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赤ちゃんたちが生まれてからお屋敷の中は赤ちゃん中心となった。
アルデビルド様たちは率先して赤ちゃんたちのお世話をしているみたい。
特にアルデビルド様のお父さんは赤ちゃんたちが可愛くて仕方が無いみたいで、朝仕事に行くのを嫌がるほど。この世界には育児休暇は無いようなので、涙目で仕事に向かっている。それが毎日続いています。
名前も決まって、緑の子が女の子でミルテイア。青い子が男の子でフィオトミテ、黄色の子が男の子でキアヒクア。3人とも泣き顔までもが愛らしい。
僕も赤ちゃんたちに会いに行くんだけれど、アルデビルド様たちが可愛がっているのを見ているとそこには壁がある気がしてすぐに部屋から出てしまう。
君は家族じゃないんだよって言われているみたいで。そんなこと言われてないんだけれど、勝手にそう思ってしまう。
もしかしてこれは俗にいう赤ちゃん返りというものなのだろうか?
あれ?でも僕小さい子どもじゃないのにな?アルデビルド様たちを取られて嫉妬している?
えええ!僕ってばどれだけかまってちゃんですか!
ちょっと元気のない僕を見て、ウェルスタイ様たちが心配そうな顔で僕の側にいてくれる。うう、情けない。
「大丈夫ですか?」
そう言われて、大丈夫と笑って答えるがちょっと引きつった笑顔になっているかも。
そんな僕の顔を見て、ウェルスタイ様は頭を撫でてくれた。ちょっと涙が出たのは内緒です。
もう17歳になったのに、なかなか大人になれない。
そうそう、大人になれないで思い出したんだ。今でも時々ガウェン様からお城に招待されるんだけれど、ガウェン様急に成長期に入ったみたいでグンと背が伸びていた。今では僕よりも頭一個分高い。
そして悔しいことにちょっとカッコよくなってきているのだ。
今年から学園に行き始めているから、きっとモテモテな学園生活を送っている事だろう。
アルデビルド様も顔は相変わらず王子様みたいだけれど、なんていうか体格ががっちりとしてきた。今までも筋肉は付いていたけれど、今では脱いだら凄い。所謂細マッチョ?という感じ。
お風呂のたびに自分の体を見てみるんだけれど、全然変わっていない。ガリガリとまではいかないけれど、圧倒的に筋肉が足りない。色が白くて細いのだ。しっかり食べて運動をしてみたんだけれど筋肉がつかないのです。
せめて日焼けしたらちょっと違うんじゃないかと思ったんだけれど、赤くなっただけだった。最近では諦めて運動は散歩位しかしていない。
今日もアルデビルド様たちは赤ちゃんたちに夢中で僕は1人、家の中をウロウロとしていた。護衛としてパフィエルが後ろから付いてきているけれど、やる気が無いみたいで欠伸をしながら歩いている。目的もなく歩いているからきっと退屈なんだろうな。
「どこに向かって歩いてるんだよ」
「どこも、向かってない」
しびれを切らしたみたいで、目的地を聞いてきた。正直に目的地は無いと告げる。
「じゃあ部屋に帰ろうぜ」
「・・・うん」
もう30分位歩いていたから僕もちょっと疲れたし。部屋に向かって歩いていると、赤ちゃんたちのいる部屋の前を通りかかった。
部屋の中からは楽しそうな家族の声が聞こえてくる。ちょっとだけ扉を開けて覗いてみると、皆笑顔で赤ちゃんをそれぞれ抱きかかえていた。
見るんじゃなかった。寂しさが倍増してしまった。そっと扉を閉めて部屋に向かう。パフィエルが何か言いたそうな顔をしていたけれど、僕は見えないふりをした。




