話
今日は少し忙しく推敲できてない部分が多くあるので短く区切っています。楽しみにしていた方々、すみません。
(何とか間に合ったな)
俺の登場に合わせて、すぐにその場を退いた大男から視線を外さずに蒼桜を視界に入れる。
(縛られてるだけで何もされては無さそうだ。魔法を使ってないところを見るに封じられてる可能性もあるな)
何とかここから脱出したいが、目の前の大男を含め辺りには他にも敵と思しき奴らがいる。このまま逃げること難しいだろう。
(というか、どこまで予想が当たってるか分からないけど運ばれた場所がここで良かった)
俺はここに来る前のことを思い出す―
覚悟を決めたものの俺は悩んでいた。蒼桜がどこにいるのかが分からないのだ。しかし、そこは俺にしか使えない武器がある。
(この世界はシナリオをなぞったもの。俺の影響もあるにしても、この誘拐はきっとシナリオの中にヒントがあるはず)
俺はゲームの中のストーリー、特に今回に関係の深そうな蓮が蒼桜を誘拐するイベントを思い出す。
あれは確か、蒼桜の好感度が一定以上になると起こるイベントだった。後からわかった事だが、蒼桜は近道をしようと路地裏に入った所後ろから口を塞がれ、何らかの薬品を吸い込み、意識を失ったらしい。
その後、主人公に対して蒼桜のケータイから連絡が来る。
『自身の婚約者にちょっかいをかけるな、一度身の程を分からせてやる。今から示す場所に来い』
それに対して主人公はどうして蒼桜のケータイから連絡してきたのかと尋ねると、気絶した蒼桜の写真が送られてきたことで助けに行くか行かないかの選択肢が現れる。
助けに行くとそこには倒れふす蒼桜と蓮がおり、ほとんど会話を交わすことなく戦いが始まるのだ。
そこまで考えて、俺はゲームをしていた時に感じた疑問を思い出す。
(蓮は一人で蒼桜を誘拐したのか?)
情報通りなら蓮は人一人を街中で誘拐し、ある場所まで運んだことになる。それが一人で可能なはずは無い。
(協力者がいる···)
どういう理由の元、蓮に協力したのか分からないが気絶した蒼桜を運んだ仲間がいるはずだ。
(もしかして、今回のことはそいつらが?)
もしかしたら、彼らにも蒼桜を攫うだけの理由があったのかもしれない。これでただ蓮の指示に従っただけのヤツらであった時は笑えない。
これは何の証拠も無く、ただの都合のいい予測かもしれない。けれど、シナリオから考えるにそれ以外のことは何も思いつかない。
これで何も関係の無いやつが誘拐したのだとすれば、完全な無駄足になる。しかし、ここで何もせずにいるよりかはマシだと、俺は立ち上がる。
俺は練習用の木刀では無く、部屋に置いてあった銀色の刃を有する本物の刀を腰にさげる。
(何が起こるか分からない以上、これは持っていった方がいいだろう)
恐らく初めての実戦を経験することになるかもしれない。だから、ただ一つ心に目標を定めて一歩踏み出した。
俺は目的地に向かい始める。
埠頭の倉庫街に。
回想が終わり、改めて刀を握り直す。
それにしても、どの選択肢を取ろうと厳しいのは変わりない。戦うにしても周りは五人の男と他とは雰囲気の違う大男がいる。
(蒼桜の拘束具を解ければいいんだけど、その隙もなさそうだ)
緊迫した空気が流れる中、突然蒼桜と自分の間にを黒い煙のような壁が現れる。
「なっ!?」
慌てて俺が魔法を放とうとしたが、それを遮ったのはどこかで見た覚えのある青年だった。
「魔法の行使をやめてください。これはただ周りの音を遮ってるだけですから。それでも止めないならこちらとしても対処しなければいけませんよ?」
その言葉からこの黒い煙を出したのが扉を開いて出てきた青年のものだと分かる。この黒い壁の突破は可能である。しかし、手の内も目的も分からない以上今俺が魔法を使っても危険な可能性を拭いきれない。
「くそっ」
俺は大人しくすることにする。
それを見た大男はチャンスとばかりに、
「良くも邪魔しやがってぶち殺してやるっ!」
魔法を使おうとした瞬間、
「あなたも少し静かにしててください」
大男も黒い煙のような壁で分けられた。
(こいつら仲間じゃないのか?)
意味のわからない行動に戸惑っていると青年は眼鏡をかけ直す。
「さて、では話をしましょうか」
青年はにこやかに笑いながらそう言った。
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