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塔の中 塔の外  作者: ちとせ
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行きはパフィエルが気になって仕方なかったけれど、帰りは気にならなかった。うっかり忘れていたともいえる。

僕は寝る前に今日の事を思い出していた。


朝は本当に嫌だったんだけれどな。庭園でお花たくさん見て、心が穏やかになったのかもしれない。お花の力恐るべし!

パフィエルが近くにいるのは嫌だけれど、我慢できないほどでは無いって気持ちになった。

気持ちに余裕って必要ですね。そう思ってベッドに入って目を閉じた。


いつもよりちょっと早い時間に目が覚めた。庭園を歩いたせいか、ちょっと体が痛いです。

痛みと闘いながら、少し体を動かす。伸びをした所でアルデビルド様がやって来た。後ろにはいつものようにウェルスタイ様とエルゴン様が付いています。


「シーネ、おはよう」

『おはようございます』


口を動かして返事をする。アルデビルド様の後ろにいる2人にも同じように挨拶をした。2人ともおはようございますとにっこりと素敵笑顔付きで挨拶をしてくれる。

僕が女の子だったら毎朝惚れ直しているところですよ!


「今日は珍しく早起きだな」


そう言いながらアルデビルド様は僕の隣にやって来て、腰を屈めてほっぺたにキスをする。もう慣れたのでほっぺたが赤くなることもない。

僕もお返しにチュっとしてから、体が少し痛いと伝える。


「昨日たくさん歩いたから筋肉痛にでもなったのか?」


アルデビルド様もそう思いますか、僕も思います。後ろにいた2人は心配そうな顔で僕を見ている。

腕はちょっと怠いかなってくらいだけれど、腰と足がズキズキします。時々腰を折って花を見ていたせいだろうか?


「筋肉痛になりたくなかったら、これからはもう少し外に出て体を動かすことだな」


え、勝手に外に出てもいいのですか?てっきり誰かと一緒じゃないと外に出てはダメだと思っていた。

アルデビルド様に確認を取ると、もちろんいいに決まっているだろうと返された。

なんだ、僕の思い込みだったのか。

ウェルスタイ様が治しましょうかと言ってくれたけれど、こんなことで魔法を使うのもどうかと思ったのでお断りをした。

気にしてくれてありがとうございます。ウェルスタイ様に惚れちゃいそうですよ!


アルデビルド様と食堂へ向かい、朝ご飯を食べた。それからアルデビルド様と別れて自分の部屋に帰る。

そして今日は何をしようかと考えた。

あんまり動くことはしたくない、体を動かすと痛いから。というのが正直な気持ちだけれど、これを機に体を動かしてもいいかもしれない。

ソファーに座って暫く考える。うん、今日は体が痛いけれど頑張って体を動かすことにしよう。

思い立ってすぐ、中庭に出ることにした。


そう決めたはいいけれど、いざ外に出てみたら何をしたらいいのかわからない。家の庭園に行ってみようかな。

そう思って歩き出した。時々家で働いてくれている人たちに会って挨拶をする。声が出ないので、僕は軽くお辞儀をするだけなんだけれど。

この家ではそれが僕の挨拶となっているので誰も疑問に思わず、おはようございますと声をかけてくれる。そして僕が一人で歩いているのを見て、ちゃんとアルデビルド様は知っているのか聞かれる。

1人で外に出てもいいと言われましたと伝えると、みんな安心して気を付けて歩いてくださいねと見送ってくれた。

皆さん、僕はもう15歳ですよ?この世界でも1人で歩いても大丈夫な年齢だと思うのですが。

決して子供扱いではないと信じたいです。


体が悲鳴を上げない速度で歩く。何時もより大分ゆっくりだけれど気にしない。

何時もの倍の時間をかけて庭園に着いた。

うん、お城の庭園は立派だけれど、この家の庭園も好きです。大事に育てられているのが分かる。雑草も全然生えてないし、花が生き生きとしている。色も鮮やかだし、濃い。心なしか匂いもいい気がする。

しゃがんでクンクンと鼻の香りを楽しむ。うん、いい匂い。

そんな僕の様子を、この家の草木の手入れをしてくれる人たちが微笑ましい顔で見ていた。


思いのほか楽しかったので、晴れの日は散歩することを日課に取り入れました。

散歩をするようになってからちょっとだけ体力が付いたみたいで、少しなら走っても息切れしにくくなった気がします。ほんのちょびっとだけれどね。

この調子で体力を付けていって、ガウェン様と鬼ごっこできるといいなと思います。

先は長そうですけど、ちょっとずつ頑張りますよ!

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