第044話 強さの秘密
■クリスタニア大陸 クリスタニア クリスタニア学園 体育館 マリー・シャロン
私は、妹の危機に夢中で駆け出していた。そして、妹に向かって飛んで来る黒い鳳凰を見て、妹を突き飛ばした。もう、躱せないと思った次の瞬間、私は見た。反対側から同じような黒い鳳凰が飛んでくる事を…。そして、私の前に壁となって立ちふさがった者がいた。
「アルフォード君。」
『相殺するために、同じ技を使いました。これから衝突風が来ます。皆さん飛ばされない様に隣同士で掴んで下さい。』
そうすると黒い鳳凰と鳳凰がぶつかって消滅した。その後に相殺した時のエネルギーが衝突波として体育館に吹き荒れる。
『大丈夫ですか。マリーさん。』
「えぇ。ありがとう。」
そう言うと彼は優しい顔をして頷いた。私は思った。これが優しさなのだと…。本来なら彼は人の事を心配できる状況ではない。それなのに、私たちに心配させない彼の行動が嬉しかった。
■クリスタニア大陸 クリスタニア クリスタニア学園 体育館 魔人 ガルト(狂える鳥獣王:◆◆)
魔刻天鳳だと。俺は、黒い鳳凰が飛んで来る先を見た。彼奴だ。ようやく本命の登場か…。
「さっきから、小癪な事をする者がいると思ったが、他人に戦わせてお前は高みの見物か。」
『そんな心算はありませんよ。』
「そうか。では戦おうではないか。」
『そうなりますね。魔人にも呼び名はあるのですか。私はアルフォードと言います。』
少しでも時間を稼ごう。後は、アイオロス教官頼みますよ。
「ある。俺はガルトだ。魔人の中では狂える鳥獣王とも呼ぶ者もいる。あまり嬉しい呼び名ではないが…。」
こうして、魔人との戦いが始まった。剣を抜いて構える。それには魔人は不思議な顔をした。
「どうした。こちらは全力なのだ。そんな物ではなく、クリスタルファングを抜けよ。」
『…』
僕は、敵の話を無視して剣を構える。そうすると、フェザーが飛んできた。僕にはフェザーが無いから、これは相殺する事が出来ないと判断すると、剣を構えて聖なる光を放った。翼が聖なる光を浴びるとファーと落ちて行った。
「光の属性も使えるのか。面白い。魔人と互角に戦える存在であるのは超越者だけではない。光の属性こそが対魔人として有効なのだ。超越者だけでは足りない。」
『余程、自分自身に自信があるようですね。ベラベラと自分の弱点を晒す。』
■クリスタニア大陸 クリスタニア クリスタニア学園 体育館 アルフォード・ウィンザー
魔人の動きは見える。スピードで負けてはいない。よし、戦えるぞ。剣を構えて魔法を発動する水属性の技をガルトに向かって放った。イーグルの魔法型攻撃がガルトを襲う。着弾して、怯んだところに穿空波で追い打ちをかける。ダメージが入る事を確認した。アルタイドさんが言っていた事は本当だった。でもイーグル・スピリット戦士団とライオスとの戦いで見たような目に見えるダメージは与えられない。それは、俺の問題なのか。それとも武器の問題なのか。これでは、長期戦になってしまう。
ガルトの攻撃を相殺しながら戦う事、20分が経った。こちらもバトルカウンターを顔に装着して、相手の攻撃に合わせて、相殺するようにしている。膠着状態が続いた。まだですか教官…
■クリスタニア クリスタニア学園 体育館 魔人 ガルト(狂える鳥獣王:◆◆)
何故だ。何故これだけの攻撃技を有するのに…。何故ファングを抜かない。こちらにダメージを与える技もあるのに…。使えるのか…使えないのか…これも相手の作戦か。俺は迷っていた。これが擬態であった場合、負ける事もあり得る。それにしても、こちらの攻撃を尽く無効化している事も気に食わねぇ…
■クリスタニア クリスタニア学園 体育館 アルフォード・ウィンザー
敵との膠着状況が続く事は僕にとって良いことだ。時間が稼げる。それにしてもおかしい。相手の方が有利な状況なのに攻撃をしてこないなんて、そうすると敵が黒い闘気をまき散らしながら向かってきた。凄い緊張感と威圧で圧倒してくる。この状況はウィリアムさんが耐えきれなかった状況だ。それでも僕は、相手に穿空波をぶつけながら相手の勢いを削いでいく。相手も穿空波が直撃した時に、魔人が顔を顰めた。これはチャンスだ。僕は、剣を魔人に叩き付けた。その時、僕は見た。魔人と僕の剣の間にある圧縮された黒い魔闘気が直接攻撃を阻んでいる事を…。これが魔人の耐久力の秘密か。そう思った瞬間、今度はガルトが攻撃体勢に入った。僕は、魔法剣でホーリーを使った。光の障壁で敵の攻撃を緩和したが、その攻撃で僕は壁まで飛ばされた。僕は飛ばされながら腕のカウンターを見た体力が半分になっている。レストレーション2をつかって、体力を回復した。
『痛…』
暗黒闘気を圧縮して、肉体の強化を図っていた。あんな真似ができるとは…。そうすると僕の体が光輝いた。ラーニングだ。これがあれば僕にも簡単にダメージを与えられないはずだ。目には目を、歯には歯を、姑息と言われようと勝利者になるためには使えるものは全部使う。
そして、敵の防御力の秘密が分かった以上対策もできる。同じ暗黒闘気を使った攻撃だ。それか、聖なる光で暗黒闘気を中和しながら直接攻撃する。そうか。ゼクス・ウィンザーの必殺技にホーリーが使われた理由はこれがあったからなのか。
僕は、死中に活を見出したように思えた。そして、これが僕の反撃が始まる切っ掛けになった。




