表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クビになった冴えないおじさんがダンジョン配信を始めたら、なぜか登録者100万人超えてしまった件〜俺、実は最強だったらしい〜  作者: あっかんべー
第2章:陰陽師とおじさん

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/47

第38話 裏日本を歩いたおじさん。陰陽師の秘密を聞いてしまった

 同じ頃、表の世界では——


 ヒナが歩道の亀裂を見つめていた。


 亀裂は、気づいたときにはもう塞がっていた。


 田中さんが落ちた場所に、何も残っていなかった。


 「……田中さんが消えました」


 ヒナが静かに言った。


 全員が沈黙した。


 「……えっと」


 岩田陸が困惑した顔で言った。


 「また、別の世界に行ったんでしょうか…?」


 「そう、ですね」


 サクラが地面をカメラで記録した。


 「…今度はダンジョン経由でもないし、第十二層の扉経由でもない。歩道が割れたように見えました…」


 「次元の亀裂、というやつですか?」


 神崎誠一が眼鏡を直した。


 「向こうでも聞いたことがあります。ダンジョンの外で稀に発生すると言われている現象。異世界との境界が薄い場所で起きる、と」


 「境界が薄い場所って、渋谷がですか?」


 キリソウが言った。


 「渋谷ダンジョンがある場所だから……そのあたりは特に薄いのかもしれません」


 リオが静かに言った。


 「でも、異世界ではなさそうです。向こうへ渡るときとは、雰囲気が違った気がして」


 「気づいてたんですか?」


 「田中さんの右手が、一瞬違う光り方をしました。向こうに行くときの白い光ではなく、金に近い、別の色で」


 全員がしばらく黙った。


 ヒナが地面を見たまま言った。


 「……田中さんは、帰ってきます」


 断言していた。


 「田中さんは、約束を守る人ですもんね…」


 ヒナが頷いた。


 「……じゃあ、調べてます」


 「何をですか?」


 「次元の亀裂について。田中さんが何に落ちたかを」



 裏日本を、つきのと並んで歩いた。


 赤い空。黒い木。


 音が少なかった。


 表の世界の渋谷の喧騒が、ここには届いていなかった。


 「……静かですね」


 俺が言った。


 「裏日本は、基本的に静かです。妖怪が活発なときは別ですが」


 「妖怪が活発なとき、というのは?」


 「怨念が溜まったとき。人間の負の感情が積み重なると、裏日本に流れ込んで妖怪の力が増します」


 「…人間の感情が影響するんですか?」


 「はい。だから陰陽師は、表の世界の平和を守ることで、裏日本を安定させます。表が穏やかなら、裏も静かになります」


 「……なるほど」


 「…さっきの鬼火は、特に怨念が強かった。最近、この辺りで何か大きな負の感情が溜まっていたんだと思います」


 「渋谷でですか?」


 「渋谷ダンジョンが近いせいかもしれません。境界が薄い場所は、裏日本とも繋がりやすいから」


 俺は少し考えた。


 「……ダンジョンと裏日本が、繋がっている可能性があるということですか?」


 「師匠は、そう考えています。ダンジョンが現れてから、裏日本の妖怪の動きが変わった、と」


 「変わった?」


 「より、活発になったそうです。まるで、ダンジョンが裏日本にも影響を与えているように」


 俺は歩きながら、右手を見た。


 金色に近い白い光が、今も微かに残っていた。


 「……俺の右手が反応しています」


 「…気づいていました。その光、陰陽師の術の光に、少し似ている気がします。」


 「そうなんですか?」


 「異世界の力と、裏日本の力が、似たものなのかもしれません。師匠が言っていました。「この世界の外にある力は、根が同じだ」と」


■ 陰陽師について(朔野つきの談)

陰陽師は平安の時代より続く、裏日本と表日本の境界を守る一族。現代では《陰陽庁》という秘密組織として政府の一部に存在するが、一般には知られていない。月読家はその中でも古い家系の一つ。現在の当主は朔野つきのの師でもある祖父・朔野月峰さくのつきみね


