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クリスタルの記憶  作者: 遊人
第7章 クリスタルの記憶―晴天の霹靂編―
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第084話 記憶の間(その13:組織の総帥)

■クリスタルの記憶 アルフォード・ウィンザー(8歳)


「ついたぞ。ここがグラディのチームが研究している場所だ。グラディ…グラディは居るか。」


「五月蝿いの…誰じゃ、儂の研究を邪魔する不届き者は……」


「グラディ、今日は客を連れてきた。」


「客だ……今日の連れは随分と若いの……」


 僕の前には30代前半の人物が立っていた。この人が僕のお祖父さん……とてもそういう風には見えない。白衣を着て、いかにも研究者という感じはするのだが……


『初めまして、僕はアルフォード・ウィンザーと言います。』


「ウィンザー…君は……」


『はい。僕はフェリックス・ウィンザーの子です。』


「そうか。ローラの子が……今は幾つだ。」


『8歳になります。』


「そうか。」


『僕の母親の事は聞かないのですか。』


「聞かないよ。知っているからな……死んだのだろう。」


『なぜ、知っているのです。』


「分かるようになっているからね。マックスも亡くなったようだね。」


「はい。」


『妹のエミリーも亡くなっています。』


「そうか。エミリーも…エミリーは分からなかった。もしかしたらと期待したが、駄目だったか。エミリーにはクリスタルを入れていなかった。彼女には普通の子として育てるか、研究者を目指すならクリスタルを融合する事になっていたからね。」


『そうなんですか。』


「ああ。それで、君は何しにこの聖域に足を踏み入れたのだね。」


「そのような言い方もあるまい。儂が連れてきたのだ。しかるべき時の為にな…」


「そうか。なぜ、お前は力を望むのだ。」


『僕は、家族を守れなかった。友達も守れなかった。だから、それを守れるだけの力がほしいと思ったのです。』


「そうか。ローラの子育ては間違っていないようだな。もし、お前が復讐の為に力がほしいという事であれば、協力はしないつもりだった。それで、エリシオよ。何処まで儂の孫には話しているのだ。我々が関係した組織の事は話したのか。」


「ああ。それと研究についても少しな……」


「そうか。我々も日夜研究し、天使の目のデータを解析している。我々の知らない部署の事だ。」


「我々の知らない部署?」


「私も天使の目に在籍していても、各部署で秘匿されらせた事は多い、交流など皆無だった。」


「情報の漏えいを防ぐという事か。」


「それもあるだろう。その中で面白い事が書いてあった。天使の組織は3つに分かれている。私が研究していた部署は冒険者の部門だ。希望石と魔結晶の研究だ。他にも多分だが武器と技の開発と禁術法の研究だろう。冒険者は色々な技を考案していたようだからね。そして三つ目は……」


「勿体ぶるの…」


「我々もこういう結論で良いかという部分ではチーム内でも分かれているのでな。我々は憶測だが、この三つ目の研究は不死の研究だと思っている。」


「なに…不死とな……魔物や魔人の研究ではないのか。」


「そういう事で割れているのだ。我々のチーム内でもな……」


「だが、憶測するには色々な経過があるだろう。それを話さないか。」


「この3部署の研究は全て目的が同じだからだよ。」


「同じ…でも違う分野の研究をしているよな。」


「この天使の目の総帥を知っているか。」


「いや……知らん。」


「この男は、リーガル・ルーセントという人物だ。この男は、地政学の研究者だったのだ。私の同僚だった。彼は人生の多くの時間を研究に費やした。ある時に気が付いたのさ。老いる自分の体を見て……彼は老いない体を欲した。」


「どうも話が見えんな……」


「地殻変動が起きたのは200年前になる。儂はリーガル・ルーセントという人物が偶然にクリスタルを発見したのではないかと仮定した。そうすると全ての話に辻褄が合う。彼は、クリスタルの研究した。そして、偶然に発見したのではないかと…クリスタルの技術はかなり前の段階から確立していた。我々はそれを改良はしていても、基本的な構造は出来ていた。そして、それを使って、彼はクリスタルの聖域に入る事が出来たと考えられる。」


「まさか……」


「そうだ。私はこの者は生きていると考えている。だから組織の歴史的な部分は残されていなかった。永遠に生きる世界があるのだ。後世に知らしめる必要はあるまい。」


「でも、おかしくはないか。永遠に生きられる場所を得たのだ。それで満足してもおかしくはあるまい。」


「彼は、この聖域だけでは満足しなかったのだろう。そして、外の世界で生きる事を望んだ時に彼は新しい肉体が必要になると考えたのかもしれない。そして、それがクリスタルの研究、禁術法、魔人や魔物に繋がったと考える。」


『その組織のリーガルという総帥の写真はありますか。』


「あるぞ。天使の目には、彼の写真を崇めるように飾っていたからな。これがその写真だ。」


『……この男です。僕の家族を殺したのは……』


「これで、繋がったな…彼は生きていた。生きて研究を続けている。我々の実験室に移動しよう。」


『実験室?何を実験しているのですか。』


「天使の目から持ってきたデータを解析し、最初の段階から研究を進めているのだ。そうする事で、いろいろな事が分かってきた。我々の検証も最終段階に来ている。魔物や魔人の進化のプロセスを再現して、彼らの謎に迫っているのだ。」


『何か分かったのでしょうか。』


「まあ、そんなに慌てるな。ことは順序よく説明する。再現してみせた方が良いだろう。」


『はい。その方が分かりやすいと思います。』

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