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塔の中 塔の外  作者: ちとせ
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あの日を境に僕は部屋で過ごす事が多くなった。アルデビルド様も部屋には来てくれるんだけれど、赤ちゃん達が気になるようで余り僕の事を見てくれない。

側にいるのに遠い。


「アルデビルド様」

「どうした?」

「赤ちゃん達の所に行っていいですよ?」

「いや、今日はシーネと庭園に行く約束をしていただろう?」


確かにしていたけれど、アルデビルド様の視線は無意識なんだろうけれど、赤ちゃん達の部屋のいる方向をチラチラと見ているのを僕は気づいていた。


「赤ちゃん、気になるでしょう?」

「だけど約束が」

「僕は大丈夫です。赤ちゃん大事です」


僕がにっこり笑ってそう言うとアルデビルド様は黙って少し考えた後、すまないなと僕の頭を撫でて部屋から出て行った。


バタンと扉が閉まったのを確認してから僕はうつむいた。上手く笑えていたかな。

赤ちゃんの所に行っていいよって言ったけれど、心の中では僕と庭園に行ってほしいと思っていた。だって久しぶりにアルデビルド様と2人で行くことにしていたから。

でも部屋にやってきたアルデビルド様は、赤ちゃんの事が気になってしょうがないって顔をしていた。


ソファーの上で膝を抱える。寂しい。

お屋敷にはたくさんの人がいるのにこの部屋には僕だけ。僕の周りには誰もいない。もう僕はいらない存在なんだろうか?

首を振ってそんなことは無いと思いなおす。いらない存在だったら2年前自称父親に攫われたときに探してくれたりしなかったはずだ。探しに来てくれたという事は僕の事を必要としてくれているという事。だから僕はいらない存在じゃない。

そう自分に言い聞かせるけれど、一度いらない存在だと思ってしまったらその事が頭から離れなくなってしまった。


頭の中を僕はいらない存在なんじゃないかという考えがグルグルと回っている。そんなことは無いと思いなおすけれど、頭から離れない。

フルフルと頭を振って悪い考えを追い出そうとしてみたけれど、気分が悪くなっただけだった。これは失敗。


ソファーからベッドに移って横になる。うう、ちょっと吐きそう。目を瞑って気分が良くなるのを待つ。

暫く横になっていたら気分はよくなってきた。けれども気持ちは落ちたまま。どうせなら気分と一緒に気持ちも上がったらよかったのに。

そんなことを思いながらゴロゴロしていたら、いつの間にか眠ってしまった。


目が覚めたら朝でした。外を見てみたらうっすらと明るくなってきている。寝すぎたみたいで頭がガンガンする。

目を覚ますために冷たい水で顔を洗おう。そう思って洗面所まで行こうと体を起こしたまではよかったけれど、頭が痛くてフラフラする。もしかして寝すぎで頭が痛いのではないのかもしれない。

そういえば最近あまり食事を取っていない。そして昨日は水分もあまりとっていない気がする。脱水と栄養失調になりかけているのではないだろうか?

そう思って枕元に置いてあるお水をコップに移してゆっくりと飲んだ。一杯では足りないだろうから二杯、用心のためもう一杯。そしてそのままベッドに戻って目を瞑った。


暫くして目を開けてみたらさっきよりは頭の痛みは治まっていた。やっぱり脱水になりかけていたのかな?

今日はご飯も頑張って食べよう。

まだ少し頭が痛いからご飯の時間まではこのまま横になっていよう。今日一日の予定でも考えていたら時間も過ぎると思う。

ご飯を食べたら本を読む。きりのいい所でお茶の時間。本の続きを読んでご飯を食べる。そしてお風呂に入って寝る。特にご飯は忘れない。


一日の予定はあっという間に立ってしまった。時間も殆ど経っていない。うーん、考えてみたら僕この家に住まわせてもらっているけれど、何もしていない。ただの居候だ。ここに来たときは自分で言うのもなんだけれど、骨皮人間だったから何もできなかった。けれど今はどうだろう?健康な体になったのに、一日手伝いもせずに本を読んでいるだけ。これは所謂ニートというものではないのだろうか?


僕はハッと体を起こした。ドキドキとする心臓を押さえる。もう働ける歳なのに、日がな一日ゴロゴロして過ごしている。これは立派なニートだ!

この世界にはゲームやパソコンがない。僕はその代りに本という娯楽へと逃げている。これは良く無い。働かなくては!一日の行動どころではない、ハローワークに行かなくては!!


そんなことを思っていたら朝ご飯の時間になったようで、扉がノックされてご飯が運ばれてきた。

よし、今日は仕事を探す。それを一日の目標にすることにして朝ご飯をいつもよりは多めに食べた。

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