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クリスタルの記憶  作者: 遊人
第9章 クリスタルの記憶―基地をめぐる戦い前編―
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第109話 記憶の間(その21:リミットブレイク)

■クリスタルの記憶 アルフォード・ウィンザー(8歳)


「融合には2種類の使い方がある。」


『2種類ですか…』


「ああ。まずは、単体で力を使う場合だ。つまり、アルフォードが単体で超越者になれる時間は1時間10分だ。それを越えるとクリスタルが限界ゲージを迎える。最終的にクリスタルが壊れる事になり、意識を失う結果になるが、この状態でアルフォードの意志を休ませれば、今度は俺が戦う状況になれるのだ。つまりは、俺自身は1時間10分戦える状況になるのだ。力は増えないが超越者になれる時間は2倍になる。」


『そうなんですか。2倍になれば随分と行動が出来ます。』


「まあ、その時はお前の体をお前自身の意志で動かす事は出来なくなる。俺の意識下に置かれるのだ。それが1つ目の方法だ。2つ目の方法は、アルフォードと俺の力を同時に使用する場合だ。この場合は、俺もお前も同時にクリスタルが消耗するから1時間10分しか超越者になれないという訳だ。」


『なるほど、では、二つ目の力を使う場合ですが、僕とゼクスさんとの力が合わさるのでしょうか。』


「いや。事はそう単純ではない。力の均衡が出来ないと暴走する事になる。そうなれば、手当たり次第に攻撃する事になる。お前さんが身に着けているブレスレットには、力の均衡を保つ働きがあるのだ。」


『力の均衡を保つ効果があるのですか。それはどういう事なのでしょう。』


「力の均衡について話しておこう。例えば、俺の意識下にお前がいれば、俺の力は10使えるし、アルフォードの力が5なら15の力を使う事が出来る。そうすれば、力の差が大きい敵にも対応できる事になる。しかし、アルフォードの意識下に俺がいた場合は、アルフォードの力が5なら俺の力を10使う事は出来ない。力の均衡を保つために俺の力を5にしなければならないという事になる。それを越えると暴走する結果になり、それが戦場なら敵と暴走したお前の対応を他の仲間がする事になる。」


『つまりは、僕が強くなって、ゼクスさんを越えるか。戦う時に僕の意識をゼクスさんの意識下に置けば良いといいう事ですね。』


「力を最大限に使うならそうなる。俺としては前者を望む。先程考えさせてくれというのは、お前は俺の意識下に入るのではなく。俺に力を見せる事だ。それが、俺の意志を引き継ぐ者の定めと思ってくれればありがたい。俺がお前を認めるまで、基本的には個別で戦おう。ただし、味方がピンチになれば全力を出さなければならない。その場合は、その時だけお前は俺の意識下に入ればいい。まあ、俺としてはそれは望まない。それは分かるな。」


『はい。そうならない様に努力します。』


「その意気だ。次に限界突破リミットブレイクという事を話しておこう。まあ、これを使う場合は、生死の境を彷徨う事になる。下手をすれば死ぬ結果に繋がりかねない。まあ、クリスタルが砕けて記憶を無くし、今まで覚えた事を全て失う事になる。」


『……』


「融合しているクリスタルを一つの核としたクリスタルにする事で、全ての力を一つにする事が出来る。この場合は、俺の力が10でお前の力が5なら倍の30になる。どちらの意識下でも問題ないし、力の均衡が崩れても暴走しない。更に超越者の時間制限もない状況になる。ただし、戦いが終わると融合したすべてのクリスタルは砕け、今までの全てを失う。下手をすれば死ぬ事になる。この下手をすればとは、一対一の状況なら問題ない。だが、二対一で戦えば、一体を倒した後は、残りの一体に対応が出来ない状況が生まれる。つまり、意識がないので、仲間がいない限り死ぬ事になるというわけだ。」


『……』


「まあ、時間制限はないとの事だが、それはこの技を使うと聖域と同じ空間ゾーンが現れる。その中の空間ゾーンでは一対一に強制的にさせられるのだ。そのゾーンは時間という流れが存在しないから戦いが終わるまで、その空間ゾーンが消滅する事はない。つまりは、デス栄光グローリーかのバトルフィールドが生まれるのだ。まあ、力が二倍になるのは聖域の中も同じだ。そして、魔人の力は低下する事になり、冒険者の力が2倍になるから魔人もこの中では戦いたくないという事だ。ちなみに、聖域に入るにはクリスタルが必要なため、魔人は入ってこれない事になっている。だが、この空間は聖域ではないから魔人を引きづり込めるのだ。」


限界突破リミットブレイクは使えない技という事ですね。』


「そうでもない。自己犠牲的な精神を持っていれば意義のある技だ。バトルフィールドはこの地ではない異空間だから戦っている場所から使用者と魔人1体が消える。だから、この間に仲間を逃がす事も可能だ。」


『……』


「なんだ。自己を犠牲にして戦う事は出来ないという顔だな…」


『いえ…そういう訳ではありません。』


限界突破リミットブレイクとは、冒険者が異空間に行って、全ての力が上昇し、敵が魔人ならば能力が低下する。冒険者なら全ての技や効果が解除される空間だ。誰にも邪魔されない場所と覚えておけ。それと、限界突破リミットブレイクは使うな。」


『どうしてでしょうか。』


「使えば、俺の意志を果たせなくなる。平和な世の中にするという夢をな…」


『そうですね。僕も死にたい訳ではなりません。それに、平和な世の中にすれば、皆が笑顔になれますから…』


「そうだな…」


 そうして、僕とゼクスさんとの初めての会合は終わった。そして、ゼクスさんの考え方が分かったのだ。僕は、ゼクスさんの意志を継ぐ努力をしなければならない。平和な世にするために…

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