13話 本能
何日ぶりの投稿だっけ?
突然殴りかかってくる男。
こう言う対処は昔じいちゃんから教えてもらった。
襲撃されてるとは言ったものそこまで脅威ではない。
感情に任せて向かっていてるだけ。
単純かつ単調、故に読まれ易い。
「っ!」
ユウマはそのまま繰り出された右の拳を受け止めその勢いを使って背負い投げる。
「ぐぁっ!?」
思いっきり地面に強打しその男は倒れた。
倒れた男はユウマを睨みつける。
「ビビったァ!………けど、なんで俺なんか?」
「く………そ!これも………全部あいつがッ!」
「は?あいつ?誰だよアイツって?」
「……………」
だが、ユウマが聞く前に男は気絶した。
そして、ユウマのことを見ていた一人の男が前に出てくる。
「おい、悪いことは言わない。ここから早く出ていけ。見たところ、難民って感じじゃ無さそうだ。迷惑をかけたな」
「え?………あ、あぁ。すまない。安易にはいるところじゃなかったな」
思っていたことと違うことを言われたユウマ。てっきり、『よくもやってくれたなッ!!』と殴られるとばかり思っていた。
なので、素っ頓狂な声を出してしまったが男の言う通り直ぐに立ち去っていく。
幸いなことに騎士や傭兵には見つからなかった。
「ふぅ………。どんな状況なのか気になって入った俺が悪かったな。にしてもあの男。あいつのせいでって言ってたけど。一体誰だ?」
そんな事を考えながら宿屋に戻っていく。
それにしても隠しナイフが邪魔にならなかった。
一応鞘も付けているがそれでも手首を曲げても違和感がなかった。
「まぁ、いいか。けど凄いなこれ。………あの店主には感謝だな」
それに白銀の剣の名前を教えてくれた。
この剣の名前は蒼月。
なぜその名前なのか店主も分からないらしい。それから数分で宿屋に着いた。
「アイツどうしてるかな」
ユウマは自然とエルナなのことを考えていた。そこに疑問を持つことはなかった。
それは仲間だと思っているからだろうか。
中に入り、階段を登る。
鍵を開けて自分の部屋に入り椅子に腰をかける。
時計を見ると午後の13時だった。
お昼を食べるためエルナに声を掛けようと部屋を出ていく。
エルナがいる部屋まで行きノックをする。
が、反応はない。
「エルナ?いるか?………入るぞ」
鍵は空いており、そっと中に入る。
不用心な。
中は静かだった。
電気はついておらずカーテンも開けていなかった。
暗くてよく分からないがエルナがいた。
相変わらず顔は隠しており髪の毛一本も見えない。しかし異様に目が赤く光っていた。
「おい、居たなら返事してくれ」
「………こ……で」
「は?」
今のエルナは正常には見えなかった。
ヨロヨロと立ち眩んでおり、近づこうとすると……。
「………だ……め」
するとエルナはまるで気を失ったかのようにぶらんと体に力を入れずゆらゆらとこちらに近づく。
「お、おい………っ!」
そして次の瞬間、急にエルナがユウマの方に飛び襲ってきた!
「ぐぉ!?」
思いっきり床を強打しそのままエルナに抑えつけられる。
あまり速さに反応できず抵抗する暇もなかった。
銀仮面には目を開けているので光る赤い瞳がこちらを見据える。
その目はまるで捕食者の目だった。
まるで、今からご馳走を頂くようなそんな雰囲気を醸し出している。
腕を広げて抑えられてるため短剣を取り出すことも魔力でスライドさせることも出来ない。
直感でわかる。
これは本気でやばい。
命の危険もあるかもしれない。
そんな中エルナは銀仮面を外しユウマの首筋に顔を近づける。
が見えない。
「は?ちょっと待て!いつも夜にやってるだろ!さすがに昼間は!イィっ!?」
そのままエルナは話を聞かず首筋に歯を入れた。
今まではチュウチュウと少しずつ吸われていたが今日の吸血は違った。
ズルズルと血液が抜ける感覚。しかも早い。
「…………こ…れ………は」
急速に力が抜けていく。
そして一つの感覚がやってくる。
………それは死だ。
今の感覚で快感なんてそもそも感じない寧ろ全身の血が抜かれるんじゃないかと恐怖に駆られる。
そこから徐々に意識が無くなっていく。
瞼もゆっくりと落ちていく。
思考も出来なくなっていきユウマは堕ちた。
一瞬だけ必死に俺の名前を呼んでるエルナが見えた気がした。
「………………ッ」
意識が戻っていく。
どうやら気を失っていたようだ。
徐々に意識がハッキリしていく。
が、体は動かない。
「……………ユウマ…………」
「…エルナ……」
表情は分からないが申し訳なさそうにしているエルナが椅子に座っていた。
今はちゃんと明かりがついておりしっかりと確認できる。
「………ごめん……なさい」
「何が?」
「………ちゃんと言うべきだった」
「まぁ……。過ぎたことは仕方ないだろ」
「体は、大丈夫?」
「あんまり良くないな。貧血で目眩がする」
「………うん…………」
ここまで元気がないのは初めて見た。
「なんかあの時のお前正気じゃなかったように見えたけど」
「うん。吸血衝動っていうの。………吸血鬼は半年に1度、その衝動に駆られるの。………それが今日」
「なるほどね。………けど、その吸血衝動で今までで1番血を吸われたんだけど……」
「………本能だから…本来の」
「本来の?」
あまり聞きなられない言葉に思わず聞き返す。
「吸血鬼は元々魔獣だったって言われてる。けど、数百年の進化によって知性を得ている。本能はその魔獣の時の名残り」
「そういうこと」
ある程度納得したユウマは起き上がろうとする。その時エルナが……。
「無理しないで!」
「別に…無理はしてない。………そういえばここお前が泊まってる部屋だよな?」
「うん」
「そうか」
「自分の部屋に戻ろうだなんて考えないで」
「え?なんで…」
「迷惑掛けたからそのままゆっくりしてて調子が良くなったら戻って………。それまでま看病してあげるから」
「……………っ」
「なに?」
突然の発言に黙ってしまった。
すました顔で平然とそんなことを言ってくるのだ。
目を見開くユウマだが、直ぐに正気に戻る。
「………いや、そんなこと言うと思っていなかったから。ちょっとな」
「…別に今回は私がやらかしたからその責任を取るだけ」
エルナのことを一瞬、ツンデレと認識したのは俺だけだろうか?ただ少なくとも責任を感じているのは確かだった。
「なら、そうさせてもらうよ」
それからしばらくユウマは看病してもらうことにした。
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