後日公開 — 再生数:5,114,004

ガチ勢777:表が穏やかなら裏も静か 表裏一体の世界観が好き

エトウ:ダンジョンが裏日本に影響してたのか 全部繋がってる

匿名A:「この世界の外にある力は根が同じ」 王の器と陰陽師の術が似てる理由が出た

プロ冒険者X:ヒナちゃんが「調べます」って即断したの 田中さんを信じてる上で動ける人になってる

ヒナ推し最前線:ヒナちゃんそこまで田中のことを…

匿名B:陰陽庁という組織が政府の一部にある 早川さんや篠原室長は知ってるのか



 歩きながら、つきのが話し続けた。


 「…田中さん、一つ聞いていいですか?」


 「どうぞ」


 「……右手の光、ずっとあるんですか?」


 「ダンジョンに入り始めてから、出るようになりました」


 「それよりも前は?」


 「なかったと思います。少なくとも自覚していなかった」


 つきのが考えるような顔をした。


 「……師匠に見せたいです」


 「師匠さんに?」


 「はい。その光、陰陽師の術師でも、ごく一部の者しか持てない種類のものに見えます。でも、それとも少し違う気がします…。」


 「どう違うんですか?」


 「陰陽師の光は、鍛錬で磨くもの。でも田中さんの光は、生まる前から持っているような、根が深い感じがします」


 「生まれる前から?」


 「もしかしたら……前世というか、そういうものが関係しているのかもしれません」


 俺は少し考えた。


 「前世、というのは?」


 「陰陽師の世界では、魂の記憶というものを重視します。今の体に宿る魂が、過去にどんな経験をしてきたか——それが術の深さに影響する、と」


 「……異世界の話では、俺は向こうで二十年前まで王だったようです」


 つきのが止まった。


 「……え?」


 「…異世界の王族だったらしい。その記憶を封じてこちらに来て、最近少しずつ戻ってきました」


 「……向こうの世界の王族の魂が、田中さんに宿っているんですか?」


 「俺自身が向こうにいたので、宿っているというより、俺がそういう存在なんだと思っています」


 つきのがしばらく黙った。


 「……なるほどぉ?」


 「なるほど、だけですか?」


 「……驚いています。でも、だとしたら、右手の光の説明がつきます」


 「どう説明がつくんですか?」


 「…異世界の王の力と、裏日本に反応する力が、田中さんの中で混ざっている。だから今日、鬼火の怨念ごと吸収できた、ってことかと」


 「ダンジョンの魔物の炎を吸収できたのと、同じ原理ですか?」


 「おそらく根は同じだと思います。師匠が言っていた「外の力は根が同じ」という言葉の意味が、少しわかった気がします」


 「そうですか。」


 「……田中さん、本当に何者なんですか?」


 「元経理です」


 「それは知っています」


 つきのが少し苦笑した。


 「…でも、元経理で、異世界の王で、ダンジョン配信者で、裏日本で鬼火をワンパンで倒せる人ってなんですか?」


 「確かに、そうなりますね」


 「肩書きが多すぎます」


 「…でも、困りましたね。」


 「…困るんですか?」


 「名刺に書けないので」


 つきのが少し笑った。


 今回は声が少し出た。



 しばらく歩くと、道が開けた。


 小さな社があった。


 木造の、古い社。


 だが——手入れされていた。


 掃き清められた石畳。新しい榊。


 「……ここは?」


 「裏日本の中継地点です。陰陽師が使う場所です」


 「人がいるんですか?」


 「今日は一人だけ。師匠が来ているはずです」


 社の前に、人がいた。


 老人だった。


 白い髪に背が低い。でも背筋が伸びていた。


 着物を着ていおり、つきのと同じような、白い着物だった。


 振り向いた。


 目が、深かった。


 ガルドの目に似ていた、と俺は思った。


 長い年月を生きてきた目。


 「……つきの、遅かったな」


 「鬼火が手強くて。師匠…」


 老人が俺を見た。


 「……お前が助けたのか?」


 「通りかかったので」


 「通りかかった、だぁ?」


 老人が少し目を細めた。


 「…名は?」


 「田中武志です」


 「例の配信者の…?」


 「そうです」


 老人が俺の右手を見た。


 「……光っておるな」


 「そうみたいですね」


 「…鬼火を吸収したのか?」


 「出来ましたね」


 「…怨念ごと?」


 「そうだったと思います」


 老人がしばらく沈黙した。


 つきのが「師匠、この方が向こうの世界の——」と言いかけた。


 「知っておる」


 老人が静かに言った。


 「向こうの世界の配信を、わしも見ておった。ゼナという魔族?が繋いでくれた映像を」


 「ゼナさんを知っているんですか?」


 「直接は知らぬ。だが、技術者として敬意を持っている。裏日本にも信号が届いたときはたまげたわ」


 「ゼナさんなら驚かないと思います」


 「…そうか。」


 老人がまた俺の右手を見た。


 「田中武志、お前の力は、陰陽師の術と根が気配がする」


 「つきのさんも同じことを言っていました」


 「ダンジョンの力、異世界の力、裏日本の力、全て、この世界の外から来るものだ。それを受け取れる器を持っている者が、おそらくお前なのだろう」


 「王の器、と言われています」


 「王の器か。……なるほど、そういう言い方もあるか」


 老人が初めて、笑った。


 「…わしらは「天の器」と呼んでいる。同じものかもしれん」


 「天の器ですか?」


 「天、つまりこの世界の外から来る力を受け取れる器。そういう人間が、時代ごとに生まれる。おそらく、お前はその一人だ」


 俺は少し考えた。


 「……そのことは、知りませんでした」


 「知らなくて当然だ。わしらも、お前のような形で現れた者は初めて見るからな」


 「…どういう意味ですか?」


 「ダンジョンを通じて異世界の力を得て、さらに裏日本の力にも反応する三つの外の力を同時に持つ者は、過去の記録に一つもない」


 「……三つですか?」


 「ダンジョン、異世界、裏日本。この三つは、別々に見えて、根が一つだ。お前は、確実にその根に触れている」


■ 月峰の言葉より(陰陽師の古文書の記述)

「この世界の外に、大きな根がある。ダンジョンはその根が地上に伸びた枝。異世界への扉もその根から生まれた通路。裏日本もその根が作り出した影。全ては一つの根から来ている。その根に触れられる者が現れたとき、世界の形が変わる、と考えられている」



