第079話 雷鳴
■クリスタニア大陸 王都ロックハルト 行政府 会議室 アルフォード・ウィンザー
オーベルト・シュタインという歴史学者が見せた絵には、僕の肩にある痣があった。あの痣の絵を見せられた時に、僕の脳天から地面にかけて落雷が落ちたような衝撃だった。この事がある事実を確定させた。やはり、母さんはあの組織と関係がある。そして、僕はクリスタルを最初から持っていたのだ。それとこの痣は僕だけではない父や兄にもあった痣だ。そして、それは何かしらの術が僕たちに施されている事を意味するのだろうか。
僕は一体何者なのか…。
「アルフォード君…アルフォード君…」
『は…はい。何でしょうか。』
「何かあったのかね…」
『……いいえ』
「顔色が悪いぞ。大丈夫か。」
『ダグラスさん。すいません。色々な事が有りまして…』
そうすると、会議室の扉がノックされた。これだけ、国の主要人物が集まった会議に入ってくるなんて、通常は有りえない。つまりは、それを押してまで報告しなければならない事態が起きたのだろう。
■クリスタニア大陸 王都ロックハルト 行政府 会議室 オスカル・シャロン
扉から入ってきたのは、リンツ参事官だった。顔色が悪い。
「どうしたのか。」
「クリスタニアの町が魔人に襲撃されました。」
「なに…被害は出ているのか。」
「町の被害は比較的軽微との事ですが、ライアン支部長が殺されました。」
「ライアン支部長が…」
『しまった。そういう事なのか…。』
「何か知っているのか。アルフォード君」
『多分ですが、先程の絵にある魔人の核クリスタルをライアン支部長に渡しました。魔人は何かしらの理由で、その核クリスタルを取り戻しに来たのかもしれません。』
「核クリスタル…」
『はい。ライアン支部長は、魔人討伐には研究が必要だと言って、僕はその考えに賛成したのです。そして、支部長に核クリスタルを渡しました。』
それに、リンツ参事官は答えた。
「確かに、ライアン支部長が事切れる前に発した言葉は、クリスタルを奪われたと…」
『…他にも気になる事があります。』
僕は、覚悟を決めて話し出した。
「3枚目の絵に描いてある絵の形ですが、僕にもそれと同じものがあります。なぜ、それがあるのかは分かりません。」
「……!」
僕は、服を脱いで肩の痣を見せた。
『この痣は僕の父親もありました。』
「他に、懸念する事はあるかね。」
『はい。』
「語ってくれないか。」
『はい。まず、僕の事を話しますが、僕には記憶がありません。だから、僕がこの組織とどのように関わっているのか分かりません。しかし、僕はクリスタニアの町で最初の魔人と戦った後に、自分自身の幼少の記憶を垣間見えたのです。その中で、僕の家族は、殆どですが殺されました。その時に、私の家族を襲ったのが、その天使の目という組織だったのです。』
「そうか。それで…」
『その組織と一緒に魔人がいました。そして、魔人はその天使の目と思われる人物から命令を受けていたのです。恐らくですが、先程の話はこの組織の作り話の可能性があると思います。もしかしたら、この組織が魔人を作った可能性があります。』
「なんですと…」
「ちょっと待って下さい。アルフォード君が家族を殺されたのは彼が4歳の時です。4歳の子供にその事を理解出来る知能が有るとは思えません。」
『クロノス将軍の指摘は最もです。でも、記憶の中の4歳の僕は、かなりの理解力がありました。それは僕の元々の知能と言うより、強化されたものだと思います。僕は、既にクリスタルを持っていた。でも、インテリジェンスカードは持っていなかった。何らかの理由があったのかもしれませんが、僕は小さい時から希望石を融合されていました。4歳でレベルが11も有ったのです。』
「…そんな……。」
『そして、天使の目という組織の男と僕の母さんは話していたのです。なぜ、裏切ったのかと…。そして、何かしらのデータと何かを要求していました。その要求していた物は分かりません。この事を総合して考えると、地殻変動後に魔人が現れたのではなく、その前にいたと考えるのが妥当だと思います。そうであれば、信者には手を出さないという事も整合が取れます。つまり…』
「つまり、何だというのかね。」
『国がこの組織を利用したのではない。組織が国を利用した可能性があります。』
「馬鹿な…」
『最後の事は、飽く迄も僕の仮説です。』
■クリスタニア大陸 王都ロックハルト 行政府 会議室 アルフォード・ウィンザー
なぜ、イーグル・スピリットは灰色のクリスタルを回収したのか。イーグル・スピリットのエリシオさんは何かを倒すために活動していた。そして、彼は何かを掴んでるようだった。僕の胸が再び苦しみだした。
胸が熱い…僕の中の何かが僕に語りかけるような熱さだった。




