第073話 ロックハルト攻防戦(その3:達人との会合)
■クリスタニア大陸 王都ロックハルト 城壁 アルフォード・ウィンザー
僕は、劣勢な状態から好転した事からロックハルトに戻ってきた。そして、城壁から戦いを観戦しようとしている。問題があれば、再び戦場に戻らなければならない。だが、問題なのは、魔物でも上位種でもない。最強種なのだ。戦いながら最強種を見た。漆黒の竜は魔物も聖騎士もお構いなしに攻撃をしている。どうも、敵味方の判断は無いようだ。知能があるにも関わらず見境なしに攻撃している所を見ると敵というには判断材料に欠ける。
何か暴れる理由があるのだろうか。
城壁降り立つと、町で絡まれていたおじさんがいた。そして、こちらを見ている。
「流石に、お主は強いな。この前の殺気は恐ろしくなったぞ…背中に冷たい物が流れたわい。」
『すいませんでした。私の連れが助けようという事を言ったので、少しだけ状況を見ていました。』
「見ていたら、なぜ助けない。年寄りを労わらんか。」
『冒険者は、自己責任です。それに、私は貴方が強い事を何となくですが分かりましたので、助ける必要がないと判断したのです。』
「まあ、その判断は間違ってはおらんよ。」
『そうですね。』
「戦闘が終わっていないのに、なぜ戻ってきた。」
『なぜでしょうね。まあ、私はこの町の者ではありません。本来であれば、この町の平和はこの町の者が守るべきです。そういう意味では、なぜあなたが参加しないのか逆に質問したいくらいです。それに…』
「それに何じゃ…」
『問題なのは、最強種が問題だと思います。そして、もしかしたらその後がいるかもしれません。だから力を温存しなければなりません。戦いは勝たねば意味がありません。局地戦で勝っても、重要な戦いで負けては意味がないでしょう。だから僕は、戦場の全体の動きを見ながら戦っています。』
「そうか。答えとしては合格点が与えられるの…儂もそうじゃ…あの竜を見ていたが、敵と判断するには早いと思ってなぁ。」
『何が原因かは分かりませんが、このまま直進されると町にぶつかりそうです。そうなっては、戦って撃退するか。何処かに逃がすように対応した方が良いでしょう。』
「なるほどの…お前さんは状況の判断は出来るようだ。指揮官に見習わせたいものよ。儂は、ダグラス・ワイズマンだ。この町で、騎士団の技術指導をしている者だ。」
『つまりは、超越者という事ですか。』
「そうなるの。」
『なぜ、この戦闘で超越者になる者がいないのですか。クリスタルファングを使ったのは僕だけでしたよ。』
「騎士団を指揮しているものが超越者だからだろう。指揮官は、単独行動が出来ないからの。それに超越者に役職を与えなければ町から去ってしまう。それに、力の無い者に命令をされるというのはプライドが許さないのだろう。だから扱いが難しい。結果として弊害になっている。一番なのはポストを与えるより、戦士団として厚遇する事が重要なのだ。まあ、それに満足をしてしまっては、意味がないが…」
『それで、ここで様子を見ていると…。』
「そうだ。」
『状況はどうなると思いますか。』
「魔物は問題ない。上位種もそろそろ指揮官も攻勢を掛けたい処だろうから問題ないと思っている。問題は魔人の動向だ。今日来るのか。明日来るのか。位置を確認しただけなのか。それによって、こちらの動き方が変わる。お前さんのファングは後どの位出せるのだ。」
『そうですね。あと50分という所です。』
「ほう。関心するの…。無駄な時間がないか。あの巨大な光を出しのがお主の技か…」
『私の技ですか。技自体の発案は僕ではなりませんから借り物の技という事になります。』
「借り物?」
『はい。僕にはラーニングが有りますので…。』
「あんな技は見た事は無いがなぁ…。実に素晴らしい技だ。ラーニングか。他にも使えるファングはあるのか。」
『はい。ただ、一番威力がある技は出せません。剣が無いのです。クリスタニアの町に置いてきました。町に戻ったのは、戦況の確認もそうですが、問題ないなら剣を取りに行った方が良いかという事です。』
「儂の予想だと、この戦いでは必要ないと思う。その後は、必要になる可能性が高いと思うぞ。仮にもクリスタニアの覇者と呼ばれる魔人だ。簡単には倒せまい。」
『でも、10名も超越者がいれば問題ないのでは…』
「所詮は、魔人との対戦のない超越者だ。戦えば厳しい現実を思い知る事になる。」
『思い当たる節が有ります。』
「クリスタニアから来たと言ったが、町を守った英雄殿か…。」
『魔人とは戦いました。でも、僕は英雄とは思っていませんよ。当たり前の事をしただけです。』
「魔人は、簡単に倒したのか。」
『…初戦は、苦戦しました。クリスタルを暴走させてしまったので…。次は、魔人は瞬殺しました。』
「そうか。それは大変だったなぁ。暴走すると辛いだろう。」
『はい。』
「それで、どうする。あの漆黒の竜は…。」
『私には判断が付きません。ダグラスさんはどうした方が良いと思いますか。』
「そうじゃの。下の戦況が落ち着いたら考えたいと言いたい所だが、そうも言っていられないだろう。戦うしかなかろう。」
『もう一人位は攻撃する者が欲しいですね。あの竜はかなり攻撃力が高い火炎を吐いていますので、僕は防御に徹します。その間に攻撃してくれる人がいると有り難いのですが…』
「分かった。宰相殿に相談しよう。ロックス将軍を借りるか、ビクター将軍を借りるかすれば対応が可能だろう。防御の方は抜かりはないか。」
『大丈夫だと思います。』
「そうか…」
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