後日公開 — 再生数:6,882,004

ガチ勢777:「ダンジョン・異世界・裏日本は根が一つ」 全部が繋がってる大伏線

エトウ:王の器と天の器が同じものだった 異世界と裏日本の設定が融合した

匿名A:月峰師匠がゼナちゃんを「技術者として敬意を持っている」って言ったの好き

プロ冒険者X:三つの外の力を同時に持つ者は記録にない 田中さんが前例のない存在であることが改めて明確に

ヒナ推し最前線:…お前…名刺持ってても意味ないじゃん。

匿名B:「世界の形が変わる」という古文書の記述 これが今後の最大の伏線かもしれない

シルヴィア推し:ゼナちゃんの回線が陰陽師の世界にまで届いてたの本当に凄い



 「……お前に頼みがある」


 月峰が言った。


 「どんな頼みですか?」


 「…裏日本の妖怪が、最近、力を増している。ダンジョンの影響だとわしは考えているが、つきのたち陰陽師だけでは、封じきれなくなってきている」


 「それで俺に?」


 「お前が望むなら、力を貸してほしい。強制はする気はない。」


 「…条件はありますか?」


 月峰が少し目を細めた。


 「賢い聞き方だ。条件——わしらの存在を、世に知らせないでほしい。陰陽師は、秘密裏に動く。それがわしらの流儀だ」


 「わかりました」


 「即答か」


 「つきのさんにも同じことを言いました。信用できると思ったので」


 月峰がつきのを見た。


 つきのが頷いた。


 「……師匠が考えていた通りの人でしたよ」


 「…そうか」


 月峰が俺を見た。


 「田中武志、もう一つ聞く。お前は今、何のために力を使っている?」


 「……繋げるため、だと思っています。向こうとこちらを。それから、放っておけない人がいれば、助けるため」


 「放っておけない、とは?」


 「それだけです」


 月峰がしばらく俺を見た。


 「……それが、お前の答えか」


 「そうですね」


 「単純だな」


 「単純です」


 「……だが、単純なものほど、根がつよい、か。」


 月峰が頷いた。


 「わかった。お前の流儀を尊重する。こちらもできる限り、情報を共有しよう」


 「ありがとうございます」


 「礼はいらん。……ただ」


 月峰が少し間を置いた。


 「裏日本の妖怪は、ダンジョンの魔物とは違う。魔物は力で倒せる。妖怪は——」


 「違う?」


 「怨念を持っているからな。力で消しても、怨念が残る。残った怨念が、また妖怪を呼ぶ。封じ方が重要になるのだ」


 「…今日は力で消してしまいましたよ?」


 「消えていないかもしれん。怨念を吸収したなら、今、お前の右手の中にあるのやもしれない」


 俺は右手を見て、意識を集中させる。


 微かに、熱かった。


 「……あの…中に、いますか?」


 「…聞こえるのか?」


 俺は右手に更に意識を向けた。


 遠く、かすかに——何かが、あった。


 声ではなかった。


 感情のようなものだった。


 悲しい、というより…寂しい、というより…


 「……疲れた、と言っています」


 月峰が目を細めた。


 「聞こえたのか!?ここまでとは…!」


 「疲れた、とはどういうことですか?」


 「長く憎しみを持ち続けた魂は、いつか疲弊する。疲れた魂は、本来、成仏したいと思っている。鬼火はもともと、成仏できなかった魂だからな」


 「……成仏させてあげたいですね」


 月峰が、また目を細めた。


 今度は、少し優しい目だった。


 「……そう思うか?」


 「そう思います」


