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クビになった冴えないおじさんがダンジョン配信を始めたら、なぜか登録者100万人超えてしまった件〜俺、実は最強だったらしい〜  作者: あっかんべー
第2章:陰陽師とおじさん

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第40話 三つの世界が繋がった。田中武志、そのど真ん中に立つ

2チャンネルとLIVEコメントは状況説明みたいなものなので~

ちなみに、コメントとかは募集していますので応募してみてください!

 翌日、六畳一間に全員が集まった。


 八人が六畳一間に入ったら、さすがに狭かった…。


 「……この部屋の収容限界を超えています」


 サクラが言った。


 「廊下に出てもいいですが?」


 「…近所迷惑になりますよ」


 「…じゃあ我慢します」


 早川が壁際に立ったままメモを取っていた。


 神崎誠一がテーブルの前に陣取っていた。


 ノートを三冊並べていた。


 「…田中さん、昨日の「根が同じ」という話、詳しく教えてもらえますか?」


 「月峰師匠の言葉をそのまま伝えます。ダンジョン、異世界、裏日本の三つは、この世界の外にある大きな根から来ている。その根に触れられる器を持つ者が、田中武志だ、と」


 神崎誠一の手が止まった。


 「……根が同じ、ということは——」


 「設計上も、同じかもしれません。ダンジョンを俺が設計したなら、裏日本への通路も同じ原理で作られているかもしれない」


 「二十年前の田中さんが、裏日本のことも知っていた、と?」


 「わかりません。でも、もしかしたら、ダンジョンは裏日本との境界にも影響を与えるように設計されていたかもしれない」


 神崎誠一が書き続けた。


 リオが静かに言った。


 「父の資料に、ダンジョンが現れてから裏日本の妖怪が活発になったという記述があります。ダンジョンが開いたことで、三つの世界の境界が全体的に薄くなった、という仮説が…」


 「裏日本でも同じことを聞きました。最近、妖怪の力が増しているのはダンジョンの影響だ、と」


 早川が言った。


 「内閣府でも、ダンジョン出現と裏日本の活発化の相関を調査していました。陰陽庁と情報を共有しながら」


 「…やはり政府は知っていたんですね」


 「知っていましたが、田中さんが三つ全部に関わるとは思っていなかったと思います」


 「…篠原室長には報告しますか?」


 「すでに昨夜、概要だけ送りました。室長から「田中さんに会いたい」との連絡が来ています」


 「……また会議ですか?」


 「避けられないと思います」


 「わかりました。…条件は同じです」


 「軍事利用禁止、独占禁止、配信継続ですか?」


 「それに加えて、陰陽師の秘密を守ることを条件にします」


 早川が頷いた。


 「記録します」


後日公開 — 再生数:7,882,004

ガチ勢777:六畳一間に八人 物理的な限界を超えてる

エトウ:田中さんが条件に「陰陽師の秘密を守ること」を追加した つきのちゃんとの約束を守ってる

匿名A:神崎誠一がノートを三冊持ってきてる やる気が最高潮

プロ冒険者X:政府が陰陽庁と情報共有してたことが確認された 全部繋がってた

ヒナ推し最前線:六畳一間にまだ住んでいるのか?

