第076話 会議の召集
■クリスタニア大陸 王都ロックハルト シャロン家 アルフォード・ウィンザー
僕は、最強種との戦闘を終え、シャロン家に戻ってきた。短時間であるが、戦闘をしているし、精神的な疲れもあって眠る事にした。この後の事を考えれば、少しでも疲れを取らなければならない。
帰ってくると、マリアさんとマリーさんが玄関に待っていた。彼女たちは何かを聞きたいという顔をしていたが、僕は疲れていたるので、休ませてほしいと言った。更に、何かあれば起こしてほしい旨を話した。
■クリスタニア大陸 王都ロックハルト シャロン家 マリー・シャロン
アルフォード君は戦闘をしたようだ。でも、戦闘が終わっていないのに帰ってきた。これは、戦況が良い方向になっていると考えて良いのだろうか。彼が寝室に行って、3時間がたった時にお父様が帰ってきた。話を聞くと、戦闘は後3時間もすれば集束するだろうとの事だった。王に報告をして、後の事は任せてきたと話す。何時ものお父様らしくない。最後まで責任を持って仕事をする人だった。しかし、アルフォード君もそういう意味では同じなのだが、早く帰ってきて寝ている。どうも腑に落ちない。
「お父様。アルフォード君は戦ったのですか。」
「ああ。最初に上位種を倒したと聞いたよ。そして、劣勢の聖騎士隊の援護をした。その時に魔物を2000近く倒したと聞いている。その後は、2体の上位種を倒して、先程は3人で最強種を撃退したと報告を受けた。その時に、彼は超越者になっていると聞いている。戦況はそれで問題無いと判断して、彼はこの町に帰って来たと思うが、彼からは何も聞いていないのかい。」
「はい。帰ってくるなり、疲れたので寝ると言って、部屋の中に入ってしまいました。」
「そうか。歓心するよ。彼は、この後の事を考えているのだろう。」
「この後の事?」
「彼は、もしかしたら魔人が来る可能性を考えていると思う。最強種との戦いも、その事を考慮しながら戦っていたようだ。戦闘開始前に、私に判断を仰いできたよ。」
「魔人が王都にも来るのですか。」
「今のところ、動きがない。魔人の砦の監視も同様との事だ。杞憂に終わる可能性が高いが、備えは大事だからね。そういう彼の姿勢を我々も見習わねばならない。」
「お父様もそれで帰ってきたと事ですか。」
「そうだね。任せられる事は任せる事にしたのは、次の可能性があるからだ。次が有るようであれば、私も王都に詰めなければならないからね。私も、3時間ばかり休息を取って、行政府に出仕しなければならない。少し休ませてくれ。」
「分かりました。お父様。」
「うむ。」
そうか。アルフォード君は、その後を考えたのか。それにしても、あの短時間の間に上位種3匹と魔物2000を倒したという話は驚いたけど、更に最強種を倒している。なぜ、彼は戦いの事に関しては話してくれないのだろう。今までの聖騎士たちは家に来れば、自分の功績を自慢げに話す者が多かった。彼は、そんな大人とは少し違って、戦いの事はあまり語りたがらない。これは、冒険者と聖騎士の違いなのだろうか。
■クリスタニア大陸 王都ロックハルト シャロン家 アルフォード・ウィンザー
僕は、5時間から6時間位は眠っていたのだろう。戦闘の疲労はもう殆どないくらい回復している。バトルカウンターを見た。体力と魔力は全快していた。超越者になれる時間も50分になっている。20分増えた。つまり、超越者になれる時間を全て使い切ると、回復には1日の休息が必要になる計算になる。
僕は、最強種との戦いで、竜が操られた護符と魔法陣の事を考えていた。魔法陣については、自爆するように施されたものだ。護符を外すと直ぐに作動した事からも想像がつく。あの護符にも何かしらの術が施されているはずだ。あの最強種である竜は、生きていなかったと思う。外した瞬間に生気を感じなかったし、体を維持できないようだった。更に、護符には死んだ者にエネルギーを与える物なのかもしれない。それとも傀儡にする為のものなのか。
そう考えていると扉がノックされた。食事の準備が出来ているとの事だった。
■クリスタニア大陸 王都ロックハルト シャロン家 オスカル・シャロン
「アルフォード君のおかげで、随分と早く事態の収拾が図れそうだ。助かったよ。」
「それは良かった。でも、まさかマリーさんのお父さんが宰相をしているなんて、知りませんでしたよ。」
「御免なさい。」
『それで、クリスタニアで参事官の話を僕に振ったのですね。』
「まあ、マリーが君を説得したというなら、我々としては良かったという事になります。」
『…』
「それより、アルフォード君は今後の動きはどうするのかね。」
『魔人の動向次第になります。僕としては、クリスタニアの町に戻って武器と防具を取ってきたいと思います。宰相としては、何か行動するのですか。』
「君が戦いの中で、何か疑問があるようだと、ダグラス殿が言っていた。君には何か懸念があるのかい。」
『あります。ただ、私も全てを知っている訳ではありません。この王都は書物がありますか。調べたい事があります。』
「調べたい事か。書物もあるし、文官もいるから何か知りたい事があれば、こちらでも調べられる。」
『分かりました。』
「ダグラス殿も、その点を聞きたいというし、ビクター・ロックスの両将軍もお礼を言いたいと言っていた。アルフォード君が良ければ、これから会議を招集しているので、それに参加して貰いたい。どうだろうか。」
『ダグラスさんとロックス将軍には説明すると約束したので、会議に参加する事は問題ありませんが、国の重要な会議に私が参加してよろしいのでしょうか。』
「それは問題ないよ。」
『分かりました。参加します。」




