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今日も3話更新予定です。
『ソウジュ、この二人も汚いわ!』
戻った途端、峰春の声がした。
創樹が頷き、飛天が現れると、羽ばたいた。爽やかな風が気持ちいい。
ふと気づけば、汚れていた手がきれいになっている。
飛天が消える。
『なるほどね』
シグは苦笑して幻と現を見やる。二匹の猫もすっかり元の毛並みを取り戻し、ご機嫌だ。
シグとザットはその後、毛布なども元の場所に戻した。
その間に峰春は創樹を椅子に座らせてその髪を梳き、日焼けどめなどを塗っている。創樹は少々困惑の表情でされるがままになっていた。
『…あんだけ嫌ってた癖』
『…着せ替え人形のつもりかもな』
『ソウってば大人しくて何も言わないしな』
『ああ。困っててもな』
戻って来たザットがその様子に小声で漏らし、シグも同じく小声で答え、苦笑した。
その後ひとまず昨日買って来ていた食料で朝食を済ませると、店が開く時間まで検討会議を開くことにした。シグが昨日創樹と二人で貼り合せた地図を持って来て、床に広げる。まだ室内は暖かい。換気扇だけは、シグが止めた。
『まずは位置関係を確認したいな。教会、クボタたちの通う高校、創樹の家をこれで囲んでくれ』
シグに黒のペンを渡され、創樹は頷く。
地図を見ながら、言われた三箇所を囲んだ。
『他に、気になる場所はあるか?』
『…優梨江ちゃんの家…』
シグの問いに創樹は優梨江の家を示す。シグが頷くのを確認し、囲んだ。
『この場所は全て、ホンマに知られていると考えていいだろう』
言いながら、シグは折りたたんだ紙を取り出した。本間賢治の資料だ。シグはそれを創樹に渡す。
『…ユメとウツツが気になると言っていた、ホンマの住所はどの辺りだ?』
創樹はシグに問われ、資料をちらりと確認してから、地図をじっと見つめて探す。
『…この辺りじゃないかと……』
創樹が住宅地の一角を示した。
シグがそこを覗き込む。
『…ここにマンション…ここが公園だから…』
シグは呟き、創樹から受け取った黒のペンで空き地を囲んだ。
『ここだ。ここが、ホンマが一三の頃に住んでいた家だ。今はもう、空き地になっていた』
『何で知ってんだよ?』
シグの言葉にザットが眉根を寄せる。
『昨日、お前らが夕食を何にするかでもめている間に見に行った』
『あ! だから席外したのね!』
『トイレにでも行ってたのかと思った』
シグの言葉に峰春とザットが口々に言った。
『一三の頃に住んでた家…?』
一人、地図と資料を覗き込んで居た創樹が呟く。
『ああ。引っかかるだろう?』
シグは創樹を意味ありげな瞳で見つめる。
『じゃあ、やっぱり“本間賢治”の両親が…』
『そういうことだ』
生徒の回答に満足げな教師、という表情でシグは頷いた。何のことかと、ザットと峰春は顔を見合せ、首を傾げた。
もう一度地図を確認し直してから、シグと創樹は互いに含みのある表情で、じっと見つめ合った。
『ホンマの両親が何なんだよ?』
峰春と首を傾げあっていても埒があかないと、ザットが割って入る。
『忘れたのか? ホンマの両親は、彼が一三の頃に次々と亡くなっている。つまり…この家に住んでる時に、亡くなってるんだ』
シグが地図の一点を示した。先ほど自分が印をつけた場所…。
さすがにザットと峰春も息をのんだ。
『…そして…言ってたな? クボタの家がこの近くだと』
シグの確認に、創樹は頷く。
『…このマンションです』
創樹はシグが印をつけた空き地のすぐ傍に建つ、マンションを示す。シグが黒ペンで囲む。
『じゃあ、次は鬼の出現した場所を赤でつけていくか…。日にちがわかればそれも書き込もう』
シグが今度は赤ペンを取り出し、創樹の家と泰善高校、教会、優梨江の家と、先ほど黒で囲んだ枠の内側を赤で囲む。そして教会と高校に日付を入れた。
次にシグたちが鬼を祓った場所を、赤で囲む。
その後、創樹が赤ペンを持ち、鬼を祓った場所を次々とつけてゆく。猫たちと話しながら、全て日付を入れる。
『こんなもんか…』
『不自然に多いよな』
シグが呟き、ザットが眉根を寄せた。
『ここは全て同じ日付ですが…これは、今の妙な鬼が残る性質によって、徐々に範囲が拡大していると考えていいのでしょうか』
創樹が円を描くように同じ日付をつなぎ、指で辿る。少々いびつではあるが、水面に石を投げ入れた時の波紋のような形…。
『恐らくな。…この鬼が自然に拡大しているのを除くと…』
『意図的に送られた鬼の場所が?』
創樹の問いにシグが頷く。峰春とザットはただ、二人の会話を聞いていた。




