第030話 生贄と救世主?
■クリスタニア大陸 ローランズ アルフォード・ウィンザー
僕は、アルタイドさんと別れて、竜宝山に向かった。この町での収穫はかなり大きい。そして、僕はこの経験を少しでも煮詰める事だ。その一歩一歩が来たるべき戦いに必要になるだろう。アルタイドさんから魔人と戦うならと言って、餞別を貰った。綺麗な女性?女神?が彫られた指輪を貰った。もしかしたら、身代りになってくれる便利なものだったりして…。神々しい光を纏っている指輪の事を聞くとアルタイドさんは秘密じゃと答えた。きっと戦いに役に立つと言った。
魔人との戦いについても教えてくれた。アルタイドさんも魔人と戦った事があるそうだ。アルタイドさんは超越者ではないと言った上で、補助として参加し、その中で通常攻撃は効かないという見解はおかしいと考えている。それは、魔人を倒した例が少ないこと。そして、倒したときに皆がクリスタルファングを使って倒している事が強く伝わったのが、そういう結果になっていると教えてくさた。まあ、超越者になれる前の冒険者では、かすり傷を負わせるのが精一杯だろうと言っているが…。その根拠として、アルタイドさんが放った閃戒空流の技がダメージを与えたという事が根拠だ。しかし、それで倒せたわけでもない。ダメージを与える事は出来る程度で、超越者になれるものは、クリスタルファングで戦う事になるだろうとも言った。命の危険を冒してまで、通常攻撃に拘る必要がないからとの事だ。それもそうだと思った。相手の戦闘能力と僕の戦闘能力の差でダメージを与えられると仮定した方が自然な考えとも思った。
超越者か。僕は超越者たる資格があるのかすら分からない。もし、超越者になれない時は、僕はどうするのだろうか。それでも戦うのだろうか…
■クリスタニア大陸 アイデルフィア近郊 アルフォード・ウィンザー
キャーという悲鳴が聞こえる。馬車に乗っている人の周りに護衛兵みたいな人がいる。雇われの冒険者は、リザードマンに囲まれている。僕は、どうしてこんな事ばかりに巻き込まれるのか。これも出会いの一つだろうと割り切った。
■クリスタニア アイデルフィア近郊 ソフィア・バルディス
私は、竜宝山の麓にあるアイデルフィアに住んでいる。この町では、昔から竜の禍を回避するために生贄を捧げている。私は、バルディス家の次女。それは、名家であっても例外ではない。私は町の仕来りによって、生贄となる事が決まった。そして、私は竜宝山に向けて、兄様や護衛を連れて町を出発した。
町を出発して2時間が経ったところで、魔物に襲われる。兄様や護衛も戦っているが、リザードマンの集団に囲まれてしまった。護衛もリザードマンを1匹、また1匹と倒すものの物量の差で圧倒してくる。護衛も一端撤退をするため、兄様と生贄の私を逃がそうと努力していた。私は、どのみち殺される。ここで殺されても同じではと思った。それでも恐怖心がない訳ではない。そして生きたいという気持ちが無い訳でもない。私は、気が付けば叫び声を上げていた。
■クリスタニア大陸 アイデルフィア近郊 アルフォード・ウィンザー
僕は、鞘から剣を抜き、飛翔魔法で高速で移動している。魔法の発動するため魔法陣を両手に出した。リザードマンは20から30体か。僕はターゲットを発動して、雷属性の魔法 ライトニングアローを10発は発動させた。リザードマンを次々に倒していく。その間に僕はその場に追い付いた。更に、剣技である穿空波をリザードマンに放っていく。そして、僕はリザードマンと護衛や女性の間に割り込む事に成功した。
僕は、手を上に挙げ、火属性の上位魔法であるプロミネンスを発動させ、この付近を業火で焼き払った。この一撃でリザードマンは絶叫しながら全滅していった。
『あれ…初めて使ったけど、すっげえ威力だ。』
後ろを見ると、護衛も女性も驚いている。
『大丈夫ですか。』
回収した希望石を5等分にして、相手の護衛に渡した。そうすると護衛から代表して話しかけてきた。僕に膝を付けて話してくる。
「危ないところをありがとう御座いました。私は、この町に住むバルディス家の長男で、セイリオス・バルディスと言います。妹の護衛で竜宝山に行くところでした。あの戦いかたを見るとさぞかし、高名な冒険者様なのですね。」
『僕は、アルフォード・ウィンザーと言います。偶然ですね。僕も竜宝山で修業を考えています。出来れば、竜と戦いたいと思っています。』
「竜と戦う。あなたは、竜を倒せるのですか。」
『戦ってみなければ分かりません。見た事もないのですからね。』
「そうですか。」
僕は、セイリオスさんとソフィアさんからバルディス家に来てほしい。そこで話を聞いてほしいと頼まれた。この流れで断る事は出来ないだろう。僕は流れに身を任す事にした。僕はどうやら適当な人間らしい。ローランズの町でも計画通りに事が進まなかった。結果は良かったのが…それだけが救いだろう。