 「怖くはないのか?怨念を持った魂が、右手の中にいるんだぞ?」


 「怖くないです」


 「なぜだ?」


 「疲れているなら、休ませてあげたいと思うだけです」


 月峰が、つきのを見た。


 つきのが小さく頷いた。


 月峰が立ち上がった。


 「……田中武志、今から成仏の術を教える。お前の力と、わしらの術を合わせれば、その魂を送り出せる」


 「よろしくお願いします」



 月峰の指示に従った。


 右手を前に出す。


 力を込めるのではなく緩める感覚らしい。


 「力を抜け。扉を開けるように、ではなく…そう、窓を開けるように」


 「窓、ですか?」


 「光を通すために開けるのだ。出て行きたいものが、出て行けるように」


 俺は右手の力を緩めた。


 月峰が印を結んだ。


 つきのが呪符を掲げた。


 「《送り火の印》——」


 つきのが静かに唱えた。


 俺の右手から、かすかな光が出た。


 今度は白でも金でもなかった。


 暖かい、橙色だった。


 夕焼けに似た色が、右手の先から広がった。


 そして…右手の熱が、ふっと消えた。


 消えたところに、何かが残った。


 感情ではなかった。


 ただ、何かが軽くなった気がした。


 「……行ったか」


 月峰が言った。


 「行けたんだと思います」


 「…疲れていた魂だ。これで楽になったはずだ」


 「…よかったです」


 俺は言った。


 つきのが、俺を見た。


 「……田中さん、「よかった」って言いました?」


 「…言いましたね、何か問題でも?」


 「…え?あ、いえ、妖怪の魂が成仏したのに「よかった」って言う人、初めて見まして…。」


 「疲れていたなら、休めた方がいいですよね?」


 「……そうですね」


 つきのが静かに笑った。


 月峰が社の方を向いた。


 「田中武志、今日のことで一つわかった」


 「…何ですか?」


 「お前は、力で戦うだけでなく、受け取ることもできる。鬼火の怨念を吸収して、成仏させた。それは陰陽師の仕事の本質だ」


 「本質、ですか?」


 「封じる。送る。繋ぐ。それが陰陽師の三つの役割だ。お前は今日、その全てをやった。知らずの内にな」


 「……そうでしたか」


 「知らずにできるのが、本当の力だ」


 俺は少し考えた。


 「……それは、異世界でも似たようなこと言われたことあります。」


 「どんなことを?」


 「「言葉で人を強くする人」と、言われました」


 月峰が少し黙った。


 「……なるほど、それが、お前の王の器か」


 「そうかもしれません」


 「封じるのではなく、送り出す。壊すのではなく、繋ぐ。それが天の器、でもある」


 赤い空が、少し柔らかくなっていた。


 鬼火が消えたせいか、裏日本の空気が少し変わっていた。


 「……あの、帰り方を教えてもらえますか?」


 俺が言った。


 「あ、表に戻る方法です。」


 「ああ、あるぞ。この社から表に戻れる」


 「…よかった」


 「……また「よかった」か」


 月峰が静かに笑った。


 「配信で見ていた通り思ったことを口にする人だな」


 「そうですか?」


 「孫娘がよく見ていたからな」


 「孫娘?」


 「つきのだ。弟子でもあり、孫でもある」


 俺はつきのを見た。


 つきのが少し目を逸らした。


 「……師匠、それは言わなくていいです!」


 「なぜだ?」


 「なんでもありませんっ!」


 「配信を見て「この人はどんな人かなぁ?」と何度も聞いてきたのはお前だろう?」


