第066話 目論見は…
■クリスタニア大陸 クリスタニア 学園寮 アルフォード・ウィンザー
今日は、チーム・マリーの反省会だそうだ。そして、その反省会には手作りの食べ物を持っていかなければならない。私は、この町で有名なお菓子を持っていくつもりだ。復興を手伝っていた時に差し入れされたケーキというものをラーニングで覚えたので、それを朝から寮で作っていた。ちなみに2ホール持っていく。味見をしたけど、凄く美味しかった。イチゴとチョコレートのケーキだ。他にもラーニングで覚えた料理もあるが、食後のデザートが良いだろう。
■クリスタニア大陸 クリスタニア クリスタニア学園 3年 第2チーム会議室 アルフォード・ウィンザー
「遅くなりました。」
第2チームの会議室に入るなり、多くの料理が並べられている。これは良い御馳走に有り付けそうだ。
「アルフォード君は、何の料理を持って来たの…」
『僕はケーキを作ってきました。』
そうすると、皆がこちらを向いて微笑む。デザートにして正解のようだ…
マリーさんの音頭のもと、反省会というなの食事会は進んでいく。今日は、何だかみんな積極的に僕に話しかけてくる。何か有ったのだろうか?
「アルフォード君は、学校を卒業したら何をするの…」
マリーさんが質問してきた。
『まだ、決めていません。それに卒業するか分からないですよ。』
「どうして…」
『この頃、僕は此処にいて良いのか迷っています。僕には記憶がありませんから…。僕は、ユーレリアの戦場付近の町に居ました。手掛かりがあるのです。本当は、すぐにでも飛んで調べに行きたいのですが…』
「そう…自分探しの旅か…」
『そんなカッコいいものではありませんよ…僕には…』
「どうしたの…言いかけて止めると、気になるじゃない。」
『すいません。折角の楽しい雰囲気を壊すところでした。』
「この前の事なの…」
『はい。』
「言えば、スッキリする事だって有るし、悩んでいたなら相談に乗れる事もあるかもしれないよ。」
他の人からも同じような言葉を言ってくれた。話せば楽になれるかもしれない。
こうして、僕はこれまで見た自分の記憶を話した。その話は、ここに居る人たちの想像を越えた生きた方だった。有るものは言葉を発しなくなった。そして、あるものは涙を流している。僕は強くなりたかった。でも、それは魔物を倒したいという事では無い。僕の大切なものを守るために強くなりたかった。
「この前の魔人との戦闘で、私たちを庇いながら戦ったのは…」
『僕の心の何処かに有ったのでしょうね。記憶を忘れる前の自分が、記憶の中の僕は力の無い事に絶望していました。そして、自分の好きな人たちを守れない事を悔やんでいた。でも、最後に希望を見出したのです。』
「希望…」
『はい。何かを守るための強さを持っていた人たちが居ました。僕は、その人たちに希望を見出したのです。でも、2匹目の魔人が町に来ることを、この指輪が教えてくれました。そこで、記憶との干渉をたったら見れなくなってしまいました。何かのきっかけがあると思うのです。』
「それにしても…」
『マリーさんが気にする事ではありませんよ。僕は全てを受け止めるつもりです。この町で助けられて、いろいろな事がありました。これも何かの運命かもしれません。』
「他にもあるのね…」
『はい。僕の日記には、死の覚悟が綴ってありました。多分、僕は何かと戦って敗れた。そこを仲間に助けられたのだと思います。これは推測ですが…もし、仲間がいるとすれば、僕を探しているかもしれない。今の僕は祈るしかありません。僕の仲間が無事な事を…』
「…」
『だから、ずっと悩んでいました。僕だけこうして生活している事に…』
「でも、貴方は楽をしている訳では無いわ。同じように辛い戦いをしてきたじゃない。」
『そうですね。皆さんに話を聞いて貰つたら何だか心が楽になったかもしれません。』
「そう。それは良かったわ。」
『折角、作ったのです。僕のケーキも食べて下さい。』
「そうね…」
そう言って、ケーキを食べた。皆は美味しいと言ってくれたけど、これ本当に手作りなのと言われた。僕はラーニングで覚えたから本物と同じものが作れると言うと皆が納得した。でも、考えてしまう。僕はこれからどうすれば良いのかと…
■クリスタニア大陸 クリスタニア クリスタニア学園 3年 第2チーム会議室 マリー・シャロン
アルフォード君は良く屋上で何かを考えていた。魔人と戦う事も考えただろうけど…5歳で戦場で登録して、戦ってきた。私たちが敵うはずがない。彼は生きるため、そして守るために強くなろうとした。彼は良く撤退する事を話すけど、最初の頃の私は逃げる事を潔しとは思わなかった。でも、彼はこれまで過酷の中で生きていたからこそ、命の尊さを知っているのかもしれない。我々の考えは彼に比べれば安易な事ばかりなのだろう。私も、リーファも強くなる事に夢中だった。強いものが正義だと信じて疑わなかった。でも、私は早くその事に気付けた事は幸せなのかもしれない。
皆が、彼との関係を築きたいという目論見は、彼の悩みを聞いた事で簡単に話せる事ではないと思った。でも、何でも出来るアルフォード君にも悩みがある事が分かっただけでも収穫としなければならない。まだ1年間ある。慌てる必要はない…




