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五色玲瓏のフィリグラン  作者: るーく
11/22

過去の想起と未来への希望

どうやら同じ話が投稿されていたみたいで対応しました。ご迷惑をお掛けしました。今後も投稿ミスに限らず誤字や表現のおかしい所があれば教えて頂けるとできるだけすぐに対応します。


今回は蒼桜目線の話です。

(楽しかった)


私は一人で帰り道を歩いていた。


(家族以外でこんな気持ちになれたのはいつぶりだろう)


長らく、こうして家族以外で温かな気持ちになれたことは無かった。私にとって家以外に居場所は存在していなかったから。


(いつからそうなったんだっけ)


私は全てが変わった時を思い返す。



私が学園に通い始めたのは中等部からだ。


確か始まりは普通だった。特別仲のいい友達もいなかったけど、たまに話す人がいて段々と上達していく魔法も楽しかった。


しかし、一年の終わりごろから同学年の男子の私を見る目が変わったような気がした。それを証明するかのように二年生に上がると、男子から告白をされるようになった。


その時の私は異性に対する興味が薄かったから、それを受け入れることは無かった。そんな中、数人の男子を振った頃から少しずつ学園生活が変わっていった。


突然噂が流れ出したのだ。


最初は私がテストで不正したというものだった。もちろんそんなことはやってないし、特に証拠などあるわけでもなかったので直ぐに消えるかと思っていた。しかし、次は私が駅前で年上の男性と腕を組んでいた、小学校でいじめを行っていたなど様々な噂話が流れた。


真実か嘘かは関係なくそのような噂が流れるような人と関わりたくないと。周りから人は離れていき、私は腫れ物のように扱われるようになった。


友人と呼んでいいか分からないが、話す機会の多かったクラスメイトは噂を否定してくれていたが、私と同じ立場になってほしくなかったのでやめるように言った。それはきっと自分がもっと早くにするべきことだったからだ。噂を軽視して、自ら否定しなかったからこそ好き勝手言われるようになってしまったのだ。その尻拭いをさせたくはなかった。


こうして気づけば学園では一人でいるようになった。時折、噂を聞いてかゲスな目をした男子に声をかけられることがあるくらいで断ると舌打ちをしながら去っていく。とても苦しかった。


学校という集団に属していながら、私はそこにいなかったのだ。


それでも私は学園を辞めるつもりなどなかった。家族に心配をかけたくは無いし、何よりも夢があったから。そう思い一人で頑張り続けた。そんな我慢の日々はずっと続くものだと思っていた。


しかし、それは違った。


「蓮···」


彼と出会って現実は変わった。


出会う前は黒い噂の絶えない乙黒家の直系である彼に恐怖を抱いていた。パパからは、


『何かあれば言うんだよ?僕は全てを投げ打ってでも家族を守るから』


そんなことを言われたため、ちょっとした安心感と共に何かあっても黙っていようと心に決めた。パパが家族を守りたいように私も守りたかったからだ。


そうして迎えたお見合いで私は拍子抜けした。


横暴ではなく、こちらを慮るような発言の節々に嘘は無かった。それに、パパと似た抱擁感を彼からは感じた。気づけばスラスラと会話でき、どんな発言であっても返してくれる蓮に安心感を覚えていった。


そんな心地よい空間の中、神水流家の庭で話していると会話が不意に学園の、さらには友達の話になったことで負の感情が顔に出てしまった。しかし、ここでまた口を噤んでしまえば噂を否定しなかった時と同じ。


私は思い切って仲良くして欲しいと言ってしまった。


脈絡のないその発言に蓮は初めは戸惑っていたものの最終的には快く了承してくれた。


簡単な事だった。自分の思いを打ち明けるだけで良かったのだ。噂が流れた時も、このように声に出して否定していればこんなことにはならなかったのかもしれない。


そんな後悔が心に浮かぶが、過ぎたことはどうしようもない。ただただ彼と友達になれたことが本当に嬉しかった。


それだけでなく、蓮は私に流風を紹介してくれた。今日出会ったばかりの彼女だが、とても明るく話しやすかった。そんな三人で回った西区は以前、家族と来た時に負けないくらい楽しかった。


今は空いている時間だけだが、学園に行けば彼らと過ごす時間は長くなるだろう。そんな日々を夢想し、笑顔がこぼれる。


きっとこれからも大変なことはあるだろう。それでも―


「こんな毎日が続けばいいのに···」


そう声に出した時、


「ダメですよ」


そんな声と共に後ろから何かで口を押えられた。


慌てて、助けを呼ぼうと周りを見渡すが、誰もいない。いるのは後ろから私を押さえつけている男とその仲間と思しき人間だけ。


それを認識した瞬間、私の意識は落ちていく。


(意識が···)


ゆっくりと目が閉じられていく中、声が聞こえる。


「本来の予定とは違うため、時間がかかります。早くあの場所へ運んでください」


この声はどこかで聞き覚えがあった気がするが思い出す前に私の意識は完全に途切れた。

読んでくださりありがとうございました!


評価や感想をくださると嬉しいです。ストックがほぼゼロという状態ですが、大きな区切りがつくまでは毎日投稿していきたいと思っております。

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