第100話 凱旋
■クリスタニア大陸 パスティア平原 アルフォード・ウィンザー
ビクター将軍が近づいてくる。彼は静かに僕に近づいてきた。そして、肩を叩いて僕を祝福してくれた。
「よく頑張ってくれた。改めて礼をいう。ありがとう。」
『僕だけの勝利ではありません。皆さんと得た勝利です。そうだ。ダグラスさんの傍に行きましょう。』
「そうか。」
そして、僕とビクター将軍はダグラスさんの傍に近づいていった。僕は再びレストレーション3を使って体力の回復に努める。そして、ダグラスさんが起き上がった。
「良くやってくれた。流石じゃな。アルフォード君。」
そうするとダグラスさんは僕に握手を求めてきた。そして、僕はその手を握った。
『僕たちが苦労した敵も、あの人はいとも簡単に倒してしまうのですから…まだまだ、僕も修業が足りません。それにしてもダグラスさんが継承の話を知っているとは思ってもみませんでした。』
「まあ。技術指導をしているからの知識はそれなりにある。冒険者ギルドでも一部の人間しか知らない事らしいから内密にな。何でも、この3年くらい前からこの情報をある組織から買ったと言っていた。」
『分かりました。』
そして、ロックス将軍、セレーナ将軍、ガルシア将軍が申し訳ない様子で近づいてきた。そして、ロックス将軍は謝ってきた。
「すまない。君に全てを任せる事になってしまった。」
『もう、良いではありませんか。戦いは終わったのです。戻りましょうロックハルトへ。』
「ああ。そうだな。今日は疲れたよ。それにしても最後は凄かったな。」
そう、ロックス将軍が言うと、ガルシアさんもセレーナさんも同意している。
『あれは、僕の力ではありません。僕も皆さんと同じで打ち負かされた方です。』
「それは、どういう事かな…言っている意味が分からないよ。君が倒したのだろう。」
『それより、町に帰りましょう。どのみち、この事は宰相にも話さなければならないでしょうから…』
「そうか。」
それでは、帰ろうかとビクター将軍が話す。それぞれが同意して、ロックハルトへ凱旋する事になった。
■クリスタニア大陸 王都ロックハルト 行政府 宰相室 アルフォード・ウィンザー
ビクター将軍が、オスカル宰相にことの顛末を報告した。そして、ここにいる将軍たちを労った。そして、その後に、宰相は僕に頭を下げてきた。そして、僕はそれに会釈で答える。そして、宰相は僕たちに会議室で待機するように命じた。そして、宰相は部屋を出ていく。多分であるが、ここの国王陛下に報告に行くのだろう。
■クリスタニア大陸 王都ロックハルト 行政府 会議室 アルフォード・ウィンザー
30分くらいの時が過ぎたころ、会議室の扉が開いた。そして、宰相であるオスカルさんが入ってくる。国王陛下もこの報告にはたいそうな喜びだったようだ。そして、我々の労を労うために戦勝祝賀会が行われると言う事だった。そういう訳で、今日は疲れをとるようにとの事で解散となった。
宰相は、僕に話しかけてくる。
「よくやってくれた。ビクター将軍の話ではアルフォード君が来なかったら全滅していたとの事を聞いた。ありがとう。そして、戦勝祝賀会には、アルフォード君にも参加してほしい。」
『ありがとうございます。ですが、辞退したいと思います。クリスタニアの町に戻ろうかと思いまして…』
「何を言うんだ。主役が出ないでどうする。それとも何かあるのかい。」
『…ライアン支部長の葬儀にも出なければなりません。それに、この灰色クリスタルを安置出来る場所を探さなくては…魔人が復活したら元もありませんから…』
「…そうか。ライアン支部長の葬儀には特使として私が出席する事になっている。戦勝祝賀会はその後にするから主役の君には出て貰いたい。それに、国王陛下は君に会う事を楽しみにしている。」
『分かりました。それでは、僕は一時的にクリスタニアの町に戻ります。学園の理事長や教官にも報告しなければいけないので…』
「その事は大丈夫だ。リンツ参事官に頼んである。アルフォード君には我が家で逗留して貰って、ライアン支部長の葬儀にも一緒に参列したいと思っている。」
『分かりました。それでは、もうしばらくお世話になります。』
「気にしないでほしい。君は今やクリスタニアの町を守った英雄というだけでは無い。このクリスタニア大陸の英雄なのだから…」
『…』
そうして、今日は解散となった。そして、宰相からこの戦闘詳報の作成依頼を受ける。僕は、この戦闘について纏める事になった。それにしても、自分の中で整理が出来ない事が多すぎる。
■クリスタニア大陸 王都ロックハルト シャロン家 アルフォード・ウィンザー
オスカルさんと共に家へ向かった。玄関には、マリアさんとマリーさんが出迎えてくる。僕が玄関に入ってくるなり、マリーさんが抱きついてきた。それを見たお父さんは冗談を言ってくる。
「おいおい。そんなことは婚約してからにしてくれ…」
「やだ…お父さんたら…」
マリアさんも満更ではないように言う。マリーさんを見た。少し、頬が赤かった。それにしても急に抱き着いて来るとは思わなかった。その時、僕は驚いたけど、それ以上に甘い香りが鼻腔を擽ったのを鮮明に記憶した。平和だから感じる事が出来る一時なのだろう。




