第019話 強さへの渇望ゆえに…
■クリスタニア大陸 ビーストフォレスト アルフォード・ウィンザー
討伐を終え、チーム・マリーと休息を取っている。今は午後3時位だ…皆さんはこれからどうするのだろうか?僕はクリスタニアの町に帰るのだが…帰るのは近距離移動を使おうと思っている。
『これからどうするのですか?』
マリーさんが口を開いた。
「討伐が出来たし、これから町に帰って、冒険者ギルドに報告する予定よ。これも、貴方のお蔭だわ。ありがとう。」
『私は手を出していません。武器を貸しただけですから…』
「それにしても、お金持ちね…ガンナーしかり、特にバトルカウンターを持っているなんて、とても優秀な冒険者だったのね!」
『記憶を無くす前の僕はそうかもしれませんね。』
「今のあなたも十分優秀だと思うけど…」
『お願いばかりですいませんが、バトルカウンターを持っているのも秘密にして下さい。素性が分かってしまう可能性があるので…お願いします。』
「分かったわ。みんなも内緒よ…指導員さんの頼みだから」
チーム・マリーの面々は”はーい”と言っている。果たして、本当に大丈夫だろうか?
『僕は、近距離移動で帰ろうと思うのですがどうしますか。』
「残念ね…近距離移動は結界の外では使えないわよ。」
『結界?』
「知らないのね。町の入口は門番が一人しかいないでしょ。あれは、入口を警備しているというより、出入りする人を通すために存在しているのよ…どの町もそうだけど、町全体に結界が張られていて、生半可な敵では侵入出来ないのよ。敵で言えば、上位種の一部・最強種・魔人ね。それに町が襲われれば、半壊から全滅を覚悟しなければならない。だから結界と合わせて幻影を見せているのよ。」
『そうなんですか?道理で…町が無防備すぎると疑問に思っていたのです。』
「そういう理由よ。だから討伐の時に、町への痕跡を残すと、魔物に町を襲われる原因になるのよ…だから注意しなければならないの…」
『そうなんですか?注意しないといけないですね。それでは、結界の外から町に帰る場合は、魔法は無いのですか?』
「あるわよ…長距離移動を使うのよ。」
『そうですか?分かりました。』
僕は、鞄の中から魔法書を取り出し、長距離移動を取得する事を決めた。そして、クリスタルの共鳴が終わり、魔法を取得している。魔法の使用も近距離移動と同様に行きたい町をイメージすると移動するらしい。
『マリーさん、長距離移動を取得しました。遅いので送りましょうか?』
「そう、お願いしょうかしら…」
チーム・マリーの全員を集めて、全員で手を握って詠唱した。景色は変わり、見慣れた町の門にいる。どうやら成功のようだ。僕は、チーム・マリーとそこで別れた。別れた時にチームの面々からお礼がしたいと言われたので、分かりましたと答えた。
■クリスタニア大陸 クリスタニア 商業ブロック 武器屋 アルフォード・ウィンザー
僕は、マジカルガンナーを購入した店の前にいる。名も分からない店主さんにお詫びと言ってはなんだが、敵と接近戦になった時ように短刀を購入した。そして、ガンナーが役に立ちましたとお礼をすると…そうかと答えた。今回も名前は分からなったが、心の中で疑った事を謝罪した。
■クリスタニア大陸 クリスタニア 冒険者ギルド アルフォード・ウィンザー
昨日、僕を受付してくれた人を探し、討伐の完了報告を行った。森熊の討伐1匹で200Gの報酬と魔結晶 4個(森熊 1匹 野犬 3匹)を売ったお金が400Gあった。合計600Gの収入で、利益は地図代と干し肉代を引いても580Gの利益が出ている。最初にしては上出来だろう。しかし、自分の所持金の途方もない額を稼ぐにはどの位の戦闘をしなければならないのか…そして、この冒険ではレベルは上がらなかった。それもそうか…戦闘力で判断しても強い敵ではないのだから…
