料理も割とバカにできないから俺自身結構気に入ってる店だ。


「にしても最近は落ち着いてきたな」


と、頼んだ料理を食べつつそんなことを口にする。

3日前までは難民同士で争っていたが今はそれが領主の騎士によって鎮圧され、大人しくしている。

今までこの話を聞いておかしいと思っただろう。

普通難民は戦争や感染病の蔓延など、住んでた地域に居られなくなり他国に庇護を求めること。

それが今両国で起こっている。


話によると事の始まりは戦争が始まって10日後、その日は西の国リィが北の国ピークスに向けて戦略級の魔法を放った。


それにより被害は拡大、一部の地域は壊滅。

普通は他の市民を殺すことはしないのだが、その行為によって北の国ピークスがキレて、西の国に同じことをした。


その爆音が起こった日、俺は異世界に飛ばされた。


西の国もまた被害が酷くソルカデンに避難してきたということだった。

そのぶつかり合いがソルカデンでも伝染したみたいな感じだ。

結局は両国共に『おめぇらのせいでめちゃくちゃだ!!責任とれや敗北者がっ!』と言いたいわけである。


そう、責任の擦り付け合い。


くだらない、本当にくだらない。


「って言うとだったらお前がやってみろって話なんだよなぁ。まぁ、それが言えないからあんまり口に出来ないけど。アホな話だなほんと」


色々考えながら昼食を取った俺は、店を出る。難民キャンプには近づかず遠回りで宿屋に1度戻る。

エルナと少し話をするためだ。

吸血鬼についてもう少し知りたいと思ったからだ。

俺の体には吸血鬼の力が眠っている。

それはエルナの体液が俺の中に入り、突然変異の影響で吸血鬼になってしまった。


その吸血鬼の力を使いこなす為に色々聞きたいのだが…………。

宿屋に戻った俺はエルナの部屋に訪ねたがそこにはいなかった。


「まだ戻ってないのか………」



どうしようか?


寝るかな。

ずっと体を動かすわけにはいかないし。

何かあった時のために休めておこう。

それからベッドに寝っ転がり静かに目を閉じる。

そのまま俺の意識は落ちた。





『……マッ!!ユウ…ッ!!ユウマッ!!』


「──ッ!?」


突然頭の中に響く声で目を覚まし体を起こした。

今の声はエルナ?

でも………なんで?

………何かあったのか?


それにあの声は能力によるもの。


確か念話。

エルナが持ってる能力の一つ。

それが俺に使われた。

ということは何か緊急時のことがあったのだろう。

だがそれはなんだ?


宿屋を出ていき、街を歩きながら考える。


吸血鬼ということがバレた?

いや、それにしては街はいつものように賑やかだ。

街の人が脅かされるようなそんな話は一切なかった。

そもそもバレないように銀の仮面を付けている。

一応、吸血鬼のことがバレたということはないようだ。


なら、他にはなんだ。



ここにいないということは誰に連れ去られた。

誰にやられた。

候補として上げられるのは……。



………とりあえず




ヴァンパイアハンターか

読んでくださりありがとうございました。

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