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クビになった冴えないおじさんがダンジョン配信を始めたら、なぜか登録者100万人超えてしまった件〜俺、実は最強だったらしい〜  作者: あっかんべー
第1章:異世界と配信とおじさん

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第24話 帰る日が来た、おじさん

 四日目の朝。


 テーブルに全員が集まった。


 こちら側の七人。あちら側の三人。神崎誠一。


 「……今日、帰ります」


 俺が言った。


 テーブルが静かになった。


 シルヴィアが頷いた。


 「…わかっています。向こうの世界との均衡を保つためには、陛下が行き来する必要がある。無理に引き止めません」


 「また来ます」


 「…約束ですか?」


 「約束です」


 ガルドが静かに言った。


 「……陛下、戻り方は確認できましたか?」


 「ゼナから聞きました。来たときと同じ扉から、意識するだけで戻れると」


 「そうです」


 ゼナが続けた。


 「陛下の器が今や完全に満ちています。来るときと逆の意識——戻ると決めた瞬間に、扉は開きます。向こうからでも同じです」


 「つまり、いつでも来られる」


 「いつでも。陛下が決めれば」


 ヒナが小さく息をついた。


 「……いつでも来られるなら、また来てくれるんですね?」


 「来ます。みなさんを連れて」


 「うちたちも一緒に?」


 「来るたびに連れてきます。来たい人は」


 キリソウが即答した。


 「来ます。絶対来ます」


 早川が少し迷った顔をして、言った。


 「……次回は有給を取ります」


 「有給で異世界に来る政府の人間」


 サクラがメモしている。


 「記録します」


 「記録しなくていいです」とヒナが言った。


 「重要な記録ですよ?」とサクラが言った。



 出発の前に、一人ずつ話した。


 ガルドが城門の前で待っていた。


 「……陛下」


 「ガルド?」


 「次来るときも、スーツで来てください」


 「なぜですか?」


 「陛下らしくて好きです。最初見たとき、なんだこれはと思いましたが…」


 「最初はそう思いましたか?」


 「思いました。でも今は、スーツが陛下だと思っています」


 「わかりました。スーツで来ます」


 「剣の稽古、次来たときにまたやりますか?」


 「やります」


 「記憶が戻ったなら、腕も戻っているはずだ」


 「どうでしょうか。体育三でしたから」


 「それは向こうの話だ」


 「そうですね」


 ガルドが俺の肩に手を置いた。


 「……お帰りなさい、アルディス陛下。また来い」


 「また来ます。ガルド」


 ガルドが肩から手を離した。


 目が、かすかに光っていた。


 今日も泣かなかった。


 だが、俺にはわかったいた。



 ゼナが俺の前に来た。


 「陛下、一つお願いがあります」


 「なんですか?」


 「向こうの世界で続けている配信を私も、いつか見てみたいと思っています」


 「こちらから見られるんですか?」


 「……工夫次第で、できるかもしれません。冥界石を使えば、映像信号の受信が可能かもしれない」


 「それができたら、向こうの視聴者が増えますね」


 「増えます。ただし、コメントは異世界語になります」


 「それはそれで面白いかもしれませんよ?」


 ゼナが小さく笑った。


 「……陛下のことは、ずっと観察してきました。石台に名前を刻んでからも、扉のそばで」


 「それは知りませんでした」


 「二十年間、何度か声を届けようとしましたが、届いていましたか?」


 「……たぶん、届いていました。夢の中で聞こえていたものは、あなた方の声だったかもしれません」


 「そうでしたか…」


 ゼナが深く頭を下げた。


 「陛下、またいつでも来てください。魔族評議会は、陛下を歓迎します」


 「ありがとうございます、ゼナ」


 「……名前で呼んでいただけるのは、嬉しいことです」


 「そうですか?」


 「陛下に名前で呼ばれた魔族は、私くらいだと思います」


 「それはどういう意味ですか?」


 「特別、ということです」


 ゼナがまた笑った。


 今日で何度目かわからなかった。



 最後に、シルヴィアが来た。


 城門の前。草原の風が吹いていた。


 「……アルディス」


 「…シルヴィア」


 「また来ると言いましたね?」


 「言いました」


 「いつ来ますか?」


 「早ければ一ヶ月以内に」


 「……一ヶ月」


 「長いですか?」


 「長くないです。二十年に比べれば」


 「そうですね」


 シルヴィアが手を伸ばした。


 俺はその手を握った。


 「…ただいまと言ってくれてありがとうございました」


 「こちらこそ、待っていてくれてありがとうございます」


 「……向こうで、大事にしてもらっていましたか?」


 「大事にしてもらっていました」


 「それは良かった」


 「向こうに帰っても、大事にしてもらえると思います」


 「わかっています。見てきたので」


 シルヴィアが手を離した。


 「……アルディス、一つだけ」


 「はい」


 「向こうの世界で、ちゃんと幸せでいてください」


 「幸せですよ」


 「今も?」


 「今も」


 シルヴィアが微笑んだ。


 「……よし」


 「よし?」


 「ヒナさんから覚えました!」


 俺は少し驚いた。


 「シルヴィアも使うんですか?」


 「嬉しいときに言うんでしょう?ヒナさんから教わりました」


 「そうです」


 「なら、よし」


 シルヴィアが笑っていた。


 今度は泣いていなかった。


 ただ笑っていた。


出発前配信 — 同接:5,882,004

ガチ勢777:早川さんの「有給で来ます」で笑った後シルヴィアちゃんの「よし」で泣いた

エトウ:シルヴィアが「よし」を覚えてヒナの言葉を使ってる 二人が繋がってる

匿名A:ガルドが「スーツが陛下だ」って言ったの最高すぎる

プロ冒険者X:ゼナちゃんが「私くらいだ」って言ったの 魔族の照れ方可愛すぎる

ヒナ推し最前線:シルヴィアがヒナから「よし」を教わってたの いつの間に仲良くなってたんだ

匿名B:「向こうで幸せでいてください」「今も幸せです」で終わるの完璧な別れのシーン

キリソウ実況:「有給で来ます」即答しました正直に言います

新規大量:異世界から帰る場面が楽しみでもあり悲しくもある



【感想】シルヴィアが「よし」を覚えてた件 ヒナとシルヴィアが本当の意味で繋がった

1 名無しさん : 「今も幸せです」が今話最高の一言。ここに来るまでの全話を肯定してる


2 名無しさん : シルヴィアが「よし」をヒナから教わってたのはいつだよ 配信外で仲良くなってたんだ


3 名無しさん : ガルドの「スーツで来い」「スーツが陛下だ」で笑いながら泣いた


4 名無しさん : ゼナちゃんが「名前で呼ばれた魔族は私くらい」って言ったの照れ隠しで可愛すぎた


5 名無しさん : 「有給で異世界」を政府の人間が言う日が来るとは


6 名無しさん : いつでも行き来できる設定になったのが良かった 永遠の別れじゃない


7 名無しさん : 登録者2100万 帰ってきたら何万になってるんだ


8 名無しさん : もう終わりそうだよ…最終回にならないでほしい まだまだ続いてほしい

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