第034話 反発!
■クリスタニア大陸 アイデルフィア バルディス家 アルフォード・ウィンザー
昨日は、バルディス家の人たちを助けた事で、その家にお世話になった。そのおかげで、疲れが取れなかったことは言うまでもない。それでも、当主であるセバスチャンさんは、好感が持てる人だった。最後まで娘を助けてくれとは言わなかった。ソフィアさんも現実を受け入れている。そして、セイリオスさん、ロージスさん、エミリーさんは浮かない顔をしていた。僕は、彼らの願いをかなえてやれば良いのだろうけど、彼らには申し訳ないが、安請け合いはしない事にした。町の平和には犠牲が付き物だとは言わない。しかし、人間も動物や魚を食べるのだ。竜が人間を食べてはいけないという理由は立たない。因果は廻るのだから…。それでも僕は助けないとは言っていない。安請け合いはしないと言っただけだ。もともと竜と戦う予定なので下調べをしようと考えた。それからでも遅くはないはずだ。そして、僕は一度、クリスタニアの町に戻ろうと考えた。どうも最近、体の調子が良くないからだ。胸のあたりが突然、熱くなる。長距離移動なので、何でもなければ、すぐ戻ってくるつもりだ。
■クリスタニア大陸 クリスタニア クリスタニア学園 医務室 アルフォード・ウィンザー
僕は、最初に教官へ報告に言った。アイオロス教官は僕に憐みの表情をしてくる。何かあったのだろうか。その後は、グレース先生にクリスタルの状況と合わせて体調の異変を調べて貰い。これまで討伐した希望石の融合や融合した後のクリスタルの状況と力の変化の確認をする予定だ。戦闘能力が上昇した理由もそれとなく聞いてみようと思った。
医務室の扉をノックして中に入る。そして、これまので力の変化について説明した。そして体の異変についても…。先生の話では、クリスタルの状況は以前より良いようだ。そして、今回討伐した大鷲やリザードマンの希望石で完治するのではとの事で、早速ではあるが融合して貰った。
■クリスタニア大陸 クリスタニア クリスタニア学園 医務室 グレース・リングバルト
これでいいわ。先生に希望石を融合した時に彼のレベルが1上がった。レベル58になっている。そして、肝心なクリスタルは完全な状態になっていた。これでMPは完全回復するわ。そして、戦闘能力の確認をすると彼の戦闘能力は47,500になっていた。そうね。レベルから本来はこのくらいの力を持っていても何ら不思議ではない。つまりは、彼の力は既に魔人級なのだ。そして、胸の熱さは覚醒の証でもある。彼は超越者だったと思う。だからそれがいつ始まってもおかしくない状況なのだ。
「心配いらないわ。もう大丈夫よ。」
『ありがとうございます。何でもなくてよかった。僕の力の変化は、治ったクリスタルの影響を受けての事なのでしょうか。』
「その影響ね。」
そうして、彼は医務室を出て行った。それでも私は思う。彼の体は異常よ。戦いに特化している。これは、彼のこれまでの生活がそうさせているのだろうか。
■クリスタニア大陸 クリスタニア クリスタニア学園 屋上 マリー・シャロン
医務室の前でアルフォード君とすれ違った。彼を屋上に誘い、この学校の事を少し話した。学園は特別な状況化にあり、1年生のチームも討伐する事が出来ること。そして、私はこれから1年生のチーム長にアドバイスを求められている。アドバイスを求められているのは妹のリーファに、ナディアちゃん。そして、次席のローザちゃんだ。それでも、この仕事はアルフォード君の仕事よね。この子たちは何で私に聞くより、優秀なアルフォード君に聞かないのだろうか。そういう事でアルフォード君。彼女たちにアドバイスをしてあげてね。それに彼は露骨に嫌な顔をした。どうやらミラの時と同じようね。しょうがないわね。少し協力してあげますか。
■クリスタニア大陸 クリスタニア クリスタニア学園 3年 第2チーム会議室 マリー・シャロン
この部屋の中には、私とミラ、サラに1年生のチーム長である3人が来ている。そして、我がチームの指導員であるアルフォード君もいる。しかし、彼が居る事で、この部屋の雰囲気は気まずい状況になっている。そして、彼に目を向けると彼は頭を下げた。更に、隣のミラも彼を見る。それにも彼は頭を下げた。そして、ミラも分かったのだろう。苦笑いをしている。世話が妬けるわね。ここは先輩として話さなければならないだろう。
「何か聞きたい事はあるの…」
「お姉様。どうして、彼がこの部屋にいるのです。」
「彼はチームの指導員だからよ。」
その答えに3人は驚いた顔をした。
「お姉様は騙されています。」
「何を騙しているというの。私たちは彼に助けられた。そして、彼の言う事は最もだと思ったのよ。彼は優秀な冒険者よ。強くなるには、彼の意見を聞いた方が良いわ。」
そのようなやり取りの後、リーファはこの部屋を飛び出して行った。相変わらず強情ね。それでは強くなれないわ。あなたは、気が付かなければいけない。それに気が付かなければ大いなる禍となって帰ってくるだろう。
「ごめんね。ナディアちゃん、ローザちゃん。」
それに2人は気にしていないと言っているが、浮かない顔をしている。
「討伐の行動計画書はある。」
「有ります。」
3チーム合同で実施する予定の計画書がある。しかも、討伐する魔物はゴブリンだった。この子たちは、私と同じ過ちを犯そうとしている。受け取った計画書をサラ・ミラに見て貰った。それには、彼女たちも理解をしたのだろう、首を振っている。そして、彼に計画書を渡した。彼も首を振っている。
「この計画書は、私たちも彼も承知出来るものではない。もう一度考えるのね。」
「分かりました。」
そう言って、二人はこの部屋から退出した。きっと彼女たちは理解していない。彼が居なければ色んな事を質問したであろう。私は、それが不安になった。




