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アルデビルド様たちと離れ離れになってしまった僕は、只今王子様に手を繋がれてお城の中を歩ています。
王子様はとってもご機嫌で、今にも鼻歌を歌いだしそうです。
どこに連れていかれるのかわからなくて、不安を感じながらも黙って王子様の後に付いて行く。
「ここが私の部屋です」
王子様よ、一般人を私室に連れてきてもいいのかい?多分よくないよ!僕たちの後ろにいる護衛の騎士の人たちも、困惑した空気を出してますから!
全く気にしないで王子様は僕を部屋の中に入れる。
部屋の中は広かった。立派なソファーにテーブル。ところどころにお花も飾られている。そして一番驚いたのは本棚があったことだ。
それも壁一面に!この王子様は読書家みたいです。
「改めましてシーネ、私の名前はガウェンといいます。今日は私に付き合ってくださいね」
にっこりと王子様スマイルで握手を求められる。これで頷かない人がいたら多分入り口で待機している騎士の人たちに切られると思う。
僕はガウェン様とがっちりと握手をし、ひきつった笑顔で笑い返した。
「シーネ、さっそくで悪いんですがこれを見てください」
そう言ってガウェン様は本棚から一冊の絵本を取り出した。その絵本には僕みたいに白髪の子と、黒髪の子が手を繋いでいる絵本だった。
内容は黒髪の子が困難に立たされた時、白髪の子が助けるっていう話だった。黒髪の子と白髪の子はたくさんの困難を経て、ハッピーエンドで終わっていた。
「私はこの話が大好きなんです。父上が今度白髪の子を呼ぶって言っていたので、居ても立ってもいられなくて」
そんな希望に満ちた瞳で見ないでください。僕はこの絵本みたいに助けに行ったりはできないと思いますよ。過度な期待はしないでください。
そんなキラキラした瞳でこちらを見ないでください!
それにしてもガウェン様、僕と同い年くらいだろうに意外と夢見がちだな。絵本の中の事なんて現実では起こらないだろうに。
そう思ってガウェン様に何歳か尋ねてみることにした。失礼ながら、シャツを引っ張ってこちらに注意を向ける。
ゆっくりと口を動かして『ガウェン様はお幾つですか?』と聞いてみた。伝わらなかったら紙に書こう。
ガウェン様は僕の口元をしっかりと見た後、ああ、と頷いた。
「そういえば言ってなかったですね。私は今年で10歳になります」
今年でっていう事はまだ9歳か。って9歳!僕と同じくらいかと思っていたのにまだ9歳!身長そんなに変わらないのに!!驚きの余り僕は固まってしまった。
「何を驚いているのだ?シーネも同じ位の歳だろう?」
不思議そうな顔でこちらを見てきましたが、大いに違います!僕は今年で15歳です!!
僕が指を使って年齢を伝えると、ガウェン様も驚いて固まった。
扉の所にいる騎士の人たちも驚いたみたいで目を見開いてこちらを見ている。
この人は王子様だから、きっと話しても問題ないよねと思い、2年前まで塔に住んでいた事を話した。
それまでは言葉も知らなかったし、文字も読めなかったと。
それを聞いてガウェン様は目を見開いた後、僕をギュッと抱きしめてくれた。
「つらい思いをしてきたのですね」
と言ってくれた。塔に居た時はそれが当たり前だったのでつらくなかった、今はアルデビルド様の家で楽しく暮らしていると伝えた。そうしたさらに力強く抱きしめてくれた。
ガウェン様意外と力が強いです、ちょっと苦しいです。背中を叩いて離してくれるように合図する。
あー苦しかった、骨が折れるかと思った。
それにしてもガウェン様もいい人だな、もし僕が嘘を言っていたらどうするんだろう?
うっかり騙されて布団セットでも買わされないか、お兄ちゃんは心配です。
ガウェン様は体を離して、内緒話をするかのように僕のほっぺたに両手を添えて顔を近づけた。そしておでこを合わせて、神の祝福がありますようにってお祈りしてくれた。
心優しいガウェン様、ぶちゃけキスされるかと思ってビックリしました!思わず目を瞑っちゃたもの!
あービックリした、ビックリした!心臓に悪いよ!ほら扉の所に立っている騎士の人たちも今にもこちらに駆けてきそう!僕だけじゃないよね!勘違いしたの!!
王様と会った時とは違うドキドキが。絶対顔が赤くなている。
そんな僕を見て、ガウェン様は笑っていた。確信犯じゃないですよね?そうだといって!




