第046話 きまぐれな女神…
■クリスタニア大陸 クリスタニア クリスタニア学園 体育館 マリー・シャロン
魔人との戦いも佳境を迎えたと思った。アルフォード君がこんなにも強いなんて、魔人を圧倒し、魔人と伴にこの体育館から消えた。校庭から戦う音が聞こえた。多分、アルフォード君は、戦う前に主任教官たちと打合せをしていた。主任教官が消えたのもその後の話だ。何らかの準備を教官がしている事は明白だった。そして、真っ赤な隕石のような物が魔人に向かって飛んで行った。そして、突然、アルフォード君は無残な姿で現れた。壁をぶち破って、反対側の壁に当たって止まった。腕は曲がらない方向に向いている。なかなか起き上がって来ない。どうしたのだろうか。そうするとグレース先生がアルフォード君の傍に行って回復魔法で治療を行った。彼自身もその後にレストレーション3を使って、骨折を含めて直したようだ。これからどうなってしまうのだろうか。
■クリスタニア大陸 クリスタニア クリスタニア学園 体育館 アルフォード・ウィンザー
「どうしたの。」
『グレース先生。ありがとうございます。魔人が強くなりました。アイオロス教官たちが使った合体魔砲弾は火属性だったのです。魔人は火属性に耐性があり、腕のクリスタルで火属性を吸収しました。そして、イーグル・スピリットがライオスを倒したときに出た灰色の大きいクリスタルと同じものが…。後は良くわかりませんが、灰色のクリスタルが、火属性の技を受けて灼熱のクリスタルになりました。後は、見ての有様です。一撃でここまで飛ばされました。ほぼ、全快している状況で相手の技を受けましたが、1,300近いダメージを受けて、連続であの攻撃を受ければ持ちません。』
「相手は、クリスタルを暴走させたのね。」
『暴走…?この後の状況をどのようにして、対応すれば良いかも分かりません。相手とのスピードの違いがありました。』
「…私にも分からないわ…」
『…』
会場は、静かだった。僕の腕のカウンターを見た。体力は全快している。しかし、MPは残り252になっていた。それまでの戦いで400位は消耗している。僕も何時までも戦える状況にあるわけでは無いのだ…
■クリスタニア大陸 クリスタニア クリスタニア学園 体育館 魔人 ガルト(狂える鳥獣王:◆◆)
見上げた奴だ。この状況下で逃げないのだから…。もう敵わない事は理解したよなぁ。そうして、魔刻天鳳を全力で使い、この戦いを終わらせようとした。しかし、ここで思わぬ反撃が来た。彼奴の体のどこにこんな力があるのか…
■クリスタニア大陸 クリスタニア クリスタニア学園 体育館 アルフォード・ウィンザー
相手の大技である魔刻天鳳が僕に向かって飛んでくる。これを食らえば楽になれると思った。でも、そのとき不思議な声が聞こえた。
「私を使いなさい。」
『誰…』
「私です。あの技に手を向けなさい。」
『…?もしかして…』
そうして、この声の導きを受けて戦いをする事になった。技に手を当てると腕が光に集まって、魔刻天鳳が消滅した。そして…
「放ちなさい。」
『いけぇええ。』
僕は、アルタイドさんから貰った餞別である指輪を見た。女神の顔が邪悪な顔をしている。その口から魔人ガルトに向けて光を放った。光の波動がガルトを直撃した。カウンターで戦闘能力を見ると67,000に落ちている。少し弱くなっている。指輪が僕に語りかけてきた。
「あなたは、ゼクスと同じ匂いがするわ。私は、気まぐれの女神よ。今回貴方を助けたのは気まぐれよ…」
『ありがとう。助かりました。あなたの協力が必要です。どうすれば良いのでしょう。』
「今回は特別よ。あなたはホーリーは使える。」
『はい。』
「暗黒闘気は不味いのよ。それを吸収すると顔が歪んでしまう。指輪の顔に聖なる光を使ってくれれば、活動が出来るようになるから、必要ならホーリーを使ってちょうだい。」
『分かりました。』
僕は、指輪に聖なる光を使うと、先程は邪悪な顔が、女神の微笑になった。
「あなたの、戦闘能力はあの魔人より劣るわ。補助魔法で強化しなさい。先程の戦いも見ていたわ。光を纏えるのね。今からあなたから受けたホーリーを更に発展した光の上位魔法まで増幅するからそれを纏えば、魔人と互角になるはずよ。後はあなた次第になるわね。」
『分かりました。お願いします。』
■クリスタニア大陸 クリスタニア クリスタニア学園 校庭 白狼戦士団 作戦参謀 アイゼル・グランドール
「助かりました。オルガ殿…」
「戦っているのだ。お互い様だよ。俺たちも何時までも休んではいられない。」
「そうですね。正直に話せば、最終形態になった時点でも敵わなかった。先程の姿は、更に凄かったですからね。」
「ああ。分かるよ。リンツ参事官はあの若者に期待していた。俺たちがもう少し大人の対応をしていれば、町を危険に晒さらさなくても済んだかも知れないなぁ。騎士団として、彼を戦いに参加させるべきだった。」
「それをいうなら我々もです。あの若者…アルフォード君は凄いですね。超越者ではない状況で、最終形態の魔人と互角でした。彼は、光属性を体に纏って戦っていた。それに、我々と違って、闘気をうまくコントロールして、ダメージを与えていました。」
「そうだなぁ。魔人も追い詰められていた。今は逆転されている。彼も危機なのだ。我々にやれる事をしようじゃないかアイゼル君。」
「はい。敵わないまでも、時間稼ぎ位にはなれます。彼に総てを掛けましょう。」
「ああ」
そうして、俺とオルガ騎士団長は、アルフォード君にすべてを託すべく、彼のもとに急いだ…




