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その絵本は前にガウェン様から見せてもらった絵本の続きが書かれていた。
ハッピーエンドのその後は、さらにハッピーな物語として幕を閉じていた。
黒髪の子と白髪の子の冒険は終わって、今度は結婚の話になっていた。白髪の子は悪い魔法使いに永遠の眠りにつく魔法にかけられてしまう。その魔法を黒髪の子が解いて終わるのだ。もちろん山あり谷ありなんだけれど、黒髪の子は今度は1人で困難を乗り越えて、自分の魔法で作り出した剣で悪い魔法使いをやっつける。
そしてやっとの思いで白髪の子にたどり着くのだ。そして眠っている白髪の子に口づける。その口づけで白髪の子は目覚めるという話だった。この世界でも最後はキスで目が覚めるのか。
キス、万能だね。
黒髪の子と白髪の子は末永く幸せに暮らしましたで終わっていた。
白髪の子、女の子だったのか。前作の絵本ではわからなかった。
ガウェン様、この女の子に僕の事重ねてないよね?
僕は男の子だって気づいてくれているよね?うっかり今日もワンピースで来ちゃったけれど、ちゃんと僕は男の子ですよ!
ちょっと不安です。
考えがそれてしまった。絵本を読んでみたけれど、白髪の子は魔法使うどころか話のほとんど寝て終わってた。うん、魔法使ってないね。まったくもって魔法関係なかったね。
残りの4冊を見てみる。この本には載っているだろうか?
一番上に置いてあった一冊を手に取ったところでアルデビルド様に声をかけられた。
「シーネ、そろそろ帰る時間だ」
そう言われて窓の外を見てみる。確かに太陽は大分傾いていて、そろそろ帰る時間のようだ。
せっかくの魔法の手掛かりが!
「また招待するので、その時に読んではどうですか?」
ガウェン様にそう言われたらそうしますとしか言えなかった。図書館、貸し出しはしてないんですね。
この世界は紙が貴重という訳ではないんだけれど、あんまり本は出回って無いみたい。娯楽としてはあまり普及していないっぽいんですよ。何ででしょう?
貸し出しされてなくてとっても残念です。
がっくりと肩を落としながら、薄い緑の髪の人にお礼を言って本を返した。
またしばらくは来れないだろうから、魔法の事がわかるのはしばらく先になるだろう。
魔法についてはゆっくりと調べることにしよう。そうしよう。
そう思うことにしてガウェン様に図書館に連れてきてくれたお礼と、また一緒に会いましょうと伝えた。
今日もほとんどガウェン様と話をしなかったから、今度は一緒に遊ぶことにしよう。
5歳違うけれど、ガウェン様は頭が良さそうだからきっと話が合うはず!
というかアルデビルド様と話ができるんだから、絶対に頭いいよね。
けれどたまには体を動かす遊びもしたい。せっかくだから鬼ごっことかしてみたい。相手王子様だけど。護衛の人とか一緒に逃げるのかな?わぁ、すっごくやってみたい!
ガウェン様、早めに招待してくれると嬉しいです。
アルデビルド様と一緒に馬車に乗り込んでお城を後にした。今回もガウェン様がお見送りしてくれました。
次はお城の中を案内しましょうって言ってくれた。
そしてお土産にマカロンをくれました!甘いものは高級なのにいいのでしょうか!さすが王子様太っ腹です。
明日のおやつにみんなで頂きます。
今回もガウェン様、ほっぺにちゅうをしてきました。僕の中でほっぺにちゅうは親愛の挨拶だととらえているので、お返しにガウェン様のほっぺたにもちゅ!ってしました。
ガウェン様のほっぺたがみるみる赤くなっていってちょっと面白かったです。
なれない人にすると恥ずかしいよね、うん。僕のほっぺたも多分赤いです。
案の定、ちょっと怒った顔のアルデビルド様が僕の手を持って引き寄せた。そしてガウェン様の側から引き離されます。
ガウェン様、ちょっと不機嫌な顔になりました。
その内アルデビルド様は不敬罪で捕まる気がする。
馬車に乗り込んで、今日の庭園がいかに素晴らしかったか身振り手振りで伝える。
そしたら疲れて馬車の中でうっかり寝てしまいました。気づいたらアルデビルド様の肩に寄り掛かって。
目が覚めたらもう家に着いていてビックリです。涎は垂れていませんでした。
良かった!




