第051話 記憶の間(その2:家族崩壊)
■クリスタルの記憶 アルフォード・ウィンザー(4歳)
家族6人で生活をしている。穏やかな日々が続いた。父と長男のマックスは、毎日のように討伐に出かけている。そして、僕と兄に希望石を与え続けた。母は優しそうな顔をしている。妹も可愛い。次男は病弱だけど、希望石を与えられているお蔭で元気になっているように思えた。
■クリスタルの記憶 アルフォード・ウィンザー(15歳)
ここはどこなのだろうか…ユーレリア大陸?なんていう町に住んでいるのか。それは分からなった。
■クリスタルの記憶 アルフォード・ウィンザー(4歳)
今日は、キスリング兄さんも元気なようだ。調子が良いと言って、僕と遊びに行こうと言っている。母さんは相変わらず、部屋に入って仕事をしている。何かの研究をしているようだ。母は、良く父と討伐した魔物の耐性、特性などを聞いている。もしかしたら戦うための研究をしているのだろうか?
「母さん…。大変だ…。奴らに見つかった。このままでは、殺される。父さんが時間を稼ぐと言って、最初に戦っている。母さんは、エミリーをつれて逃げて…」
「キスリングとアルフォードは何処にいますか。」
「外に遊びに行ってしまった。場所は分からないわ。」
「僕が探してきます。母さんは早く逃げるんだ。」
「分かりました。マックスも気を付けるのよ。」
僕と兄は山の中で遊んでいた。家が燃えている。何かあったのだろうか。兄さん、家が…。僕たちは急いで家に帰ろうとした。そこには、変なマークをしているローブを着た人間と魔人がいた…僕たち兄弟は草むらの中からその状況を見ていた。そして、傷ついた母と妹、そして父の姿があった。兄が助けようと飛び出そうとしている所を僕が必死に止めている。涙を流しながら、必死に兄と口元を抑えていた。
そして、変なマークをしている人たちが、母親に詰め寄っている。
「どうして裏切った…」
「裏切り…私は裏切ってなどいない。あなた達が、人々を裏切っているのよ。」
「あれを渡せ。早くしろ…グズグスするな。」
「渡さないわ。あなた達なんかに…。」
「お前は、自分の置かれた状況を理解していないようだ。」
「何をする気なの。」
そうして、ローブ男の脇にいた魔人がエミリーに近くに寄った。
「何をするの。止めて、お願い。お願いだから子供だけには手を出さないで…。」
魔人は妹を簡単に殺した。まるで人形を壊すみたいに…。妹は恐怖に怯えた顔をしながらゆっくりと地面に倒れた。痛い痛いよ……お母さん…。
「止めて、お願い…」
魔人は、妹の体を踏みつけるとプシューと血が吹き上がった。
「あ…あ…」
母さんは発狂したように奇声を上げている。
「どうした。早く渡せ…さもないと…。」
「母は観念したのか。何かのデータを手渡した。」
「物はどうした。」
「使ってしまった」
そうするとローブの男は激昂して、母さんを殺した。
「何て事をしやがる。あれは至宝なのだ。クソったれ目…1個は回収した。残るは3つだ。周りを探せ。必ずあるはずだ。」
兄も、僕も二人が殺された事に我慢が出来なくなったのか、草むらから飛び出していった。
「よくも母さんを…」『よくも…』
それを見て、魔人が僕と兄さんを殺そうと黒炎を放った。それを庇うように、マックス兄さんが飛び出してきた。そして、有無を言わさずに僕と兄さんを長距離移動で転移させた。転移させながら兄さんが殺されるたのを僕たちはただ黙って見るしかなかった…
ここは何処だろう。僕たちは暗闇を只々歩いていた。
『コホン…コホン…兄さん大丈夫…』
小さい明かりが見える。町だろうか。僕たちはそこまで歩くと小さい集落があった。僕たちは、暖を取れるところを探すと、小さい廃屋があった。藁がしいてある。何かの小屋だろうか。とりあえず僕たちはそこで一日を過ごす事にした。
兄さんは何も話さなかった。ただ、すすり泣く声が聞こえてくる。僕も泣いていた。あの人間の顔を僕は忘れない。そして、あのマークを…。丸の中に△が書かれ、△の上に目が三つあった。そして、頂点には天使の輪と両脇には翼が書かれている。僕は、何も出来なかった。もう、家族はいない。僕たち二人はこれからどうなるのだろうか。気か付いたら僕は疲れていたのだろう。泣きながら眠っていた。
■クリスタルの記憶 アルフォード・ウィンザー(15歳)
僕の家族…イーグル・スピリット戦士団の予備役だったフェリックス・ウィンザー。彼は気絶していた。そして、母と妹…そして、長男のマックスは殺された。一つは回収した?何を回収したのだろうか?裏切り…とは…そして、この組織の人間は、魔人を僕のように命令している。あの組織は何者なのか。あの最後の日記にある僕たちとは…、僕とキスリング兄さんのことだろう。確かにこれならあの表現も頷ける。思い出したくない出来事を僕は目の当たりにした。僕は4歳だった。そして、クリスタニアで発見されたのは15歳…この11年に何があったのだろうか。最後の仲間は兄さんだったのだろうか。そして、兄さんが僕を逃がしてくれたのだろうか?深まる謎を置いて、時計の針は秒針を刻みながら進んでいった。