早川メモ:室長への報告書第十二弾。渡航先に裏日本が追加されました。



 篠原室長との会議は、翌日になった。


 今回は出席者が多かった。


 篠原。黒沢。早川。岩田局長。


 そして、初めて見る人物が一人いた。


 五十代の、背の高い女性。


 着物を着ていた。


 白い着物ではなく、藍色の着物だった。


 俺の方に名刺を差し出してくる。


《陰陽庁 第一術師局 局長 天野宗子》


 「……陰陽庁から来ていただいたんですか?」


 「田中武志さんと話したいという要望を、陰陽庁から受けました」


 篠原が言った。


 天野宗子が俺を見た。


 「田中さん、昨日は孫娘が助けていただきました」


 「……孫娘?」


 「朔野つきのの、もう一人の祖母です。月峰は父方。私は母方」


 「…つきのさんの祖母が二人とも?」


 「陰陽師の家系では珍しくありません。月峰は現場の術師。私は行政側にいます」


 「…そうでしたか」


 「……田中さん、あの子のことを信用してもらえますか?」


 「すでに信用していますよ」


 天野が少し目を細めた。


 「…月峰が言っていました。「すぐに信用してくれる、いい人だった」と」


 「よく言われます」


 「良いことですよ。人を信用できない陰陽師は、妖怪を相手にするうちに孤立する」


 「…そうなんですか?」


 「信用することで、繋がりができる。繋がりが力になる。それが、陰陽師の本来の姿です」


 俺は少し考えた。


 「……向こうの世界でも、同じことを言われました」


 「向こうの世界?」


 「異世界で、三族をまとめてきたのも、同じ原理だったと思います」


 天野がしばらく俺を見た。


 「……田中さん、あなたは本当に特別な存在ですね」


 「…元経理ですよ?」


 「…意外と、そこが一番特別なところかもしれませんよ?」


 天野が静かに笑った。


■ 政府・陰陽庁・田中武志の三者協力体制(篠原室長が提案)

① ダンジョン対策室と陰陽庁が正式に情報共有を開始

② 田中武志は三つの世界(ダンジョン・異世界・裏日本)の橋渡し役として、独立した立場を維持

③ 陰陽師の秘密は引き続き保持。配信では裏日本の詳細は公開しない

④ 月峰師匠との定期的な情報交換を田中武志が担当



 会議が終わったあと、廊下で天野宗子が俺に近づいた。


 「一つだけ、個人的に聞いてもいいですか?」


 「どうぞ」


 「……つきのは、田中さんの配信をずっと見ていました。師匠である月峰から聞いた話では、「この人はどんな人か」と何度も聞いてきたそうです」


 「そう聞きました」


 「つきのは、真面目な子です。一度気になると、徹底的に調べる。そして——」


 天野が少し間を置いた。


 「……一度信じると、全力で守ろうとする」


 「…そうですね」


 「田中さんを信じていると思います。昨日の様子を月峰から聞きました」


 「俺もつきのさんを信用しています」


 「知っています。だから——」


 天野がまた少し間を置いた。


 「……どうか、あの子のことも、大事にしてもらえますか。弱い子ではないですが——田中さんのような人に出会うのは、初めてですから」


 「わかりました」


 「即答できるんですね」


 「考える必要がなかったので」


 天野が、また笑った。


 「…ありがとうございます、…田中さん」


 「はい」


 「裏日本の妖怪が活発化しています。これからも、何度か助けが必要になるかもしれません。その際は——」


 「行きます」


 「……また即答ですか」


 「放っておけないので」


 天野がしばらく俺を見た。


 「……その言葉が、一番心強いですよ」


 「よく言われます」



 夜、一人で自宅に帰った。


 コーヒーを作った。


 薄かった。


 飲みながら、考えた。


 裏日本に落ちた時からの四日間を。


 ファミレスから帰る途中に落ちた。裏日本に行っき鬼火と出会った。つきのに会った。月峰師匠に教えを受け成仏の術を使った。表に戻りヒナ達が待っていてくれた。全員が待っていた。政府と会議し陰陽庁と繋がった。