 「師匠!」


 つきのの耳が、少し赤かった。


後日公開 — 再生数:7,441,004

全員:つきのちゃんの耳が赤い!!!!

ガチ勢777:「この人はどんな人か」と何度も聞いてきた ヒナちゃんと同じルートじゃん

エトウ:妖怪を成仏させた後に「よかった」って言える田中さん 敵とか怨念とか関係なく

匿名A:「封じる・送る・繋ぐ」が陰陽師の本質で、田中さんが知らずに全部やってたの鳥肌

プロ冒険者X:「単純なものほど根が深い」という月峰の言葉が全シリーズのテーマだった

ヒナ推し最前線:つきのちゃんとくっつけ!

シルヴィア推し:またライバルが増えた 田中さんの周りの人間関係が全員面白い

匿名B:月峰師匠がゼナちゃんに敬意を持ってて笑う 技術者同士は言語を超えるというのが本当だった



 社の中に入った。


 石畳。古い木の柱。線香の匂いがする。


 中央には鏡があった。


 大きな丸い鏡が。


 「……この鏡が、表への通路になっておる」


 月峰が言った。


 「…鏡を通るんですか?」


 「古来より、鏡は異界との境界だ。この社の鏡は、渋谷の表の世界と繋がっている」


 「なるほど」


 「表に出れば、落ちた場所の近くに出るはずだ。ヒナという人間が、待っているんだろう?」


 「……知っていますか、ヒナさんを?」


 「配信で見ていた。よく「よし」と言う人だろ?」


 「そうですね」


 「……きっと、心配しているだろう」


 「…そうですね」


 「早く帰りなさい」


 「わかりました」


 俺は鏡の前に立った。


 「田中武志」


 月峰が声をかけた。


 「はい?」


 「次に裏日本に来るときは、呼ばれて来い。自分から落ちてくるなよ」


 「気をつけます」


 「気をつけられないから落ちたんだろう?」


 「確かに、そうかもしれませんね」


 月峰が小さく笑った。


 つきのが俺に向かって頭を下げた。


 「……今日は、ありがとうございました。また——」


 「またいつか」


 「はい。また、いつか」


 つきのが顔を上げた。


 目が、真剣だった。


 俺は鏡に手を当てた。


 右手が、光り、今度は橙色だった。


 鏡が、揺れた。


 俺は、表の世界に戻ることが出来た。



【感想】「封じる・送る・繋ぐ」を知らずに全部やった田中さんと、月峰師匠の「単純なものほど根が深い」で全員落ちた件

1 名無しさん : 「ダンジョン・異世界・裏日本は根が一つ」という世界観が全話の伏線を一気に回収した 今後の最大の布石だろ


2 名無しさん : 妖怪の魂が「疲れた」と聞こえた田中さんが「成仏させてあげたい」と言った 敵であっても放っておけない


3 名無しさん : つきのちゃんが配信を何度も見て「この人はどんな人か」と師匠に聞いてたの ヒナちゃんと同じだ


4 名無しさん : 王の器と天の器が同じもの 異世界と裏日本の力の根が同じという設定の整合性が高すぎる


5 名無しさん : 月峰師匠がゼナちゃんに敬意を持ってるの 次会わせてほしい 技術者同士絶対話が合う


6 名無しさん : 「単純なものほど根がつよい」をシリーズ通じて一番深い言葉だと思う


7 名無しさん : ヒナちゃんが待ってると言われて「早く帰れ」と言った月峰師匠 人情がある


8 名無しさん : 登録者3100万突破 すごい勢いが増してる

面白いと思ったら、コメント、フォロー、評価をお願いいたします!

とても、励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