18
5歳も年下の子に翻弄された後、お茶を飲むことになった。今日は天気がいいから外でお茶を飲むそうです。
またしてもガウェン様に手を握られて、廊下を歩く。
そして中庭と思われるところに連れて行ってくれた。そこにはアルデビルド様たちも座っていて、王様たちとお茶を飲んでいた。
「楽しかったかい?」
王様にそう聞かれて、僕は苦笑いで頷いた。隣でガウェン様はものすごくいい笑顔で頷いている。
テーブルの上にはおいしそうなケーキが置かれている。
ガウェン様がなぜか椅子を引いてくれた。疑問に思いながらも座る。アルデビルド様が眉間にしわを寄せてこちらを見ている。僕とガウェン様は少し離れた席に座ったからだろうか?
疑問に思いながらも座ってお茶が入れられるのを待つ。この世界ではお茶は紅茶です。多分前世と同じ味かそれ以上かな?前世で上等な紅茶飲んだ記憶ない。
紅茶に砂糖とミルクをたくさん入れてもらって、コクリと飲んだ。
うま!アルデビルド様の家で飲んでいる紅茶もおいしいけれど、この紅茶はその上を行く。やっぱりお城はいい茶葉使ってますね。
くぴくぴと紅茶を飲んでいると、ケーキを進められた。欲張ってフルーツと生クリームのたくさんのっているのを選んだ。メイドさんに取ってもらって目の前に置かれる。
色とりどりのフルーツがキラキラしている。フワフワのスポンジにフォークを刺して一口。
うまーい!前世を含めて食べてきたケーキの中で一番おいしい!クリームと一緒にフルーツも食べる。甘酸っぱくっておいしい!どうしよう、いくらでも食べれる気がする。夢中で食べていると横からクスクスと笑い声が聞こえた。
しまった、そういえば王様たちもいたんだ。みんなが僕を見て微笑んでいた。
うっかりケーキに夢中になってしまった。恥ずかしくなり顔が赤くなる。そんな僕を見てガウェン様が笑いながらこちらに手を伸ばしてきた。
なんだろうとうっかり首を傾げる。王族を前に男らしい動作の事を忘れていた。僕が首を傾げたのを見てガウェン様の手が止まる。ガウェン様のほっぺたがちょっと赤くなった。
そして思い出したかのように手が動き出す。その手は僕の口元に伸びてきた。どうやらクリームが口の横に付いていたみたい。
ガウェン様は取ってくれたクリームをそのままパクリと口に入れた。
「うん、甘くておいしいですね」
その行動を見て僕はフォークを落とした。ちょっと離れた所からはガチャンと大きな音がする。
『なんてことするんですか王子様!』僕は口をパクパクとしながら真っ赤になってガウェン様を見る。
ガウェン様は満面の笑顔でこちらを見ていた。僕は恥ずかしくなってアルデビルド様の方を見る。
さっきのガチャンという音はアルデビルド様が茶器を落としかけた音だったみたいで、メイドさんがテーブルを拭いていた。
アルデビルド様がこんな失敗をするだなんて。やっぱり王様たちを前に緊張していたのだろうか?心配そうな顔でアルデビルド様を見ていると、失礼を王様たちに詫びていた。
「よいよい。そうだ、わが城自慢の庭園でも見ていかないかな」
王様がいいことを思いついたと、とっても素敵な提案をしてくれた。僕は嬉しくなってアルデビルド様のお父さんとお母さんを見る。
2人はぜひ行ってきなさいとにこやかに頷く。僕は満面の笑みで頷いた。椅子から立ち上がると右隣にはガウェン様が、左隣にはアルデビルド様が立った。
そして2人とも僕の手を取る。僕、そんなに迷子になりそうですか?
まあいいか、ガウェン様早く庭園に連れて行ってください!軽くつないだ手を引っ張った。
ガウェン様とアルデビルド様、ちょっと歩くのが早い。2人に遅れないようにちょっと急ぎ足で歩く。決して僕の足が短いのではないと思いたい。少し歩いた所に庭園はあったみたいで、着いた頃には僕の息は切れていた。
「すまない、シーネ。もっとゆっくり歩けばよかったね」
「すみませんシーネ。大丈夫ですか?」
2人から謝られた。息が切れているから返事はできない。ハァハァと少し前かがみになり胸を押さえて酸素を取り込む。
少しして落ち着いてから『もう大丈夫です』と上目遣いになりながら2人に答えた。
2人は一瞬動きを止めた。そして顔を背けた。なぜ?
息が整っから辺りを見回す。そこには僕にとって楽園が広がっていた。




