第047話 謝罪と感謝
■クリスタニア クリスタニア学園 屋上 アイオロス・グレイア主任教官
俺たちは、屋上で茫然としていた。我々が使った。合体魔砲弾は、威力を発揮するどころか、敵に力を与えた存在になった。あの時の魔人は、アルフォード君に圧倒され、肩で息をしていた。それを考えれば彼に総てを任せるべきだったのかもしれない。我々は、3カ月の訓練で得た力を過信していた。そもそも魔物で試したから魔人に通用するという安易な考えだったのだろう。更に、魔法の耐性があった事を僕たちは愚かにも無視した。あの技の威力に憑りつかれていた。いや、学生を前にして、教官である我々が無力だった事を認めたくなかったのかもしれない。更に、もしかしたらという欲もあったのだろう。
強くなった魔人の前に、アルフォード君は戸惑った表情をしている。更に、相手のスピードについて行けないのか、真面に相手の攻撃を受けてしまった。150m先にある体育館の方に飛ばされ、壁をぶち破るように体育館に吸い込まれた。俺は、それを見て周りを見た。皆が顔面蒼白になっている。自分たちが仕出かした事の重大性を理解した。すまない…アルフォード君。
■クリスタニア クリスタニア学園 体育館 アルフォード・ウィンザー
「そろそろ、良いわ…光を出すわよ…神のような光」
女神の口から光が現れた。そして、その光が僕の周りに纏わり付く。カウンターの戦闘能力を見ると70,000を示していた。僕が魔人に向かって戦うも女神が言うように戦力は互角だった…戦いは再び膠着状態になる。
今度は、魔人が僕を狙わず、学生を狙って攻撃を始めた。僕は、相殺しながらそれを防ぐ事に夢中になり、隙を見せたのだろう、攻撃が少しずつヒットする。僕は、その攻撃を受けながら、自分自身に効かない…効かない…と心の中で言い聞かせた。そして、相手は、魔刻天鳳を生徒に向けて放った。それを阻止しようと動こうとしたときに、アイゼルさんとオルガさんが身を呈して、学生を守ろうとした。彼らは、クリスタルファングで黒い鳳凰を迎撃し、威力を殺して飛ばされた。次の瞬間、魔人はアイゼルさんとオルガさんを狙って攻撃する。それを相殺した時に体がよろけた。完全に体制を崩した状況で、今度は学生を狙った魔刻天鳳が襲った。防御は間に合わない…僕は必死に黒い鳳凰に飛び込んだ…
■クリスタニア クリスタニア学園 体育館 リーファ・シャロン
魔人と互角に戦う、アルフォードを私は応援していた。もう少しで勝てる…勝ってと…でも、魔人は強かにも、彼に攻撃が当たらないとみると、私たちを狙ってきた。彼は、必死に我々を庇って戦っている。そして、黒い鳳凰が私たちに向かってきた。それを白狼戦士団と騎士団長がそれを防いだ時に、吹き飛んだ。それを魔人は見逃さなかった。今度は彼らを狙う。それを防ぐためにアルフォードが同じ技で相殺した。その時…彼の体が流れた…その瞬間、再び魔人は私たちを攻撃してくる。魔刻天鳳が私たちに向かって飛んできた。それには、多くの生徒や教官は絶望した。
私は目を瞑った。私には何もできない。これが現実だ…彼に謝りたかった…御免なさいと…上空で魔刻天鳳が爆発した。その爆発から彼が飛ばされているのが見えた。そして、壁にぶつかって、ズルズルと壁際に落ちてきた。口から血が出ている。そして、彼を見るとボロボロの状態になっていた。そして、神々しい光も消え失せている。完全に勝負が付いたと思った。
■クリスタニア クリスタニア学園 体育館 魔人 ガルト(狂える鳥獣王:◆◆)
「ククク…ケッケッケ。随分と手古摺らせてくれたなぁ…これで勝負ありだ…お前たち人間の弱点…烏合することだ…お前は勝負する事に集中出来ないでいた時点で勝負があったのだ…そして、絶望しろ…絶望の中で死んで行け…お前が守りたい者が死んでいくところを見届けてから殺してやる。」
体育館の中に魔人の声が響いた。
■クリスタニア クリスタニア学園 体育館 マリー・シャロン
魔人の声が体育館に響く中、グレース先生がアルフォード君を治療している。彼の意識はあるのだろうか…グレース先生は蒼白な顔をしている。そして、魔人の攻撃が私たちに向けて放たれた。もう、誰も守るものはいない。それでも、最後まで戦ってくれたアルフォード君の姿を見たとき、私たちもこの絶望した状況の中で彼の勇気が支えとなった。目を見開いて死んでいこう…そう思った瞬間…アルフォード君の体が、青い光に包まれた。まさか…あれはクリスタルの光…
私は、この戦いを忘れないだろう。彼は、勇気と優しさをこの戦いの中で見せてくれた。そして、何より、戦いの厳しさと最後まで諦めない姿を…私はそれを思うと、こみ上げるものがあったのか自然と涙が頬を伝わった…私は彼に感謝した。




