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塔の中 塔の外  作者: ちとせ
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あ、忘れる所だった。

僕は庭園も見たかったのだけれども、図書館も見たかったんだった。庭園に夢中になり過ぎてうっかり忘れる所だった。


アルデビルド様から離れて、ガウェン様に近づく。そしてゆっくりと口を動かしてこのお城に本が沢山あるところはないか尋ねる。


「シーネは本を読むのですか?」


なんか失礼なことを言われた気がする。僕は意外と読書家ですとも!ガウェン様しっかり記憶しておいてください、シーネは読書家だと!


「シーネ、そういえばこの前本が沢山あるところはないか聞いていたね。何か調べものなのかい?」


アルデビルド様からも質問が。ついでだからアルデビルド様にも聞いてみよう。


『僕は何の魔法が使えるのかと思いまして』


そう口を動かす。すると2人は顔を見合せた後、残念そうな顔で僕の方を見た。


「シーネ、残念ながら白髪の者は魔法が使えないんだよ」

「そうです、魔力がないのだと私は聞きました」


なんてことでしょう!てっきり風の魔法が使えると思っていたのにまさかの魔法無し!

え、まさかの魔法チートもなしですか?

いや、まだ僕はあきらめない。もしかしたら知られていないだけで、白髪の人にはとんでもない魔法の力が眠っているとかあるかもしれない。


僕は希望を残したいので、図書館で調べてみたいのです。うん、希望は大事!

ガウェン様は気の毒そうな顔をして、図書館があることを教えてくれた。


「シーネ、図書館に行きたいのですか?」


はい、行きたいですと頷く。気の毒そうな顔をしながらガウェン様自ら案内してくれた。僕たちの前に2人、後ろに3人のお城の護衛の人、ウェルスタイ様たち3人の合計8人付いてきています。

そんな中ガウェン様とアルデビルド様に挟まれて、手を繋がれて歩く僕。

悪いことした人が連れていかれる感じがしないでもないです。


暫く歩く。一度お城を出て、さらに暫く歩く。なんかでっかい建物があった。もしかしてこのデカい建物が図書館だろうか?

ガウェン様がデカい建物の前に立った。扉の前には騎士が立っていて、ガウェン様が開けるように声をかける。

古い建物みたいで、ギギギっと音を立てながらゆっくりと開けられた。


おおお!!

扉を開けると見渡す限り本が!建物いっぱいに詰まっている。

これは思っていたよりもすごい、こんな大量の本の中からお目当ての本なんて見つかるんだろうか?

ちょっと見つかるか不安になってきた。


「ちゃんと本の管理をしている者たちがいます。心配しなくても大丈夫ですよ」


僕の顔を見たガウェン様が少し笑って教えてくれた。

良かった。こんなたくさんの本の中からお目当ての本を見つけるだなんて、何十年かかるか分かったものじゃないもの。


建物の奥の方に入って行くと、ちょっと歳をとった男の人がゴソゴソと本の整理をしていた。薄い緑の髪をしている。よく周りを見たら緑の頭をした人しかいない。

気になって聞いてみたら、火や雷の魔法を使う人は紙を扱うところには向かないんだって。火事になる危険があるからっていうのが理由みたい。

水も紙が濡れたらいけないから、土か回復の人しかつけない職業なんだそうです。今日はたまたま回復の人しか居ないみたい。いつもは茶色い髪の人もいますよって言われた。

ガウェン様から、僕にもなれますよって。ちょっと魅力的なお誘いですね。


ガウェン様が薄い緑の髪の人に声をかけた。薄い緑の髪の人は慌ててこちらにやって来た。急に王子様から声を掛けられたらびっくりするよね。


「シーネ、何の本を探しているんですか?」


僕は白髪の人の本がないか聞いてもらった。薄い緑の髪をした人は僕の声が出ないのを、ちょっと驚いた顔で見た。そして気の毒そうな顔をする。不便は無いので気にしなくていいですよ?

少しお待ちくださいと僕たちの前から去って行く。


近くに置いてある本を見ながら待っていると、薄い緑の髪の人が戻ってきた。手には6冊ほどの本があった。


「こちらが白髪の方についての記述が書かれたものです」


6冊しかないのか。うち1冊はガウェン様から見せてもらった絵本だった。残りの5冊もそんなに分厚くない。小学校の教科書位の厚さしかない。

よくよく見ると、5冊のうち1冊は絵本だ。残り4冊、少ない。

僕はまず、絵本から読むことにした。

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