第057話 そこに迫る危機!
■クリスタニア大陸 魔人の砦 ガルトス(冷酷なる破壊鳥:◆◆)サイバート(クリスタニアの覇者:◆◆◆)
何…本当か…ガルトが殺された。何の冗談だ。我が弟が殺される訳がなかろう。俺は信じぬ…断じて信じぬぞ。
「疑うなら、自分の目で見るがいい。」
「自分の目で…」
「ああ。認識票が返ってきている。」
「認識票が戻ってきているのか。ああぁあ…くそったれめ。」
認識票を受け取って、魔法で映像魔法を出す。そこには、魔人ガルトの最後の戦いが写った。最初に戦った白狼戦士団との戦いから始まり、謎の光を纏った戦士。これは…
「凄い奴がいるな…お前の弟がやられるのも無理はない。しかし、お前の弟も良い仕事をする。」
「良い仕事?」
「ガルトは自爆した。その余波に巻き込まれている。奴が強いと言っても無傷ではあるまい。」
「なる程、攻めるなら今が良い。そういう事か…」
「そういう事になるな。今ならガルトの匂いも町に残っている。機会を失う結果になるぞ。」
「お前さんには悪いが、この獲物は俺のもんだ。手出しは無用だ。」
「ああ。今回は譲ろう。せいぜい頑張るのだな。」
確かに、サイバートの言う事も一理ある。痕跡が消えれば探すのは手間だ。出るしかあるまい。俺は何時でもお前の首を狙っている。サイバート…。こいつを血祭りに上げた暁には、その余勢をかって、お前を倒させて貰う。楽しみだ。人間の生暖かい肌をプシュってやるのは…痛がる顔も良い。おっと、涎が垂れそうになった。そして、俺はこの大陸を支配するのだ…
■クリスタニア大陸 クリスタニア 行政府 リンツ・ジョーゼフ参事官
何…魔人が向かってくるだと…5日前に、撃退したばかりではないか。私は、急いで、学園長と支部長で打ち合わせをする事にした。結界が張ってあるから簡単に見つかるとは思えないが…
「火急の要件と聞いて来ました。参事官…」
「年寄りを慌てさせる出ない…参事官…それで…火急の要件とは…」
「支部長・理事長…魔人の砦で動きがあった。魔人がこちらに向かっているとの情報が来ている。」
「えぇ…そんな…」
「参事官、それはまことか…」
「そのようです。情報によれば、この前来たタイプの色違いとの事です。この前に来たのは赤い色の羽でした。今回向かっているのは青い色との事です。」
「厄介じゃの…参事官…して対応は出来るのか…」
「滞在している白狼戦士団に話はしてみますが、彼らも怪我をしています。それに、この前の戦闘で随分と自信を無くしているようでした…」
「そうじゃろうの…して、理事長…アルフォード君はどうじゃ…」
「聖母竜の鱗を所持していました。そのおかげで、意識は回復しておりませんが、峠は越えました。後は、いつ目覚めるか…しかし、こちらは治療魔法を施してはいるものの…」
「アルフォード君は期待できないのですか。理事長…」
「無理を言わないで下さい。参事官…」
「そうですか。アルフォード君が期待できない以上は、民は速やかに避難させましょう。それと学園も体育館が壊れている。新たな避難場所として、闘技場を利用させましょう。もう一度、私は白狼戦士団に話してきます。」
「この町を移動する事は出来ないか。」
「この町を捨てるのですか…支部長…」
「仕方あるまい。こう何度も魔人に襲われては、町民も定住し辛いだろう。嫌でも出ていくわい。火種を何とかしない限りは…」
「しかし、王都の許可もなしに移動するのは…」
「何も、この話は今回の事に限らん。それに、我々も民間人より先に逃げる訳ではない。ここには、冒険者の卵もいる。それを失う事は国の損失にも繋がらん。ロックハルトに伝令を出す事は怠れんわい」
「分かりました。早急に使者を出します。しかし、今回は間に合いません。」
「何とかなる相手ではないが…何とかするしかあるまいて…」
そう言って、各人は持ち場に向かった。
■クリスタニア大陸 クリスタニア 行政府 白狼戦士団 ウィリアム・バーゼル戦士団長
俺たちは、先の魔人戦で戦友を失った。スリング…俺たちにとって、初めての屈辱だった。あんなにも差があったなんて…超越者になり、クリスタルファングを持った時から俺の成長は止まってしまったのかもしれない。現状に満足してしまった。だから、技を磨かなかった。その影響が友を失う代償になった。魔人…今までに無い戦いを強いられ、更にあれから強くなった。再戦しても結果は同じだろう。それでも俺たちに足らないのもが見えた。それを補う事が、今回、散った友への弔いになるだろう。
あれから数日がたった。行政府の来賓者専門の部屋の扉がノックされた。入ってきたのは、リンツ参事官だ。何の用だろうか。参事官から再び魔人が来る事を聞いた。なんでもガルドという先の魔人と同じタイプで毛の色が赤から青に変わっただけとの事だ…。リンツ参事官は俺たちに戦うよう要請している。だが…今の俺たちに足りないものがある。私は心を鬼にして、参事官に話した。我々も傷ついている。自分の未熟さを認めた上で、敵わないからと断わった。リンツ参事官からは、そうかと言われた。彼も我々に頼むしかなかったのだろう。心が痛くなった。それでも仲間を見る。セレンもアイゼルも心が痛んだのだろう。下を向いて黙っていた。俺と同意見なのだろう…参事官も納得したように帰って行った。帰り際に無理を言ったと僕に言葉を返したてきた。本当にすまない…




