第091話 パスティア平原の戦い(その4:狙撃手再び)
■クリスタニア大陸 パスティア平原 アルフォード・ウィンザー
戦況を見るとロックハルトの戦士たちの連携が悪い。そして、敵は弱点を突くのがうまい。これを卑怯と言う者もいるが、弱点を晒した方が悪い。だが、味方のピンチに漸く僕の出番が来た。
ライトニングブレイクは雷属性だから危険だ。相手を暴走させれば厄介になる。万が一の可能性を考慮すべきだ。僕は記憶の間で修行の日々を送っている。その中で、僕にはエリックさんとガレオンさんという頼れる兄弟子がいる事を思い出した。そして、師匠の技とエリックさんの闘気剣は戦場で使って重宝している事に気付いた。
そうだ。ガレオンさんやアレックスさんのファングを試してみよう。遂に時は来た。僕が最初に購入した武器であるマジカルガンナーでは失敗したけど、ガレオンさんから狙撃手のいろはを叩き込まれた記憶を取り戻した僕なら何とかなるだろう。僕はアレックスさんのクリスタルファングである爆裂銃を創造した。
初めて使うファングにドキドキしながら長距離で敵を仕留めるために狙いを定める。クリスタルファングは僕の意志を汲み取ったのかライフル型に変形していた。ホーリーを唱えて魔弾として放出できるこの爆裂銃は便利なファングだ。自分の魔力を高め、この銃の中で最大限に増幅されてから魔弾を放つ。そして、僕は目を瞑った。そして、ガレオンさんの言った敵を鮮明にイメージしろという言葉を忠実に守り、そして敵と自分の距離を無くすくらい集中しろという言葉を思い出した。僕は自分に言い聞かせるように、距離は無い…無いと繰り返しつぶやく。僕はいつの間にか集中していたのだろう。雑念が消え、魔人の気配を完全に捉えていた。
「ガレオンさん行きます。発射!」
自分の目で魔人の体に風穴があいた事を確認した。よし、上出来だ。
■クリスタニア大陸 パスティア平原 ビクター・アクセル将軍
打つ手なしだ。もう少し綿密な計画が必要だった。俄仕込みの戦士団の弱みが諸に出た戦いだった。魔人との戦いは慣れが必要なのだろうと改めて痛感したが、時すでに遅しだ。我々は此処で魔人にやられる。やられない為には2人を犠牲にするしかないと思う自分がいた。だが、戦う前に一連托生を誓い合ったのだ。ここで彼らを置いて逃げれば、我々に付いて来る者などいないだろう。戦士としての責務をここで全うするのと同じ結果だろう。それなら後者を選ぶ。それが戦士の心粋だろう。少なくとも只では死なん。そう思った時だった。魔人にいきなり風穴が空いた。そして、魔人の口から液体が吐いてくる。
■クリスタニア大陸 パスティア平原 サイバート(クリスタニアの覇者:◆◆◆◆)
やはり居るのか。ガルトスを瞬殺したあの光を纏った戦士が…グフ…やってくれるじゃないか。隠れてズドンかよ…俺好みの仕事だ…
「やれやれだ…」
魔人はそう呟いて青いクリスタルを取り出した。もう少し甚振ってから使うか。勝てると思わせてから使おうと思っていたが、俺の思惑は総て吹き飛んだ。仕方がない今ここで融合するしかないようだ。折角の罠が台無しになったな。これで水の耐性も分かるのは時間の問題だろう。いざとなった時に水属性で回復するか。命の危険があれば水属性を受けて灰色クリスタルを暴走させる俺の目論見は消滅した。相手に耐性が無い攻撃として風と水を植え付けてから水を利用して優位に立とうと考えていたが…ここで水属性のクリスタルを融合して、全快させるしかないようだ。
■クリスタニア大陸 パスティア平原 アルフォード・ウィンザー
魔人が何かをしているのが見えた。あれは…青色に輝くクリスタルをクリスタニアの覇者と異名をもつ魔人は取り込んでいる。そして、体が輝きを増した。これは…僕はバトルカウンターで戦闘能力を計測した。すると基本戦闘能力は7万5千になっている。つまりは最終形態になると11万か。暴走させれば15万になる。
最終形態なら勝負になると思うが、それでも超越者になっている1時間という制限がある中でだ。それにしても何て用心深い魔人なのだ。ガルトスの情報を得ていたのか。それなら頷ける…しかも、火に耐性があるのはガルトのクリスタルを取り込んだからだろう。4つ持ちにそれでなった。そして、今回、融合したクリスタルはライアン支部長を殺した魔人の灰色クリスタルを暴走させたものだろう。つまりはもう一匹の魔人は存在しない可能性が高くなった。だが、こちらも今の狙撃でこちらの優位性は失われた。第1ラウンドは引き分けか…
僕は、優位性が無くなった事を理解したため、ロックハルトの戦士たちと合流する事を決めた。それにしても、僕が狙撃手になるとどうも仕事が上手くいかない。僕には狙撃手としての才能はないのだろうか。
合流した時にロックスさんとセレーナさんに魔弾でホーリーとレストレーション3を放った。直接触れると厄介だからという助言をダグラスさんから受けたためだ。ホーリーを受けると赤色の羽根と黄色の羽根はふありと抜け落ちた。この赤い羽根はガルトも使っていた。黄色の羽根は初めてみる。まあ、この羽根は厄介なしろものと思えれば問題ない。刺さればホーリーで対応するしかない。まあ、僕は光を纏っているからこのフェザーが僕に刺さる事はないだろう。ただし、この光の効果は1度技を受ければ失われるが…




