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神宿り  作者:
第5章
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80/103

8

今日も3話更新予定です!

『にしても、何で乱闘に巻き込まれんだ?』

『知らないわよ。お城の外のベンチでソウジュと話してたら、ナンパされたのよ』

 首を傾げるザットの腕を自分の肩から押しのけながら、峰春がこたえる。


『無視してたら強引にここまで連れて来られてさ。でも、ユメとウツツが出てきてあいつらひっかいてくれて、その隙に逃げたの』

 今度は創樹の肩からザットの腕を押しのける峰春。


『そしたら今度は別のグループみたいのに遭遇して、そいつらがまた私たちつかまえて、追いついた初めのやつらとケンカ始めたの。ね?』

 峰春に振られ、創樹が頷く。

『ありがとうございました』

 それから創樹は丁寧にシグとザットに言った。


『気にするな』

『そうそう。暴れられて楽しかったし』

 シグは軽く言い、ザットがニッと笑った。


『それはそうと創樹、あとであの城の詳しい解説聞かせてくれ。パンフレットもらってきたから。コイツのせいでしっかり理解できなかった』

 シグがザットを示し、創樹はクスッと小さく笑って頷く。


『また俺のせいかよ!』

『あら、事実じゃないの?』

 むくれるザットに峰春が笑う。

『お前、俺を馬鹿にしすぎ!』

 ザットが峰春に言った。


『そんなことより、宿泊場所へ跳ぶぞ』

『“そんなことより”で済ますし。ひっでー』

 淡々と言ったシグに思わずザットが抗議する。


『ねぇ、シグザウエル。私、公共交通機関というものを使ってみたいわ』

『あ! それいい! 面白そう! 電車とか乗ってみたい』

 峰春の言葉に、むくれていたザットも反応し、身を乗り出して声を上げる。


『…お前ら、駅の件で興味持ったのか? 仕方がない…。じゃあ、最寄駅に跳ぶぞ』

 シグがため息をついた。それから創樹を見て、声を落とす。


『苦労かけるな、創樹。どうせこいつら切符の買い方ひとつで大騒動だ』

 思わず創樹はクスッと笑っていた。

 駅のそばに跳んで、そこから歩いて駅に向かう。


 普通の旅行者を装うが、何をやっていても、単なる移動でさえやたらとこの集団は目立つ。

 東洋人と欧米人のミックス。その上一人ずつでも注目を浴びるであろう容姿と雰囲気の人間が、四人も集まっている。

 しかも、英語で話して居たかと思えば、途中、女性陣には中国語が混じる。それでもって、他の人に何かを尋ねる時は日本語で創樹が。


 ザットと峰春はことあるごとに舌戦を繰り広げ、シグにとめられる。

 これでは注目されるのも仕方ない。

 電車をおりると地図を見て、ここでも跳ばずに旅館まで行くことにする。途中、どこで曲がればいいのか考え込んだり、ザットと峰春の地図の奪い合いがあったりもしたが、何とか無事に旅館に着いた。


『跳ばずに行くと、結構頭使うんだな…』

『みんな苦労してるのねぇ…』

『…頭はともかく、今日俺たちがたどったコースで観光するとなると、旅費がかなりかかるだろうな』

『時間もかかりますよね』

 考えてみれば、普通の旅行者に比べ、“跳ぶ”ことで交通費も時間もかなり節約できている。力を使わないことで、四人はそのことに気づいた。


『ザット、折角ここまで来たが、荷物だけとりに行くぞ。ログハウスに』

『何か…すっげー嫌だな、それ』

『置いたままにはしておけないだろ。すぐ戻る』

 苦笑してシグが消えた。ザットも続く。


 本当に数秒で、二人は戻ってくる。シグとザットにとって二、三〇キロ程度の距離の往復は、二百メートル歩いた程度の運動にしかならない。

 これが峰春だと、三キロのジョギングくらいの運動量だ。それだけ力の差がある。


 荷物を抱えると、四人揃ってフロントへ。さすがに多国籍集団はここでも注目を集める上、一瞬日本語の話せる者がいるのだろうかと、フロントの着物の女性を戸惑わせたに違いない。


「いらっしゃいませ。ご宿泊ですか?」

 ベテランらしく、すぐに戸惑いの表情を消してその女性は一応日本語で言った。五〇代半ばほどだろうか。


「はい。予約していた神代です」

 創樹が応えるとホッとしたように女性の表情が和む。

「長門様よりのご紹介ですね。こちらにご記入をお願いいたします」

 すぐに長門の紹介だとわかったらしく、にこやかに女性は告げる。


 この旅館は、長門に紹介してもらった上、予約まで入れてもらっていた。明らかに外国人名が並ぶよりは、ということで、創樹の名前で。


 鍵を受け取り、夕食や朝食、入浴時間の確認が済むと、

「お部屋へご案内いたします」

 と、すかさず控えていた仲居さんが一礼した。

能力のない、普通の人たちとの喧嘩対応なんかを書きたくて、乱闘イベント(?)書きました、笑

ストーリーの合間に、こういうのを、ちょいちょい挟む予定です。

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