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クリスタルの記憶  作者: 遊人
第3章 クリスタニア学園―修行編―
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第033話 苛立ち!

■クリスタニア大陸 クリスタニア クリスタニア学園 進路指導室 アイオロス・グレイア主任教官


 この部屋には、各学年の主任教官と理事長で打合せをするために集まっている。打合せの内容は来たるべき魔人との戦いに向けた対策と言っても生徒の安全及びこの町で暮らす人々の退避をどうするかだ。戦って撃退する事ではない。戦う事は、とりあえず冒険者ギルドと行政府に任せる予定だ。王都からの派遣要請次第では、こちらも戦う事になる。


 学園の方針は、冒険者ギルド・行政府での取り決めがある。しかし、来たるべき危機が分かれば警戒宣言を行い、戦闘員となる場合がある。その場合は1年生も戦闘に加わることになるが、レベル1では戦闘員として役に立たない。そういう事態を回避すべく、実戦を経験させるための措置がある。今日は、警戒宣言をいつ出すのかを相談する事になっている。既に予測では早ければ数か月で魔人がせめてくるのだ。理事長は、冒険者ギルドと行政府に行って、その警戒宣言を出すことを検討しているが、早めに警戒宣言を出せば町民が困惑パニックになる可能性もあり、答えが行政側と冒険者ギルド側で紛糾しているのだろう。


 進路指導室の扉が開いて、理事長が入ってきた。そして、間髪入れずに指示が出た。現状では、行政府として警戒宣言は出さない。しかし、戦力にするには経験させる事は必要との意見もあるので、特別に戦闘の許可を出すとの方針が言われた。更に、この内容は至急チーム長会議に掛ける事。更に、主任教官は各学年のチーム長に説明をして、情報の漏えいに注意する事が言われた。


■クリスタニア大陸 クリスタニア クリスタニア学園 チーム長会議 アイオロス・グレイア主任教官


 各チーム長のみが集まって会議をするのは入学式依頼になる。私は、ここでこれからの戦闘行動についてチーム長に話した。そして、魔人が襲ってくる事も話した。それに、みんなの顔が闇に沈んだ。特に第1チームから第5チームについては、イーグル・スピリット戦士団と魔人の戦いを特別講義で見せているため、それが顕著に表れている。

 諸君らには、戦闘の経験をするための特別な許可が出た。しかし、この魔人襲来による警戒宣言を町には発令しない。よって、この措置は特別であるため、同じチーム内であっても口外は許されない。

 そうして、チーム長は主任教官に敬礼して退室した。


 会議が終了したのに、退出しないのは第1から第5チームのチーム長だ。どうやら俺に質問があるようだ。そうするとリーファ・シャロンが口を開いた。我らが1年全体チームにアドバイスをするアルフォード君は、かれこれ10日ほど前から学園を休んでいる事を指摘された。更に、彼はこの事態を知って町から逃げたのではないかと言い寄ってくる。


「ここに魔人が攻めて来る事を彼は2カ月前に、行政府から聞いている。」


 そうすると、各チーム長は、彼が逃げたのではという者がいた。その答えに、俺は嫌味を言ってしまった。彼の気持ちを分かっていないものが多すぎる。俺はそう思った。


「彼は、この学園に来て、孤立しているのは事実だ。彼を頼った者がいないからな…」


 そうすると、第1チーム長にリーファ・シャロンがこう答えた。


「彼は、人格者ではありません。あのような人間は、当学園に必要ない。良い影響を与えるとは思えません。」


「君は外見で人を判断するのか。彼は、彼なりに苦悩しているのだ。私は彼に他の町に行くことを進めた。それでも彼は自分自身を取り戻すために旅立ったのだ。後は彼次第だ。」


「アルフォード君の戦力が、この町を救うとでも言うのですか。所詮は我らと同じ1年です。その力など微々たるものではありませんか。」


「君たちは、この前の特別講義は、何のために行ったか分かるか。そして、あの戦いの内容を把握できた者はいるか。彼はあの映像の総てを理解し、自分の立場を理解したと私は勝手に思っているよ。」


「あの戦いは次元が違いすぎます。我々の誰にも良い影響はありません。あのようになりたいとしか…」


「それは、我々、教官もそうだよ。」


 これ以上、彼の素性を隠す事は良い影響を与えないと判断した私は、彼らに事実を伝える事を考えた。


■クリスタニア大陸 クリスタニア クリスタニア学園 理事長室 アイオロス・グレイア主任教官


 俺は、理事長室でアルフォード君の素性について、発表するように理事長の理解を求めた。このままでは、彼にとって、良い影響は出ないと思ったからだ。理事長もそれを理解してくれると思ったのだが、理事長からは思いがけない返事が返ってきた。彼がそれを望んでいない事とは別にして、今、発表すれば彼に与える影響より、期待が大きくなってしまう。逆に彼に不安や緊張を与えかねないと言われた。確かにそうかもしれない。結局は、我々も彼を頼みにしているのだから…その事が彼を不安にさせていると知って…

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