表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神宿り  作者:
第4章
PR
71/103

18

今日も3話更新予定です。

『ソウジュ、この二人も汚いわ!』

 戻った途端、峰春の声がした。

 創樹が頷き、飛天が現れると、羽ばたいた。爽やかな風が気持ちいい。

 ふと気づけば、汚れていた手がきれいになっている。

 飛天が消える。


『なるほどね』

 シグは苦笑して幻と現を見やる。二匹の猫もすっかり元の毛並みを取り戻し、ご機嫌だ。


 シグとザットはその後、毛布なども元の場所に戻した。

 その間に峰春は創樹を椅子に座らせてその髪を梳き、日焼けどめなどを塗っている。創樹は少々困惑の表情でされるがままになっていた。


『…あんだけ嫌ってた癖』

『…着せ替え人形のつもりかもな』

『ソウってば大人しくて何も言わないしな』

『ああ。困っててもな』

 戻って来たザットがその様子に小声で漏らし、シグも同じく小声で答え、苦笑した。


 その後ひとまず昨日買って来ていた食料で朝食を済ませると、店が開く時間まで検討会議を開くことにした。シグが昨日創樹と二人で貼り合せた地図を持って来て、床に広げる。まだ室内は暖かい。換気扇だけは、シグが止めた。


『まずは位置関係を確認したいな。教会、クボタたちの通う高校、創樹の家をこれで囲んでくれ』

 シグに黒のペンを渡され、創樹は頷く。

 地図を見ながら、言われた三箇所を囲んだ。


『他に、気になる場所はあるか?』

『…優梨江ちゃんの家…』

 シグの問いに創樹は優梨江の家を示す。シグが頷くのを確認し、囲んだ。


『この場所は全て、ホンマに知られていると考えていいだろう』

 言いながら、シグは折りたたんだ紙を取り出した。本間賢治の資料だ。シグはそれを創樹に渡す。


『…ユメとウツツが気になると言っていた、ホンマの住所はどの辺りだ?』

 創樹はシグに問われ、資料をちらりと確認してから、地図をじっと見つめて探す。

『…この辺りじゃないかと……』

 創樹が住宅地の一角を示した。

 シグがそこを覗き込む。


『…ここにマンション…ここが公園だから…』

 シグは呟き、創樹から受け取った黒のペンで空き地を囲んだ。

『ここだ。ここが、ホンマが一三の頃に住んでいた家だ。今はもう、空き地になっていた』

『何で知ってんだよ?』

 シグの言葉にザットが眉根を寄せる。

『昨日、お前らが夕食を何にするかでもめている間に見に行った』

『あ! だから席外したのね!』

『トイレにでも行ってたのかと思った』

 シグの言葉に峰春とザットが口々に言った。


『一三の頃に住んでた家…?』

 一人、地図と資料を覗き込んで居た創樹が呟く。

『ああ。引っかかるだろう?』

 シグは創樹を意味ありげな瞳で見つめる。

『じゃあ、やっぱり“本間賢治”の両親が…』

『そういうことだ』

 生徒の回答に満足げな教師、という表情でシグは頷いた。何のことかと、ザットと峰春は顔を見合せ、首を傾げた。


 もう一度地図を確認し直してから、シグと創樹は互いに含みのある表情で、じっと見つめ合った。

『ホンマの両親が何なんだよ?』

 峰春と首を傾げあっていても埒があかないと、ザットが割って入る。


『忘れたのか? ホンマの両親は、彼が一三の頃に次々と亡くなっている。つまり…この家に住んでる時に、亡くなってるんだ』

 シグが地図の一点を示した。先ほど自分が印をつけた場所…。

 さすがにザットと峰春も息をのんだ。

『…そして…言ってたな? クボタの家がこの近くだと』

 シグの確認に、創樹は頷く。

『…このマンションです』

 創樹はシグが印をつけた空き地のすぐ傍に建つ、マンションを示す。シグが黒ペンで囲む。


『じゃあ、次は鬼の出現した場所を赤でつけていくか…。日にちがわかればそれも書き込もう』

 シグが今度は赤ペンを取り出し、創樹の家と泰善高校、教会、優梨江の家と、先ほど黒で囲んだ枠の内側を赤で囲む。そして教会と高校に日付を入れた。

 次にシグたちが鬼を祓った場所を、赤で囲む。

 その後、創樹が赤ペンを持ち、鬼を祓った場所を次々とつけてゆく。猫たちと話しながら、全て日付を入れる。


『こんなもんか…』

『不自然に多いよな』

 シグが呟き、ザットが眉根を寄せた。

『ここは全て同じ日付ですが…これは、今の妙な鬼が残る性質によって、徐々に範囲が拡大していると考えていいのでしょうか』

 創樹が円を描くように同じ日付をつなぎ、指で辿る。少々いびつではあるが、水面に石を投げ入れた時の波紋のような形…。


『恐らくな。…この鬼が自然に拡大しているのを除くと…』

『意図的に送られた鬼の場所が?』

 創樹の問いにシグが頷く。峰春とザットはただ、二人の会話を聞いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