第029話 閃戒空流の技
■クリスタニア 清流の森 アルフォード・ウィンザー
僕は、気配を察知する事が出来るようになって、5日が経った。ただ、気配を探る事にはまだ不安がある。この自然体の状態で警戒し続ける事が難しい。更に自分が敵わない敵が現れた時に、この状態をキープする事が果たして出来るだろうか。それでも最初の課題は完全にクリアしたとは言えないまでも、条件下の中でなら気配を察する事が出来るようになったのだ。及第点だろう。後は、竜宝山で気配についても引き続き行えばよい。竜を相手に自然体になれるようであれば、ある程度の敵を前にしても大丈夫だろう。
僕は、竜宝山に行こうと思い、この清流で体を洗っているとアルタイドさんが様子を見に来てくれた。でも、様子がおかしい。アルタイドさんは驚いた顔をしている。はて?何だろうか。
■クリスタニア 清流の森 アルタイド・ベルト(案内人)
まさか、その痣は間違いない。なる程、ゼクスの小倅か。たしか、アレックスと言ったか。いや、年齢が合わんの。はて、どうしたものか。儂は雇われた身じゃ、相手から名前も名乗らないのに、こちらから聞くのもどうかの。儂は思案したところ、面白いことを思いついた。
「これからどうするのか。」
『ア…アルタイドさん。これから竜宝山に向かおうと思います。』
「何を慌てておる。人生をそんなに急ぐものではない。」
そういって、儂は坊やに棒を渡した。
「分かるな…」
『はい。』
そうすると坊やは私に、棒を構えて向かってきた。気配を察知できるようになったせいで、儂の攻撃を尽く躱されてしまう。相手の攻撃も鋭さをましたおかげで、儂も躱すことが精一杯だった。相手に牽制しながら隙を伺う。10から15分ぐらい時間が経過したところで、儂は棒を離れたところから繰り出した。そして、彼に衝撃がクロスするように直撃した。坊やは驚いている。錆びたとはいえ、閃戒空流の技を放ったのだ。そして、この剣技はゼクス・ウィンザーと同じ技だ。坊やが、驚くのも無理はないだろう。
再び、彼が構えた。流石に体力は桁違いだの。それにしても才能豊かな坊やだ。いや、ゼクスもフェリックスも才能は豊かであった。つまりは遺伝という事か。その後、儂は坊やから閃戒空流の技である穿空波を同じように貰って後方に飛ばされた。
■クリスタニア 清流の森 アルフォード・ウィンザー
僕は、アルタイドさんと模擬戦を行っている。10分から15分した時に、アルタイドさんが距離を取った。何かを狙っている。そして、あの技は…。僕はあの技を知っている。あの繰り出された技は、イーグル・スピリット戦士団のメインアタッカーのゼクス・ウィンザーという人が使った剣技だ。そして、僕にクロスした衝撃が直撃した。
そして、今度は僕が構えた。そして、僕も彼と同じ技で応戦するとクロスした衝撃がアルタイドさんに直撃し、アルタイドさんはそこで後ろに飛ばされた。
■クリスタニア 清流の森 アルタイド・ベルト(案内人)
参った。参ったわい。まさか、お主が閃戒空流の技である穿空波を使えるとは思わなかったわい。
『閃戒空流の技?穿空波?何ですそれは…。』
「お主。知らないで使ったのか。そっちの方が驚いたわい。」
坊やからこれまでの話を聞いた。彼の名前はアルフォード・ウィンザーという。この技をたまたま、見た映像から彼の特殊能力で覚えたとの事だった。ラーニングという特殊能力があるという。そういえば、ゼクスも物覚えは早かったの。つまり、彼も同じ能力を思っていたということか。辻褄が合うの。
『アルタイドさんは、彼らとのご関係は…』
「儂か。ゼクスとは腐れ縁じゃよ。同じ師に剣を習ったからの。儂は、ゼクスの兄弟子だ。ただ、それだけだよ。奴は、才能も人間性も優れた人間だった。儂もな、イーグルスピリット戦士団に入団しないかと誘われたのじゃ。だが、他の人間も才能が豊かだったし、そのころの儂は、既に壁にぶつかっていた。そういう訳で入団は断ったのじゃ。」
『そうですか。』
「なに、お主が気に病む事は無い。儂は正解だったと思っておるよ。冒険者としての限界を悟っておったしの。でもな、儂にはこの案内人としての仕事もあっておる。飯の種にはなっているしの。ホッホッホッホ…」
『その他に閃戒空流の技は使えないのでしょうか。』
「儂が使えるのは、穿空波と虎空牙の2種類だけだ。奥義の域には達していない。」
『そうですか。』
■クリスタニア 清流の森 アルフォード・ウィンザー
『もしよろしければ、虎空牙を見せて貰う訳にはいきませんか。』
「良いよ。お主が戦おうとしている敵は魔人か。」
『…はい。』
「そうか。この頃活動が活発だという噂を聞いている。ついに、攻めてくるか。」
『はい。』
そうして、アルタイドさんは本物の剣を構えてみせた。見ているがよい。そういうと彼から闘気が放たれ、そしてその闘気が剣に集中している。それから、下から上に斬撃を繰り出すと地面を裂きながら剣技が放たれた。そして、30m先の大きい岩が砕けた。まるで、大きい虎が闘気となって岩に襲っていくようだった。




