第053話 記憶の間(その4:冒険者登録)
■クリスタルの記憶 アルフォード・ウィンザー(5歳)
僕は、宿屋のおじさんにお礼を言った。
「これからどうする。」
『兄を救う方法を思いつきました。それには戦場に行くしかありません。』
「戦うのかい。」
『…』
「お前が良ければ、この家の子にならないか。お前はやさしい。そして、働き者だ。ここで、俺と穏やかに暮らそうじゃないか。」
僕は、それに首を振った。
『すいません。自分だけ生きる事を考えたらそれが良いと思います。でも、僕には兄さんがいます。僕にとって唯一の家族なんです。このままでは兄さんは死んでしまう。おじさん、ありがとう。僕は感謝しています。本当に…。』
僕は、そう言って宿を飛び出した。もう、戻れない。ごめん…おじさん…
こうして、僕は戦場に行く事になった。今の僕に何が出来るのだろうか。それでもやるしかない。僕は決意を新たに武器商人の元に向かった。
「お前が、冒険者になりたいという坊主か。名前は何という。」
『アルフォード・ウィンザーと言います。』
「言っておくが、冒険者は人とは違う。冒険者になったらもう人には戻れない。その覚悟はあるか。」
『有ります。』
「分かった。それと、条件を確認したい。後で保護にされても厄介だからな。」
『敵を倒した希望石と魔結晶のうち、魔結晶を通常の7割であなた達に売るそういう決めでよいですか。』
「それと武器も売ってもらう。この戦場には、冒険者の死体が転がっている。その死体から武器、希望石、魔結晶を盗んで来い。言い方が悪かったな。戦場で死んだ者が所有していたものは拾った者の所有になる。カードの財産以外はな。それと、坊主に一言だけ言っておく。冒険者というのは、自己責任だそれも分かるな。」
『分かっています。何度も言わなくても分かります。』
「それと、俺たちは闇の者だ。この事は他言無用に願いたい。裏切れば死ぬ事になる。これがこの世界の鉄則でもある。」
『分かっています。』
「そうか。それでは検討を祈る。少ないが、これは俺からの餞別だ。」
そう言って、短剣を一本投げてきた。
『ありがとう。』
「おおっと大事な事を言うのを忘れていた。坊主、冒険者の登録は今日の夜に行う。心配するな、登録をする者はちゃんと冒険者ギルドと繋がりがある者が行う。」
『分かりました。今夜来ます。』
僕は、そうして、闇の武器商人と協定を結んだ。そして、夜が訪れる。武器商人の所に来て、ドアを3回叩くと、奥から声が聞こえる。
「誰だ。」
「運び屋です。」
これが、この闇商人との暗号となっている。ここで名前を名乗ると出てこない事になっている。
「入れ。」
僕は扉から中に入った。入ると女の人が立っている。女の人は仮面で素性が分からなくなっていた。
「さっそく、登録を行いましょう。」
そうすると女性はインテリジェンスカードとクリスタルを取り出した。
「これを、体の中に魔法陣を通じて入れればおしまいよ。すぐに済むわ。」
そうして、僕は荷台に仰向けになった。インテリジェンスカードはすんなりと体の中に入った。
「おかしいわね。クリスタルが入らないわ。」
『もしかしたら、クリスタルは元々持っている可能性があります。』
「へぇ。元々ねぇ…。そんな事は聞いた事は無いけど、現にクリスタルが入らないからその可能性はあるかもね。それならこれで御終いだよ。あとは、自己責任で頼むわ。」
僕は、あえて返事はしなかった。ただ、頷いて答えた。その後は勝手に住んでいる小屋に戻った。
『ただいま…』
「お帰り…」
「少ないけど、今日のご飯。」
僕は、兄さんにパンを1個渡した。これまでも、薬を買ったため、栄養のある物を食べている訳では無い。もう少しの辛抱だ。明日から僕が何とかする。こんな食事でも兄は文句も言わないで食べている。兄も申し訳ないと思っているのだろう…
寝る前に僕のインテリジェンスカードを見た。レベルは11だった。子供の時から強化されたお蔭なのだろう。
職業:冒険者
名前:アルフォード・ウィンザー 年齢5歳
経歴:戦闘歴0年(登録 5歳) 学歴 無
ランク:Ⅰ-ランク
出身地:不詳(登録 ユーレリア大陸の戦場)
犯罪歴:無
残高:50G
能力:レベル11
HP 125/125
MP 75/75
基本値
力:65
体力:125
魔攻撃:75
魔耐性:75
知性:105
器用さ:35
素早さ:40
精神力:43
魔法属性:火・風・水・雷・土・光・闇・毒・時・天(全属性)
取得属性:無
特殊能力:無
総合戦闘能力値:350
やはり、レベル1ではなかった。これなら少しは抵抗出来るかもしれない。戦いは考えない。倒された者から盗ってくる。ここは戦場だ。死ねば身ぐるみを剥される場所なのだ。それは僕も同じなのだから…
■クリスタルの記憶 アルフォード・ウィンザー(15歳)
僕の能力にラーニングが無い。闘気解放も…。特殊能力は最初から持っている能力ではないのか。魔法属性は全属性取得できる事は変わらない。何がどうなっているのか。




