第095話 パスティア平原の戦い(その8:死の予感)
■クリスタニア大陸 パスティア平原 サイバート(クリスタニアの覇者:◆◆◆)
くそ、意外に大きい技を貰っちまったようだ。このままでは殺される。灰色クリスタルさえ守れば復活する好機はあるのだ。俺は体から離れた自分の足を確認した。離れたクリスタルを確認すると黄色(雷属性)と赤色(火属性)のクリスタルが俺の体から離れている。
2つ離れた事で戦闘能力もかなり落ちているだろう。仕方がない。1個犠牲にして、黄色を再度融合しよう。とりあえず体力の回復だけでもしなければ危険極まりない状況だ。それに、敵のアルフォードの必殺技はガルトもガルトスも雷を纏った剣でやられている。だから雷の耐性だけば手放す事はできない。
■クリスタニア大陸 パスティア平原 アルフォード・ウィンザー
敵は、見るからに弱っている。ビクター将軍の指示を受けて、全員が超越者になった。僕は雷属性が無くなった事を確認して、ライトニングブレイクで勝負をかけるように準備を始める。他の超越者と違い技の発動まで時間がかかった。
最初に仕掛けたのは、無傷のビクター将軍とダグラスさんだ。ビクター将軍のクリスタルファングは火属性なのだろう。槍の先から火が出ている。シンプルな武器だと思ったら槍先が回転して赤い光線が出ている。それが体に当たるとバチバチと音がして、当たった処の毛が燃え始めた。魔人はそれを受けて転がって火を消す時に腹をみせるような恰好になった。
それを受けて、ダグラスさんが接近してクリスタルナックルで殴り掛かる。ナックル部分が光っていた。これは魔法ではないようだ。闘気なのだろう。足を殴るとズドンという重い音がした後にボキという音がした。敵の足を折ったのだろう。
そして、セレーナさんは車輪剣を投げると、魔人の脇腹に刺さった。更に、ダグラスさんの折った足を切断しようと、ヒートラリアットで突っ込んでいった。ガルシアさんは、再び錨を発射し、稲妻を流そうと身構えている。接近しているビクター将軍、ロックス将軍、セレーナさんが離れるのを待っていた。ダグラスさんはいち早く距離を置いて僕に近づいてきた。
そうすると、魔人の辺りで火属性の大爆発が起きた。爆風が僕たちの傍まで来ている。もしかして、魔人は自爆したのか。4人の安否は不明だが爆発によって、爆煙と砂塵で視界が悪くなった。しかし、その後に大きい魔人らしい姿がおぼろげに見えた。僕は準備していたライトニングブレイクを放つために上空まで飛んだ敵に向かって飛んで行った。
「行け!ライトニングブレイク…」
僕は、この技で勝負を決するために飛び込んで行くとダグラスさんが念波で何かを伝えてくるが聞き取れなかった。何がどうなっているのか……
■クリスタニア大陸 パスティア平原 ダグラス・ワイズマン技術指導長
儂は見た。あの爆煙の向こうで、魔人は切れた足から黄色いクリスタルを回収し、体に融合させた。そして、魔人の体が黄色く光って傷などが回復しているのを確認した。儂はアルフォード君を見て、彼の技が雷なのを思い出した。これはいかん!
「ダグラスだ。アルフォード君。その技を使うのはよせ…やめるんだ…」
『アルフォード。何を言っているか聞こえません。』
「もう一度言う。やつは雷のクリスタルを融合した。その技を使ってはいかん。」
『アルフォード。分かりました。』
しかし、私は見てしまった。魔人がアルフォード君の技を黒い闘気を纏った拳でカウンターを狙うように放たれている事を…あのまま技を止めるとアルフォード君にあの魔人の全力の黒い拳が炸裂してしまう。
■クリスタニア大陸 パスティア平原 サイバート(クリスタニアの覇者:◆◆◆◆)
俺は、自分自身の回復を図るため、4人の攻撃を受ける事にした。赤いクリスタルを爆発させれば、時間を稼げるし、その間に黄色いクリスタル融合できれば傷は癒える。まあ、切断された肉体は元に戻らないが、切断したところの傷は無くなる。それだけでも今は問題ない。
俺は運が有る。赤色のクリスタルは大きな仕事をしてくれた。近くにいた4人の超越者を爆発に飲み込んでいる。何人かはこれで戦闘不能だろう。そして、巻き込まれていない者を確認した。俺の足をナックルで折った奴と光を纏った戦士だ。光を纏った戦士は俺にガルトとガルトスを破った技で俺に突っ込んできている。
あれは光の属性で包んでいるため、あの技を俺が受ければ一溜りもないが、途中で技を止めようとしている。チャンスだ。俺は暗黒闘気を纏って、全力でアルフォードを殴りつけるために拳を繰り出した。一時はどうなるかと思ったが、運は俺に味方したようだ。
■クリスタニア大陸 パスティア平原 アルフォード・ウィンザー
ダグラスさんの念波によって、技を繰り出すのを止めたが、体は勢いがついていた。そして、魔人は僕に暗黒闘気を纏った拳が唸りを挙げて迫ってきた。くそ…あれは躱せない。クリスタルウォー…間に合わないか…あれは、ガルトの技の上を言っている。僕は全快した状況を瀕死にした攻撃の更に上の攻撃を受けようとしている。僕はこの時に死を覚悟した。そして、凄まじい衝撃を受けて僕は飛ばされた……