 「……忙しかった」


 思わず言った。


 でも——


 「…悪くなかった」


 続けて言った。


 今では、両方自然に言えるようになっていた。


 スマホを見た。


 つきのからメッセージが来ていた。


 《今日の会議、お疲れ様でした。祖母から聞きました》


 《天野さんが祖母だったんですね》


 《はい。……何か、変なことを言いませんでしたか?》


 《変なことは言っていません》


 《…本当ですか?》


 《本当です》


 少し間があった。


 《……私のことを大事にしてほしいとか言いませんでしたか?》


 《言っていましたね》


 《やっぱり言ってましたか!》


 《言っていましたね》


 《……恥ずかしいです》


 《なぜですか?》


 《なぜって、そういうことを直接言う祖母ではないので》


 《俺のことを信用したから言ってくれたんだと思います》


 少し間があった。


 《……そうですか》


 《そうです》


 《田中さん》


 《はい?》


 《……私も、田中さんのことを信用しています。ちゃんと言っておきたくて…》


 《わかりました》


 《…それだけですか?》


 《ありがとうございます》


 《……「ありがとう」が増えましたね》


 《練習中なので》


 《誰かに教わっているんですよね?》


 《そうです》


 《……大切にしてください、その人を》


 俺は少し間を置いて、返した。


 《していますよ》


 《よかったです》


 つきのが「よかったです」と言った。


 これもヒナから伝わったものかもしれなかった。


 そう思ったら、少し笑えた。


 「よかったです」という言葉が、色んな人に広がっていた。


 エリナに伝わって、岩田陸に伝わって、今度はつきのに。


 ——そういうものが、繋がりだ。


 月峰師匠の言葉が、静かに頭の中に響いた。



 翌朝、ヒナからメッセージが来た。


 《田中さん、一つだけ聞いてもいいですか?》


 《どうぞ》


 《三つの世界の橋渡し役、やっていけますか?》


 俺は少し考えた。


 《わかりません》


 《…わからないんですか?》


 《…でも》


 《でも?》


 《「放っておけない」という気持ちは、三つの世界どこでも変わりません。それが続く限りは、やっていけると思います》


 しばらく間があった。


 《田中さん》


 《はい》


 《うちも、放っておけません!》


 《何をですか?》


 《田中さんを、です。どこへ行っても、放っておけません》


 《ありがとうございます》


 《よし》


 「よし」が来た。


 今回の「よし」の意味は——わかった。


 覚悟を決めた、という意味だった。


 俺がどこへ行っても、ついていく。


 それを決めた「よし」だった。


 そう言ってもらえた事が何よりも嬉しく感じる自分がいた。


 俺はコーヒーを一口飲んだ。


 やっぱり薄かった。


 でも——今日は、一番薄くても一番良かった。


 不思議なものだった。


 七人だったときから始まって、3200万人になった。


 ダンジョンを歩いて、異世界へ行って、裏日本に落ちた。


 エルフに会った。獣人に会った。魔族に会った。妖怪に会った。陰陽師に会った。


 それでも——田中武志は、田中武志だった。


 コーヒーが薄いのが嫌いで、スーツが普段着で、危ない目に合う人を放っておけないから動く。


 それだけだった。


 記憶が戻ってきていても、変わらない自分に安堵する。



 その夜。


 夢を見た。


 広い場所だった。


 空がなかった、地面もなかった。


 ただ、光だった。


 白い光の中に、俺がいた。


 俺のほかに誰かが、いた。


 顔が見えなかった。


 でも——声がした。


 知らない声だった。


 でも、知っている感じがした。


 その声は、俺に言った。



 ——全ての根に触れた者よ

 ——汝が三つを繋ぐとき

 ——第四の扉が開く


 第四の扉。ダンジョン。異世界。裏日本。


 その三つの根のもっと先に、何かがある。


 「——お前のことを、ずっと待っていた」



 夢が終わり、目が覚めた。


 気づけば、朝だった。


 右手が、三色に光っていた。


 白。金。橙。


 三つが混ざって、ゆっくりと消えた。


 「……また、増えましたか」


 俺は右手に言った。


 右手の光からは返事はなかった。


 でも——確かに、次がある気がした。



【感想】「田中さんを放っておけません」ヒナちゃんの決意と第四の扉予告で全員鳥肌

1 名無しさん : 「放っておけない→田中さんを、どこへ行っても」 ヒナちゃんが田中さんと同じ言葉を使った


2 名無しさん : 第四の扉という伏線が投下された ダンジョン・異世界・裏日本の先に何がある


3 名無しさん : 「よかったです」がヒナ→エリナ→岩田陸→つきのと連鎖してきた 言葉が繋がっていく


4 名無しさん : 天野宗子がつきのの母方祖母で陰陽庁の局長 陰陽師の家系の複雑さと強さがわかった


5 名無しさん : 「その言葉が一番強い」と天野さんが言った「放っておけないので」 全てに通じたキーワードが最後まで生きてる


6 名無しさん : 右手が三色で光った 白(異世界)・金(王の器)・橙(成仏) 三つの世界を全部持ってる証拠ってこと?


7 名無しさん : 「田中武志は田中武志だった」という締め これまでの全てをかけて積み上げてきたテーマが一文で完成した


8 名無しさん : 登録者3300万突破!


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