第023話 超越した者たちの戦い!(その1)
■クリスタニア大陸 クリスタニア クリスタニア学園 冒険者選考①~⑤講義室 アルフォード・ウィンザー
今日は、アイオロス教官が特別講義をするようだ。何でも、この世界で至宝と呼ばれた戦士団の戦闘記録が映像で見られるとの事だ。僕は、魔物との戦闘は経験した。しかし、これから戦うであろう魔人というのを見た事がない。更に、一流の冒険者と言われる戦いというものを…
「それでは、これからイーグル・スピリットという至宝の戦士団の戦闘を映像で見せるので、黙って視聴するように…。」
戦う戦士団は5名、戦士団長でメインアタッカーのゼクス・ウィンザー(ランクS)を筆頭に、メインガード エリシオ・ガドー(ランクA+)、ザブアタッカー アルス・カートライズ(ランクA―)、作戦参謀 アレックス・ジャスパー(ランクS)、予備役 フェリックス・ウィンザー(ランクB+)。
対して、魔人は獅子の頭に屈強な人間と思われる体に翼と尻尾がある。異名は戦場の獅子王と呼ばれるライオスと呼ばれる最強魔人だ。魔人にもランクはあるが、倒すには戦士団を組む事が望ましい。単独で戦えるのは超越者と呼ばれる存在だと説明があった。そして、この戦士団は4人が超越者である事が確定している。この予備役については資料がなく分からないとの事だった。
一通りの説明を受けて、映像が流れだした。魔人1体に対して5人は余りにもと思ったが、敵も味方も想像を絶する戦いを展開する。戦端は、アレックス・ジャスパーという人の魔法が中心に戦いが始まった。それにしても凄い、魔法を同時に何発も操っている。更に括目して見なければならないのは、腕の魔法陣だ。両手に魔法が描かれている。ダブル魔法陣だ。僕の戦いでは片方の腕に魔法陣が浮ぶのだが、彼の場合は両手で魔法陣が描かれている。それによって魔法の発動を高速で行っている。そして、魔法の形も工夫されている。鷲の形をした魔法が次々にライオスに着弾している。だが、魔人にはダメージは多少与えているようだが、足止め程度にしかなっていない。そして、他の人の武器を見たが、1名以外は全員が武器を持っていない。魔人には通常攻撃が通用しない。だから持たないのか?それならなぜ、メインアタッカーである彼は武器を持っているのか。更に、疑問に思った。なぜ、アレックスという人しか戦わないのか。分からない事だらけだ。しかし、その疑問は次の瞬間に解決した。アルスというサブアタッカーが天に手を掲げている。その天に挙げた手から眩い青い光が体全体を包んでいる。これは、クリスタルを融合した時に僕にも現れた光なのか。まさか…。そして、腕には先ほど持っていなかった美しいばかりの三又の矛を手に持っている。
ここで、教官より説明が入った。
「これがクリスタルファングだ。」
そして、次の攻撃をアレックスから引き受けたのは、アルスという人になる。超越者という存在になって、凄いスピードで動いている。見ずらいなんてものじゃない。それに、早いなぁ…。これが超越者なのか。そして、他のメンバーを見た。先程戦っているアレックスという人が天に向かって手を掲げている。この人も同様に光に包まれている。そして、持っている武器は形からガンナーだと推測できる。これでは、早く勝負がついてしまうのではないかと思ったが、今度は魔人が攻撃に転じた。黒い闘気を解放した途端、二人では対抗出来ない緊張感が放たれる。今度は、メインガードが天に手を挙げた。ライオスが放つ闘気によって爆発が起こり、土煙が上がった。流石に、これには無傷では済まないだろうと思って見ていると、土煙が収った時に5人が無事に集まっているのが見えた。しかも、無傷のようだ。そして、エリシオという人はもう通常の状態に戻っていた。超越者を解除している。僕は理解が追い付けないでいた。
ここで、教官から再び説明がされる。
「これもクリスタルファングだ。技名をクリスタルウォールという。障壁を作り出して、敵の攻撃を無効化した。彼は攻撃をしたところを見たことがないという。ダメージを受けないように相手の技を防ぐのが役目なのだろう。」
土煙が収まると同時に、アレックスのガンナーが吠えた。特大な波道砲が2連射された。一発目は回避するも回避した先にもう一撃の波動砲がさく裂する。流石にライオスもダメージが入ったのか。肩で息をしだした。これで勝負ありか?2名の波状攻撃に1名の防御役で完全に戦いをコントロールしている。
僕は、ここまでの戦いを見て戦士団が圧倒的に押していると思った。たしかに、敵のあの攻撃は強烈だったと思う。しかし、それを総て無効化しているのだ。その時点で勝負がついているのではと思ったが、魔人と戦士団の戦いはこれからが本番だった。そして、この戦士団も、次元が違う。果たして、この授業に一体なんの意味があるというのか。魔人との戦いは冒険者の責務とするならば、この姿を見たときに僕は果たして、今まで通り戦えるのだろうか。之までの戦いで、自信が付くようなものなどない。上を見る事は必ずしも良い影響があるとは言えないだろう。
それにしても、なぜこの人たちは攻撃に参加しないのか。魔人は、ダメージを受けている。ここがチャンスではないのか。魔人が苦しみだすと体が変化している。腕が6本になり、翼も大きくなっている。体にいたっては倍近くある。そして、ダメージが消えている。僕は残った戦士である2人を見た。僕と同じウィンザーと名乗る者たちが戦いに参加する事になった。
僕は、この戦士団の戦いに夢中だった。だから、僕は見落としていたんだ。この人たちが羽織っている黒い服が僕と同じものであった事。そして、ゼクス・ウィンザーが捨てていなかった武器が僕が持っている剣であった事を…




