第036話 竜宝山の幽霊
■クリスタニア大陸 竜宝山 アルフォード・ウインザー
僕は、竜宝山の入口にいる。最初に僕がしたのは匂い消しを自分に使う事だ。正直、これまでは圧倒的な有利な状況での戦闘なのだ。そして、僕は初めて互角の戦闘能力を有する者と戦わなければならない。クリスタルが全快している事で、バルディス家で聞い邪竜の戦闘能力よりは上であるが、それはあまり信用していない。これまでの討伐は尽く失敗している。相手も全力ではない可能性があるのだ。それならなぜ互角と読んでいるか。それはグレース先生やフレイア理事長が言った言葉を根拠にしている。最強種には勝てもしなければ負けもしないという言葉だ。力が互角であれば、経験の差が生きてくるだろう。そうなると僕は、邪竜に勝てそうもない。あれこれ、考えても仕方がない。ここは、何度か戦闘と撤退を繰り返しながらの長期戦を考えよう。相手を知り、己を知る事が重要だ。最初に、邪竜の前で自然体になれるか。相手のスピードについていけるか。相手の攻撃に、こちらの攻撃で相殺が出来るかを試そう。
竜宝山に入ると、突然に物凄い殺気と気配がある。僕は、周りを見回したが分からなかった。監視されているのか。周りを警戒しながら進んでいく。そして、最初の戦闘は岩狼という種類の魔物だった。色がねずみ色というか銀色というか岩に溶け込むような色をしている。しかも集団性があるようで5匹はいる。僕は、バトルカウンターで戦闘能力を確認したところ、3,000位だった。これなら問題はない。剣を鞘から抜いて、両腕に魔法陣を出した状況で戦闘に突入した。最初に、岩狼に対してフレイムバレットを放った。それで2匹仕留めた。怯んだところに剣技である穿空波を入れて一匹を仕留める。それを見た残りの岩狼は一目散に逃げ出した。僕はあえて追わなかった。これから大一番があるからだ。3匹分の希望石と魔結晶を拾って、目的の邪竜を目指して山を登っていく。
何度か、リザードマン、岩狼、蝙蝠との戦闘を繰り返した。そうすると目の前に、灰色の髪をした少女が立っていた。この気配は、僕はその少女に話かけたが、返事が返ってこない。仕方なく、少女の傍に近づいてみると、少女は突然姿を消した。で…でたぁぁあああと叫んで僕は長距離移動を使って撤退した。
あの気配は、入山した時に感じた気配だった。そうするとあの殺気もあの少女から出た事になる。竜には実態がある。幽霊って…。突然、現れた謎の少女に、僕はどうしたらよいか分からず途方に暮れた。そして、僕はある事を思いついた。もし、幽霊であるなら、この町で犠牲になった子の筈だ。調べてみよう。
■クリスタニア大陸 アイデルフィア バルディス家 アルフォード・ウィンザー
僕は、バルディス家のセバスチャンさんを訪ねた。竜の調査をすることを前提に、道中で謎の少女に会った事を話した。もしかすると、犠牲者の霊かもしれないと話すとセバスチャンさんは5枚の写真を見せてくれた。最初の生贄の少女は灰色の髪だ。この子だ…間違いない。つまりは幽霊なのか。困ったなぁ。実態が無いものに攻撃は効くのか。色々と調べると幽霊には直接攻撃は効かなくても魔法は効くらしい。冷静に考えて、本当に幽霊だったのか疑問が湧いた。なぜなら、攻撃するそぶりがなかったからだ。ただ、黙って消えただけ。敵なのか、味方なのか。それでも行動しなければならない。僕は再び竜宝山へ向かった。
■クリスタニア大陸 竜宝山 アルフォード・ウインザー
入山前に再び匂い消しを自分に使う。そうして、同じように戦闘を繰り返しながら山頂に向けて出発した。先程と同じ場所まで行った時に、今後は茶色の髪の女の子が現れた。セバスチャンさんに見せて貰った写真の中の一人だ。同じように気配はないが、こちらを見ている。何か物言いたげな感じだ。僕は近づくと姿を消した。そして、何回か違う少女が現れたては消えた。何かの警告か。どうも可笑しい。そして、岩山の山頂まであと少しの所で、今度は実態のある少女が現れた。写真の5人ではない。やれやれ、本命というやつか。前に立つ少女からは凄まじい闘気が出ている。俺と戦うのか。バトルカウンターで戦闘能力を確認した。40,000か。邪竜なのか。僕は、違う形を想定していただけに困惑した。
■クリスタニア大陸 竜宝山 謎の少女
私のイリュージョンで見せたこれまでの生贄だった者。最初はいきなり魔法で撤退したので、当分来ないかと思えば、半日も立たないで戻ってきた。
「そこの冒険者よ。この上には邪竜が住んでいる。これ以上近づけば禍が巻き起こるであろう。ここから立ち去るが良い。それがお前の為でもある。」
『…?あんたは邪竜ではないのか。』
「違う。分かったらここから去れ!」
『私は、この上の竜と戦う。そのために下調べに来ました。』
「お前では、上の竜にかなわんよ。」
『上の竜はどの位の強さなのです。』
「それを聞いてどうする。」
『何度も言わせないで下さい。困っている人がいるので戦います。』
「人では竜は倒せない。」
『貴方では、倒せるとでも…。』
「もちろんよ。」
『僕が戦うにはどうすれば良いのでしょう。』
「簡単よ。力を見せればいい。資格があるかね。そう言って、謎の少女は業火の煌という上位魔法を使ってきた。」
私は、冒険者に火属性の攻撃をした。そして、攻撃をした後に何も残っていなかった。口程にもないわね。




