第015話 狙撃手(スナイパー)は残念な子!?
■クリスタニア大陸 クリスタニア クリスタニア学園 教官室 アルフォード・ウィンザー
昨日、冒険者ギルドで討伐依頼を受けた旨を、アイオロス教官に話した。午前の講義を欠席するからだ。討伐依頼の内容によって長期の休みを取らなければならない事もある。心配しないように説明した。先生は討伐依頼を受けた事を了承した上で、危険と思えば撤退する事を言われ、僕はそれに頷いた。
■クリスタニア大陸 クリスタニア近郊 アルフォード・ウィンザー
今は、冒険者ギルドを過ぎて、門の手前にいる。門の前には門番が居た。学園の卒業生だろう騎士に討伐依頼書を見せて、町の外に出た。遠くを眺める景色には新緑の時期なのか緑が生い茂り、広大な平原がある。気持ち良いなぁ…今日は晴天だろう。町の外に出て、バトルカウンターを腕と顔に装着する。そして、脇にあるボタンを押した。何の反応もない。周りに敵はいないのだろう。
町の直ぐ傍だから危険は無いのかもしれない。町の直ぐ傍が危険で有れば、他の冒険者や町を守る騎士が黙っていないだろう。そうして、冒険者ギルドから買った地図を見た。森熊の生息地は、町から3時間位歩いた距離にある。町から南西の場所だ・・・20分位歩くと、クリスタニアの町が小さく見える。そこで、僕は疑問が湧いた。門番は1人だった。あれで町の治安は守られるのだろうか?更に20分の間に見た飛んでいる魔物らしき姿を見ると町の上空から襲われたらどうなるのか?何だか無防備なような気がした。
平原の中の道を歩いているとバトルカウンターがピィピィと何かに反応した。戦闘力は90と85だ…複数の敵がいるのか?警戒しながら前に進み、腰に掛けているマジカルガンナーを構えた。そして、魔法(火属性)を込めるとメーターが溜まり出した。マックスまで溜まった状況で構える。先制攻撃だ。バトルカウンターの反応がある方向にガンナーを向けて引き金を引いた。そうすると、ガンナーの口先に赤い光が集束し、魔力(火属性)が発動した。敵に向かって放たれた魔力は、魔物が今いる所に着弾したが、放つと同時に移動している。やばい…躱された?
再び、カウンターで敵追うと二手に分かれている。先制攻撃に失敗したのはしょうがない…だが、敵の気配を感じれない時に敵の動きを予測して長距離攻撃するガンナーは素人が使うには難しい武器であろう。そうなると今の俺は丸腰と同じということか。やれやれ、簡単に武器を選んだ自分を恨んだ。どうやら僕は新しい物とか…珍しい物が好きらしい。武器屋の店主に珍しいという言葉を受けた時からもう自分の物になっていた。いや…そう誘導されたのか?疑っても限がない。頭を振って、邪念を捨て、再び思考を敵に戻した。
現れたのは、野犬と思われる敵であった。結局、僕はこの2匹に接近を許し、相手が噛み付いてきた処を紙一重で交わした。そして、わき腹を殴るとボコと言う音と伴に肉を貫いている。血が付くかと思ったら野犬と思われる敵は、光となって白い結晶(希望石)と黒い結晶(魔結晶)となってポトリと落ちた。僕は、それを回収して、鞄の中にしまった。
初めての戦闘を終え、僕はその戦いについて反省している。魔法力の強化を主とした事からマジカルガンナーは良い選択だったと思う。でも、使う側の技量とかそういう物を考えないといけなかった。接近戦になった時用の短刀とか短剣とか…そういう物を用意すべきだ。その前にも反省点がある。僕はあのガンナーに魅入られ、手にとった瞬間から狙撃手になっていた。微塵も失敗など考えていない。恥ずかしい…今の僕を鏡でみたら赤面していることだろう。
更に、レベルに頼った戦いはしないと誓ったのに、最初から敵に自分の存在を教え、更に敵に挟撃された。低レベルな戦いだ…勝利は高レベルの自分だから可能であり、レベル1であったなら野犬らしい敵に蹂躙され、この世からあの世に冒険に出ていたであろう。僕は残念な子なのだろう…それにしても武器屋の店主にはやさしい笑顔があった…あの顔は悪意のある顔ではない。やさしい内面が滲みでていた…それに高額な武器という事は…それだけ攻撃力も強いし、便利なはず…もしそうだとするなら…僕は、鞄からガンナーの取扱説明書を取り出した。カウンターの時もそうだった。思い込み…更に分からなければ他人を頼る。そんな僕に、グレース先生は冒険者とは…という事を教えてくれたのだろう。説明書を見ると、ガンナーには3系統の使用方法があると書いてあった。
魔力を一点にして発動するスラッグショット…魔力を分散させるショットガン…更に、初心者向けに敵を固定すると自動で追尾するホーミングという3つがあると書いてあった。非常に残念だ…非常に残念な子だ…僕は下を向いた。そして、クリスタニアの町に向けて頭を下げた。名も知らない武器屋の店主さん…ごめんなさい。
そうして、ほろ苦い冒険で初めての戦闘は終わりを告げた。それでも目的の森熊はすぐ傍だ…再び気合をいれて出発した。