次に、グレース先生を探したが、今日は学園勤務との事だ…僕は希望石をクリスタルに融合するとクリスタルがどの位回復するか知りたいと思っている。それによって、戦闘もこれまで以上に行わなくてはならないだろう。そう思って、グレースさんのいる学園へ近距離移動を使用した。カウンターを見たMPの残りは15になっている。道理で、気分がすぐれない訳だ…今日は早く用事を済ませて、疲れを取ろう…
■クリスタニア大陸 クリスタニア クリスタニア学園 教官室 アルフォード・ウィンザー
僕は、アイオロス教官に討伐が完了した事を報告した。戦闘について聞かれたが、武器が強力だった事から、狙いを定めて引き金を引いただけだった。あれで強くなれるのだろうか?教官には、敵の動きが遅く感じた、Gランクの依頼であれば熟せる事を話した。ただ、全体的な技術が足りない。戦闘の駆引きは上手くなさそう。更に、敵の気配は分からないと課題を告げる。そうすると、その点は教官が鍛えてくれるという事になった。戦闘経験がある人に見て貰えれば本当にありがたい。お礼を言って、教官室を出て、目的のグレース先生に会いに行った。
■クリスタニア大陸 クリスタニア クリスタニア学園 医務室 アルフォード・ウィンザー
僕は、教官室を出るとグレース先生がいる医務室に向かった。部屋に入り、グレース先生にクリスタルの状況を確認して貰った。回復に向かっているとのことだ。そして、グレース先生から聞いたもう一つの回復方法である戦闘を行い希望石を4つ持っている。その希望石は、強さの源だというのだが…
僕は、グレース先生に今回の討伐でレベルが上がらなかった事を話すと、当然ねと言われた。何故だろうか…それに、グレース先生はこう答えた。
「体は、鍛えれば強化される。怠ければ弱体化するの…それは分かるわね。」
『はい。』
「でも、その考えは普通の人にしか当てはまらないのよ…騎士や冒険者は別なの…」
『…』
「騎士や冒険者は鍛えれば強化されるけど、レベルには繁栄しない。鍛えてた部分は強化や弱体化するから…それを暫定レベルというのよ…本当にレベルを上げるにはこの希望石でクリスタルを強化するのよ…つまり、クリスタルを強化する希望石を融合すると強さが得られる。これは、鍛えたりして得ている力ではないから…怠けても能力が落ちないの…この蓄積を続ける事で普通人と冒険者等の力の差になっているのよ…鍛えれば鍛えるほど強くなるのであれば、冒険者じゃなくても、普通人で魔物を倒せるでしょ。人では魔物を倒せないのよ…どんなに頑張っても…
『それは、冒険者の心得という本にも人は、支配されるだけの無力な存在だった事が書かれていました。』
「私は、医者という仕事の傍ら、冒険者の力の研究をしているのよ。これは、この世界では絶対の法則なのよ…学園で体を鍛えているのは1年生だけ…レベルは暫定として管理しているから…」
『鍛える事は無駄ではないという事ですか?』
「そうね…無駄ではない。でも…維持する努力が必要な力を希望石は固定してくれるから、生徒の中では、2年になると行動計画書というものを出して、皆が希望石を求めて、戦うの…だから危険性があると知っていても、強さへの渇望が勝ってしまうケースが多いのよ。事故にならないように慎重に計画書を見るけど…教官も経験の差もあって…本人の強い押しがある場合は…撤退する事を強く言い聞かせるのよ…」
『何となく理解は出来ます。』
「愚痴になってしまったわね。それではクリスタルを融合させましょう。」
『はい。』
僕は、そう言って希望石をグレース先生に手渡した。
「始めるわよ…」
『はい。』
僕の手をグレース先生が握って、詠唱を始めた。手の甲に魔法陣が合わられる。そこに希望石を入れると、僕の体も光に包まれた。そして、胸が少し熱くなった…先生はこれで完了よと言った。レベルは上がらなかったが、砕けたクリスタルの一部が、希望石を吸収した時に一緒に取り込まれたわと言われた。そして僕は、全てを終え…学園寮に戻った。今日もいろいろな事が起きた。疲れを癒す為、早めの食事とお風呂に入り就寝した。




